空中散布・松枯れにもどる
t20606#東大農場(西東京市)で水銀剤使用 農水省の立ち入り検査で農薬取締法違反判明#08-10
   【参考サイト】東京大学:多摩農場をめぐる問題について東大試験農場
          農水省:報道発表(10/03)、報道発表(10/27)、文部科学省の通知:10月06日10月21日
          東京都:報道発表(10/17)

 西東京市の住宅街に22.2haの面積をもつ東京大学大学院農学生命科学研究科付属農場(通称「東大農場」)は、数少ない緑地として市民に親しまれてきました。農場内には畑が14.5ha、水田が1.5ha、果樹園が2haあります。収穫物は大学で消費するほか、年間約15、000人が訪れるという人にも売られていました。05年には、遺伝子組換えジャガイモの栽培実験をするという計画があり、市民たちの力で、これを撤回させたこともありました。

★水銀系禁止農薬を使用
今回、種籾の消毒として1973年に登録が失効し、2003年から禁止農薬となった酢酸フェニル水銀が使用されていることが判明しました。内部告発のメールが届いたとのことですが、水俣病の原因物質でもある水銀の使用は、市民に衝撃を与えました。
 この事実は10月2日に公表され、同日午後1時から住民説明会があり、70人以上が参加して東大側の説明を聞きました。大学側は1997年、98年、99年に実習用水田30aの種籾を水銀錠剤液に5〜6時間つけた後水洗いして苗を植えたということでした。禁止されたのは2003年だから問題ないとの考えのようでした。
 この米は既に売れてしまっているので、同じ方法で栽培した米の分析をしたが、水銀は検出されなかった。井戸水も分析したが、水銀は出なかったとのことでした。しかし、「水銀剤溶液はどうしたのか」との質問に大学側はあわてて打ち合わせをしていましたが、「水田の周辺に捨てた」と答えました。その無神経さには驚きました。
 さらに、研究用の稲には、これからも酢酸フェニル水銀を使うと回答し「おかしいではないか」との問いに「おかしくありません」と、研究用であれば何を使ってもいいのだとの傲慢な態度を示しました。
 また、東大農場は通知「住宅地等における農薬使用について」を知らず、周辺住民に知らせることなく場内に農薬散布をしていました。

★農水省農薬対策室の立ち入り検査
 地元説明会に平行して、農水省農薬対策室は農場に立ち入り検査をし、
 1、研究用途で、水銀剤を通常の病害虫防除のために使用していた。
 2、農薬の保管管理が適切に行われておらず、保管していた農薬の種類や
  数量も管理されていなかった。
 3、実習用に使用した水銀剤の残液を不適切に土壌へ廃棄していた。
などの事実が明らかになったとして、10月3日、農薬取締法に基づき、次の3項についての報告命令を出しました。1.水銀剤の使用実態について、2.農場内で収穫された農作物等並びに水銀剤の残液の廃棄地点における土壌の分析法・分析結果、3.農薬の保管管理の状況。
 さらに、農水省は他の研究機関も「研究目的の範囲」を誤解している可能性があるとして、同日付で、研究機関に対して指導通知を出しました。文部科学省も10月6日に、大学や高専宛に「農薬を使用等する場合の留意事項について」という通知で、東大農場のようなことのないよう注意を喚起しました。
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作成:2009-01-25