街の農薬汚染にもどる
t20505#木があれば農薬散布? 千葉市の07年度の散布実態〜保育園、小学校、中学校ではすぐ中止すべきだ#08-09
【参考サイト】千葉市;07年度使用実態調査結果:市有地・市有施設における薬剤散布状況一覧表

            名古屋市:農薬・殺虫剤等の使用について頁施設等における農薬・殺虫剤等薬剤の適正使用に係る基本指針
            05年度については、記事t19108記事t19208
                        07年度名古屋市の施設等における農薬・殺虫剤等薬剤の使用状況調査結果について
            施設別詳細データ(屋外散布使用量屋内散布使用量)

       愛知県:06年度使用実態調査害虫等防除の状況と詳細結果:屋内屋外

 千葉市の会員から、千葉では学校、公園、街路樹などいたるところで農薬散布をしているという訴えを聞き、反農薬東京グループは千葉市に質問しました。市が管理する施設での樹木等への農薬散布と室内での殺虫剤散布などに関して、施設ごとに農薬散布日、対象害虫、対象樹木、散布農薬名、周知方法などを実態調査の上公表すること、通知「住宅地等における農薬使用について」をきちんと守っているかどうかなどの内容です。
 最初の質問日は4月24日でしたが、6月11日に、大ざっぱな回答が届きました。これでは回答になっていないので、再質問を6月20日に出しました。ようやく、きちんと調査した結果が送られてきたのは7月22日付けでした。各施設での散布状況は上記のURLに載っています。
 その回答を見ると、千葉市では木があれば農薬散布することになっているのではないかと思われるほど、各施設の内外、街路樹、公園などで盛大に実施しているのがわかりました。特に問題になるのは、保育園、学校など小さな子供たちがいる場所での農薬・殺虫剤散布が無造作に実施されていることです。
 以下、千葉市の「平成19年度 市有地・市有施設における薬剤散布状況一覧表」から保育園、小学校、中学校の農薬・殺虫剤散布の問題点をあげます。

<1>千葉市保育園農薬散布状況
■樹木等への散布は51.7%
 千葉市の市立保育園は60園あります。そのうち樹木等へ農薬を散布している園は 31で約半分。すべて業者委託になっています。使用農薬はすべての園でカルホス乳剤(イソキサチオン50%)です。これは有機リン系殺虫剤で、劇物に指定されています。
 生息調査はすべて調査したとありますが害虫名の記載はありません。みな同じ農薬を使用しているところをみると、きちんとした生息調査をもとにして散布しているとは思えません。
 散布に関する周知は、作業前に知らせたとありますが、いつ、誰に知らせたか不明です。保護者に伝えられているか、農薬に敏感な子供たちは大丈夫か心配です。

■室内殺虫剤散布は全園で同日に実施
 室内での殺虫剤散布ですが、驚いたことに60園のすべてで室内殺虫剤散布をしています。生息調査はしていません。薬剤は「低臭性スミチオン乳剤ES」とありますが、これは、スミチオン10%の高濃度乳剤です。10倍に希釈して散布するとありますから、非常に高濃度のものを室内に散布しています。散布日以外にも残留している可能性があります。
 全保育園が定期散布しており、厚労省の建築物衛生法の維持管理基準及びマニュアルに違反しています。驚いたことに、すべての園が第一回目の散布を6月11日(月)に実施し、二回目は11月11日が49園。なぜ、月曜日に散布するのか、委託業者は複数なのか、疑問は深まるばかりです。

<2>小学校での農薬散布
■樹木への農薬散布は45.8%
 小学校120校のうち、55校が内外の散布していないと回答しています。保育園よりましです。しかし、半数近い学校が散布していないのですから、他の学校もできるはずです。 学校職員が散布しているのは50校。散布農薬は、殺虫剤は、スミチオン、ディプテレックス乳剤、オルトラン、スミソン乳剤などの有機リン系農薬です。農薬に対して十分な知識のない人たちが散布しているおそれがあります。
 除草剤は3校で使用していました。他に、10校が業者委託でディプテレックス乳剤を散布していました。このような急性毒性が強く、神経系に作用する有機リン農薬を学校で使用するのは問題です。
 農薬散布をしている学校で、近隣や児童等への周知をしてない学校が25校ありました。周知していると記載されていても、方法は「口頭周知」であったり、「校内放送」であったりです。少なくとも数日前には文書で保護者に知らせるべきです。

■室内での殺虫剤散布
 11校が室内に殺虫剤を散布していますが、スプレーなどが多いようです。ただし、害虫名、成分は書かれていません。

<3>中学校での農薬散布
 市立中学校は57校のうち23校が散布していないと回答しています。業者委託は7校です。使用薬剤は小学校と同様、有機リン系殺虫剤で劇物のカルホス(イソキサチオン)、スミチオン、オルトランなど。
 室内への散布は6校で、キンチョール、アースジェット、シロアリ用のエアゾール、バルサンなどとなっています。
 同一校で職員室に4回もキンチョールやアースジェットを使用していますが、害虫名がないので詳しいことはわかりません。

<4>市学校施設課長の通知は無視
 平成18年9月5日付の学校施設課長が、千葉市立小中養護学校長あてに出した「学校樹木等の病害虫防除における近隣住民や保護者など関係者への通知について(依頼)」には、農薬散布について、「事前に配布物などで近隣住民や児童・生徒の保護者など関係者に薬剤散布について通知し」とありまが、配布物で周知した形跡はありません。関係者への周知は不十分です。
 周知内容の「防除対象害虫名」についてには、「散布業者に聞いてください」とあり、驚きました。委託者が害虫名も知らずに農薬散布を頼んでいるのでしょうか。
また、この通知では劇物指定のディプテレックス乳剤について、「慢性毒性や残留毒性の心配が低く、人畜はもちろん、蜜蜂・魚類に対する毒性がきわめて低い農薬です」と書かれています。こういう認識でディプテレックス乳剤を散布しているとした問題です。

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作成:2008-12-25