街の農薬汚染にもどる
t19103#原則公開になったが、まだまだ疑問点は多い〜農薬飛散リスク評価手法等確立調査検討会開く#07-07
【参考資料】環境省農薬飛散リスク評価手法等確立調査検討会
      06年度:第一回の議事概要資料。第二回の議事概要資料。第三回の議事概要資料
      07年度:第一回の議事次第・資料議事概要

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 環境省が設置した「農薬飛散リスク評価手法等確立調査検討会」は、6月11日、07年度の第1回検討会が開催されました。06年度は非公開でしたが、私たちの要望が功を奏し、今後、原則公開するとのことです。
 しかし、内容をみると、07年度のモニタリング調査は、前年にひき続き、千葉県の工場で、8月及び10月に行うことになっています。これは、建物で囲まれた街中の街路樹地域のモデルになるかは疑問です。
 病害虫・雑草管理マニュアルの策定方針については、すでに06年度の検討会で素案が出されており、07年度は、公園等管理者向けマニュアルが検討課題に上りました。
また、自治体に対して、街路樹・公園緑地等におけるIPM手法等に係るアンケート調査が実施される予定になっています。

★再質問への環境省からの回答
 ところで、私たちは、昨年度のモニタリング調査報告等について、環境省に質問していましたが、その回答が6月22日付けで届きました。主な質問事項と回答を以下に記します。
【1】検討会の公開について
 【質問】検討会の事務局が業界団体である財団法人残留農薬研究所におかれているのは
     なぜですか。
 【回答】一般競争入札に付した結果、当該法人が落札したためです。
 【コメント】農薬の規制を目指している国の検討会なのに、業界の息のかかっている残
     留農薬研究所に事務局をおいていいのでしょうか。また、何故、事務局を入札
     にするのでしょうか。環境省が責任を持って事務局をやるべきではないでしょ
     うか。

【2】農林水産航空協会とのモニタリング調査事業契約について
 【質問】貴省が提示した仕様書では、調査実施場所は「原則、東京周辺の公園等2箇
     所」、散布農薬はフェニトロチオンで、農薬散布時期は「8月中旬(1箇所)
     と9月上旬(1箇所)」となっていますが、実施された調査報告では、場所と
     散布時期は仕様書内容と合致していません。これは、契約違反ではありません
     か。
     上述のように仕様書の意図に沿わない調査では、調査の意義が薄れると思いま
     すが、貴省はいかがお考えですか。
 【回答】モニタリング調査の企画書作成のための仕様書についてですが、実際の業務の
     履行に当たっては、種々の事情から仕様書に定められた通りとならない場合が
     あります。このような場合には当省担当官と協議のうえ、指示に従って頂くこ
     ととされております。本件調査は自然に発生した害虫に対して農薬散布による
     防除を行った場合に、どの程度農薬が飛散するか等のデータを得るために行っ
     たものです。仕様書は、例年この時期に害虫が発生することが多いとの情報を
     基に記述しましたが、昨年度は予定どおりの発生が見られなかったため、当省
     担当官と協議の上、業務内容の修正を行ったものです。このため、契約違反と
     はなりませんし、調査の意義が薄れることもありません。
 【コメント】農薬の飛散状況の調査であって、害虫にどれだけ効くかを調べるのではな
     いのだから、害虫が発生しなかったから調査できなかったというのは問題。農
     薬の飛散や大気汚染は温度が深くかかわってくるので、気温の高い時期にやら
     ないと、調査の意義が薄れるのは当然のことではないでしょうか。また。街中
     での散布を問題にしているのに、ゴルフ場や工場敷地でやるのは、やっぱりお
     かしい。納得できません。しかも、今年も千葉の工場でやるといっている。こ
     んなところでデータをとるのは、税金の無駄遣いです。

【3】農林水産航空協会の定款等との関連について
 【質問】今回の調査事業は、航空機による散布ではありません。明らかに、協会の定款
     にある目的にそぐわない事業です。農水省管轄の社団法人が、その定款目的に
     反する事業を請け負うことについて、貴省はどうお考えですか。
 【回答】本調査事業が当該団体の目的に合致しているものか否かについては、当該団体
     において適切に判断されているものと考えます。
 【コメント】環境省は、どんな団体かあずかり知らぬということでしょうか。

【4】協会による調査事業の実施について
 【質問】農薬の散布、試料採取、環境試料等の分析、分析結果の解析及び報告書の作成
     は協会のどの部署の誰が実施ましたか。責任者名と実施者の所属と人数を教え
     てください。
     協会に所属しない団体、事業者や個人に事業の全部又は一部を再委託したこと
     はありませんか。もし、再委託していたならば、それぞれの委託項目ごとに、
     再委託者名と支払った委託費を教えてください。同時に協会と再委託者間の契
     約書も明示してください。
 【回答】事業の実施に関し、農林水産航空協会の責任者及び実施者の所属と人数を知り
     たいとのことですが、個人情報にあたりますので、当省から回答することはで
     きません。 同協会は、分析業務を株式会社エスコに対し、9,765千円で再委
     任しておりましたが、当該再委任に係る契約書は当省にはございません。
 【コメント】回答から、分析は再委託したとことがわかります。農林水産航空協会は、
     試験計画をたてたとしても、農薬散布や試料のサンプリングはどこがしたので
     しょう。これらの点をたずねているのですが、個人情報をたてに答えてくれま
     せん。研究を誰がしたのかは、保護すべき個人情報ではありません。しかも、
     研究には、2110万円の税金が投入されているのです。
     少なくとも、試験報告には、計画立案、散布、試料採取、分析者、結果解析を
     だれがしたか書くべきです。学術報告なら、仕事に携わった人のリストは掲載
     するのはあたりまえです。
     契約額の46%を分析会社にまる投げして、自ら分析もしない農林水産航空協会
     が、こんな業務を請け負う資格があるのか疑問です。
 注:エスコは、農薬メーカー八洲(やしま)化学の分析センターを前身とする会社です。
   八洲化学は、住友化学や全農の資本がはいり、現在、協友アグリとなっています。

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作成:2007-12-24