空中散布・松枯れ

林野庁長官　井出道雄　様

松枯れ対策として実施されている農薬空中散布・地上散布の即時中止の要望
                               〜出雲市での多人数健康被害の発生を受けて

　私たちは、以前から松枯れ対策として実施されている有人・無人ヘリコプターによる農
薬空中散布（以下「空散」）並びに地上散布（以下「地散」）に反対している市民団体で
す。貴庁には、何度も、国有林・民有林での空散・地散中止の申し入れをしてきましたが、
実施面積は減っているものの、未だ、完全に中止になっていません。

　今年5月26日に出雲市で実施された空中散布によって子供たちを中心に少なくとも1000
人を超える健康被害があり、そのうち、２人が入院、３００人以上が受診しました。しか
もその症状は、目が痒いだけでなく、目の奥の痛み、目の回りの腫れ、１次的な視力低下、
歩行が困難になるほどのめまい・吐き気、視野狭窄、頭痛、喉の痛み・かゆみ、倦怠感等
有機リン農薬中毒症状のさまざまな症状が訴えられていました。その上、指定病院には、
専門医も配置されておらず、１度に大勢の被害者が押し寄せたときの体制もありませんで
した。また、症状が長引いていても、的確な診断や治療をしてもらうことができないのが
現状です。

このように大勢の人が空散実施後に健康被害を訴えた例は、過去、報告されていませんが、
出雲市の場合は、行政が初めて自主的に被害調査を行ったから表面化したものです。今ま
でも、小規模ながら空散の度に健康被害は発生しており、私たちはその度に貴庁や県・市
町村に中止を求めてきました。しかしながら、貴庁はじめ、実施者側は健康被害の訴えは
一切認めず、防除実施基準すら無視した空散を続けてきました。こうした事例をきちんと
調査し、対応していれば、出雲のような被害は起こらなかったでしょう。

この事件後、複数の団体が貴庁や県に空散中止を求めましたが、「原因を調査中で不明だ
から中止できない」という理由で、一切、取り合ってもらえませんでした。「原因が調査
中で不明」ならば、判明するまで中止するのが「予防原則」上求められた科学的態度とい
うものではありませんか。島根県では、そのように対応しています。また、被害者は、空
中散布が原因だと思っても、それを立証することには非常な困難が伴います。もし、無関
係と主張するのであれば、無関係であることを証明する義務は、安全な防除法であるとし
て空散・地散を推奨してきた貴庁にあります。

　私たちが長年要望してきた農薬の空散・地散反対の理由を今更ここで縷々述べようとは
思いませんが、簡単に言えば、健康被害が無視できないほど多発している。（出雲市の事
件が典型）、効果がない（参考資料2）、農薬散布は環境破壊である、などです。貴庁は
十分に知っているはずです。（参考資料1）

　ここに至って私たちは松枯れ対策の農薬空中散布及び地上散布の即時中止を要求します。
貴庁の対応を公開の場で説明してくださるよう要望します。

---　要望団体（順不同）57　---
　とよはし市民会議／日本消費者連盟関西グループ／日本有機農業研究会
　食政策センター／ビジョン２１／子供の命を守る会／農薬空中散布反対千葉ネット
　残土ネット／萩農薬空中散布を考える会／株式会社生命の水研究所
　千葉ＣＳの子供を守る会／お米の勉強会／化学物質患者会千葉
　ふぇみん婦人民主クラブ／サスティナブル２１／シグナルキャッチ
　オーガニックな暮らしをめざすネットワーク／やさい畑／浜松農薬汚染を考える会
　ＮＰＯ法人日本消費者連盟／くらししぜんいのち岐阜県民ネットワーク
　山口みどりの会／食の安全と農の自立をめざす全国連絡会
　特定非営利活動法人有機農業推進協会／赤とんぼの会いとしま
　OFF電磁波ささぐりの会／有機建築研究所／ＮＰＯ法人環境未来センター“希望”
　　　（株）九州産直クラブ／ＮＰＯ法人環境と健康を考える会／化学物質不耐症患者の会
　上越鳥の会／ＮＰＯ法人市民環境研究所／京大農薬ゼミ／化学物質問題市民研究会
　どんぐりの会／長久手自然クラブ／ＮＰＯ法人使い捨て時代を考える会
　生き物共生農業を考える会／有機農場かみーの／環境病患者会
　愛媛環境ネットワーク／農薬空中散布に反対する愛媛県民の会／ＣＳ発信ちゅうごく
　「たべもの」の会／長野県有機農業研究会／京都安全農産供給センター
　人間と自然の共生を願う蜜蜂会／津市の環境を守る会
　（財）自然農法国際研究開発センター／京都カナリヤ会
　島根くらしといのちのネットワーク／子どもの人権オンブズパーソン
　出雲すこやか会／安全な食べものネットワークオルター
　神奈川ネットワーク運動おだわら市民会議／野火止てんとう虫／反農薬東京グループ

　---　要望　個人　35名（略）---