農薬空中散布・松枯れにもどる
t21001#松枯れ対策、09年度の農薬空中散布の動向〜出雲市は10年間の中止決定、松江市も中止#09-02
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      検討会傍聴記:その1その2 その3最終回
【参考サイト】出雲市:健康被害原因調査委員会 議事録報告書、防除会議:報道発表報告書本文
       倉塚さんのHPブログたかやまさちこさんのHP2008年度の農薬空中散布

 昨年、出雲市で実施された松枯れ対策のスミチオンMC剤空中散布で1200人を超える健康被害が出ました。11月に実施した当グループの都府県アンケートの結果、09年度も有人ヘリコプターによる空中散布を実施すると答えたところが27県ありました。加えて、林野庁が直管する国有林でも12管区で空中散布が実施されようとしています。
 そこで、該当する都府県と国有林を管轄する森林管理署などに、健康被害防止のために具体的どのような対策をとっているかなど問い合わせました。この結果は、次号に報告できると思いますが、今号では、2月20日現在の状況を、地元からの報告や新聞報道を中心にまとめてみました。

★島根県:松江市と出雲市が空中散布中止
島根県では、08年度の空中散布予定は、松江市島根町153.35ha、雲南市大東町58.92ha、出雲市1,688.66ha、隠岐の島町88.00haとなっていましたが、出雲市での健康被害発生により、各地域とも散布中止となりました。09年度については、出雲市、松江市は中止、隠岐の島町は実施、雲南市は未定となっています。松枯れは、農薬空中散布では防げず、伐倒焼却、樹種転換、樹幹注入、林内整備など総合的にやるしかありません。
出雲市は、2月19日の松くい虫被害対策地区連絡協議会で、昨年12月に出された防除検討会議の報告書を受け 、今後、10年間、空中散布を止める方針を示しました。 同市の、松くい虫対策事業09年度一般会計当初予算案は、1億9000万円でその内訳は、表のようになっています。
表 出雲市の09年度松枯れ対策予算(単位万円)
        08年度  09年度    増減
予防 空中散布 5650.9       -  5650.9
   樹幹注入 1420.0  14196.9  + 12776.9
駆除  伐倒駆除 1370.0   2751.3  +  1381.3
枯損木除去等   359.1    2051.8   +  1692.7
 合計          8800.0  19000.0   + 10200.0
 上とは別に、出雲市は、08年度補正予算として松くい虫対策事業8000万円を計上し、樹幹注入の追加実施を大社地区で5,500本行うことにしました。
 さらに、緊急雇用対策の一環として、松くい虫対策事業作業補助員等の募集を行いました。募集要項は以下のようです。
「林内作業補助員」(日給7400円)5名で、作業内容は @過年度処理木(以前に油剤・くん蒸処理を実施し、現場に残されている処理木)の撤去・搬出・処理(現場で破砕等)の作業、A業者が行なう作業の補助。
「林内作業補助員(監督兼務)」(日給9500円)1名は、上記@及びAの作業に加え、林内作業補助員の作業を監督。
 雇用期間は2月16日から3月30日まで、ヘルメットは貸し出しますが、作業服、作業靴(長靴等)は各自で準備。
という条件でしたが、33名の応募があり、面接試験、体力テストが行われて、6名の採用が決定されたとのことです。

★福岡県:二丈町の国有林〜地上散布への切り替えですむのか
 記事t19507記事t20304で紹介した福岡県の二丈町の国有林(一部民有林を含む9.94ha)での空中散布は07年度8.19ha、08年度1.57haとなっていましたが、09年度以降は全面的に地上散布に切り替えた上、地域やボランティアの方々及び地元の学校などと連携し、松林内の整備・保全活動を実施するとの計画がたてられています。
 このような場所では伐倒駆除が有効であるにもかかわらず、空中散布を地上散布にかえただけの安易な対応です。松林と住宅地や道路が近いところでは地上散布であっても、生活圏への農薬飛散を避けることができません。どうして、農薬散布を止めるといえないのでしょうか。

★兵庫県:スミパイン剤技術レポート改訂版はまだ届いていない −省略−
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作成:2009-03-01