室内汚染・シロアリ駆除剤
にもどる
t18201#IPM普及で殺虫剤の使用を減らしていこう〜第2回室内殺虫剤散布勉強会開#06-10
10月20日、午後1時より、参議院会館で、第2回室内殺虫剤散布勉強会「ゴキブリのIPM施工って何だ」と題して、田中生男さん(日本環境衛生センター技術顧問)からお話を伺った。田中さんは、厚生労働科学研究費補助金健康科学総合研究事業「建築物におけるねずみ・害虫駆除等の対策に関する研究」の主任研究者で、取りまとめの中心となった(記事t18001参照)。
主催は、「生活環境における有害化学物質の規制を考える議員と市民の会」で、市民、行政、議員など約40名が参加した。
冒頭、主催者側を代表して、長年この問題に取り組み、先般、参議院に提出された生活環境での殺虫剤等による健康被害を防止するための「殺虫剤等の規制に関する法律」及び「害虫等防除業の業務の適正化に関する法律」の2法案(記事t17801、記事t17904参照)の提案者でもある民主党の岡崎トミ子議員から挨拶があった。
岡崎議員は、「生活環境での農薬使用は法律の谷間にあって、多くの健康被害を生んでいる。そこで、ルールをきちっと作る必要があると、法案を作った。審議はまだまったくなされておらず、これからなので、ぜひ、今日の話も参考にしていきたい」と述べた。
続いて、市民側の代表として、反農薬東京グループの辻万千子代表が「室内殺虫剤散布の現状と問題点」と題して、問題提起を行った。辻代表は、「配布資料に取り上げられている、名古屋市、豊橋市、座間市の3例が特に問題というわけではなく、全国どこでも、このように公共施設での殺虫剤散布が行われている。そして、室内での散布は、@外での散布より、濃度も高く分解が遅い。A利用者への通知がなされていないB生息調査もなしに、定期的に撒かれている、などの問題点を挙げた上で、早急に厚生労働省にIPMを推し進める通知を出して欲しいと結んだ。
■害虫防除とIPM
田中さんは、始めに、人の健康に害を及ぼすねずみや害虫の衛生動物は、その発生は人の社会生活に伴うもので、多くは人が作り出している。しかし、自分たちに発生の責任があると認識している人は少なく、まず、その認識を改めてほしいと、話が始まった。
そして、これまでの防除対策は、「多くの人が面倒な対策を嫌がるようになった」「害虫等の発生環境が複雑になった」ことなどを理由に、安易に薬剤散布が対策の中心となってきたが、以下のような理由から防除体系の見直しの必要性が出てきた、と述べた。
@薬剤が乱用されている。人や環境に悪影響を与えている。
A発生時対策に偏っている。もっと発生予防に重点を置くべき。
Bもっと根拠に基づいた対策をすべきで、そのためには調査が必要。
このようなことから、IPM(総合的有害生物管理)の必要性が高まり、研究が始められたという。
そこで、建築物におけるIPMとは何かということで、まず、理念として折り込まれるべき項目として、
@生息実態調査の結果で対策を考える。
A維持管理基準を対策の目標にする。
B人や環境に対する影響を少なくする方法で行う。
C環境整備(発生源対策)、侵入防止対策を優先する。
D有効適切な方法を組み合わせて行う。
などをあげた。
この後、「薬剤使用とリスク削減」について、殺虫剤処理は害虫による被害者を守るために欠かせない手段の一つとした上で、リスクを少なくするために、「影響が及ぶ恐れのある場所では、影響の大きい薬剤から少ない薬剤への変換」「全面処理から重点処理。あるいは散布処理から毒餌処理」などをあげ、薬剤は「使えなくする」処置よりも、できるだけ「使わなくする」「適正に使用する」ことが大事と強調した。
そして、最後に、IPM普及で今後すべきこととして、
@実施のための技術者の再教育と育成。
A防除業者の登録制や資格の付与。
Bビルのオーナー、管理権原者、区域管理者、利用者等の理解を深める。
C普及、展開、評価のための組織作り。
などをあげた。
この後、参加者との間で、質疑・討論が行われた。討論では、殺虫剤の使用について、報告者と化学物質過敏症患者などの参加者との間で、認識の違いも明らかとなったが、IPMの殺虫剤の使用を減らしていくとの理念は共通するものであり、今後の運動を進める上で、大いに参考になった。
(勉強会での配布資料残部僅か。会員500円、非会員1000円送料別。事務局まで)
購読希望の方は、〒番号/住所/氏名/電話番号/○月発行○号からと購読希望とかいて、
注文メールをください。
年間購読会費3000円は、最初のてんとう虫情報に同封された振替用紙でお支払いください。
作成:2006-10-28