街の農薬汚染にもどる
t21803#現場ではまだ住宅地通知は守られていない-長崎県大村市が立入り規制なしで、公園に除草剤散布#09-10
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【参考サイト】住宅地通知、公園・街路樹等病害虫・雑草管理暫定マニュアル
今年の6月27日付けの長崎新聞に、大村市が森園公園で乳児等親子連れが多数いたにもかかわらず、立入規制をせずに除草剤を散布していたという報道がありました。市民が市へ通報してわかったとのことでした。
反農薬東京グループは、住宅地等の通知をどう考えているのか、6月29日付けで長崎県と大村市に質問を出しました。7月13日に大村市から15日に長崎県から回答をいただきました。質問と回答の概要を報告します。
★大村市への質問と回答
大村市の回答によれば、6月24日の散布状況は以下の通りです。
・散布計画=担当課(河川公園課)で決定。
・使用農薬=第15020号(MCPP液剤) 使用量=1500ml
第14676号(トリクロピル液剤) 使用量=720ml
・ 希釈散布量=540L 散布面積=約2700u
・除草剤の散布者=市の嘱託職員
・経費=薬品代のみ。
・散布時間=6月24日の13時〜15時
・市の職員の立会はなく、市の嘱託職員のみで実施。
・公園内への立ち入り規制=トイレや駐車場利用者等を考慮し行っていない。
・芝生への立ち入り規制=注意看板を設置し、芝生付近の利用者には散布の旨
説明をしてから実施。
・散布中の周辺の人=散布前に2ヶ所に6人と、途中で1人を確認。内5人は
散布の旨説明し移動。残りの2人は説明する前に帰った。作業時は、風もほ
とんどなかったので、風向も確認できなかった。作業時には薬剤散布の影響
がでるような個所に公園利用者はいなかった。現場の報告から被害が出るよ
うなことは考えられない。
★周知や記録は不十分
以上のような状況でしたが、周辺住民や公園利用者への周知については、以下のような回答でした。
「今回の除草剤散布はスポット的に散布する作業であり、<薬剤散布につき注意してください 大村市>の看板を設置し、付近利用者には口頭で説明を行った。公園の周辺は、事業所がほとんどであり、作業区域から離れている為、事前の説明はしていない」
スポット散布であろうと、もっと詳しい周知が必要と思われます。また、芝生の中の雑草にスポット的に除草剤を散布する前に、手で抜く方が早い場合もあります。森園公園でも一部は人力による除草(除根)を行っているとのことです。
また、同公園での年間の農薬使用に関しては「芝生の除草剤以外は散布していない。使用薬剤は主にMCPPとザイトロン液剤。スポット的散布のため使用実績を正確には把握していないが、年間に約4000ml程度使用。今後は使用実績を正確に把握し、保管していきたい。」との回答でした。
住宅地通知や管理マニュアルをきちんと河川公園課に周知しているかとの質問に対しては、「マニュアル等については周知してはいた。また、作業時には公園利用者の安全を第一に作業するよう努めている。新聞で報道されたような利用者が多い時には、常識的に散布作業はしておらず、作業時には看板を設置し、被害が及ぶと思われる利用者には口頭で説明してから作業を行っている。」
しかし、現実に公園内に何も知らない利用者がおり、この散布に関して「おかしいではないか」と、市へ通報した人がいたわけですから、市の回答は鵜呑みにはできません。公園での農薬使用は控えるべきではないでしょうか。
★夜間散布はしない
報道には、大村市は「夜間にまくことを検討中」とありましたが、夜間は薬剤の飛散状況が確認できず、非常に危険です。この点に関して市の回答は「夜間散布の実績はない。今後実施するか検討したい。安全性を確認出来ない限り夜間散布はしない」とのことでした。後述するように長崎県は、大村市の夜間散布はやめさせたと回答しています。
★長崎県は大村市へ通知遵守を指導したというが
長崎県へは、大村市に対して「住宅地通知」や「公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアル」、「農薬危害防止運動通知」をどう周知したか質問しました。
県の回答は、「住宅地通知」は、平成19年2月14日、「公園・街路樹等マニュアル」は、平成20年6月24日付けで周知。「農薬危害防止運動」は、要綱を策定し平成21年6月9日付け県福祉保健部長・農林部長発出文書で運動実施を通知したとのことです。にもかかわらず、守られていなかったため、今回、どう指導したか聞きました。
県は「7月1日に大村市役所で、除草剤散布状況の聞き取りと現地確認をおこない、「住宅地等通知」等、農薬適正使用を徹底するよう口頭により指導。併せて、夜間散布は、御指摘のとおり危険性が高いことから、行わないことを指導し、確認した」との回答でした。
長崎県は、本年度の農薬危害防止運動について、「ホームページで5項目の注意事項があげているが、公園をはじめとする公共施設等での散布についての注意はない。関係部署、関係自治体、関係団体等へ改めて周知願いたい」との要望に対して、県は、「農薬危害防止運動実施要綱の実施事項は、文書による通知を行うとともに、農薬安全対策講習会資料として提供したうえで説明及び周知徹底に努め、指導の徹底を図っている。」とのことですが、やはり、指導は不十分と言わざるを得ません。
★グリーン購入法を推進したい
大村市は、グリーン購入法(記事t20301参照)に関して「市としても環境負荷の低減の重要性については十分理解しており、出来る限り推進している。環境物品等の購入や、人力除草や除草材散布の直営によるスポット散布も農薬低減の一つだと考えている」とのことですから、今後は、公園での農薬使用は是非やめてもらいたいものです。
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作成:2010-03-28