室内汚染・シロアリ防除剤にもどる
t22101#グリーン購入法の特定調達品目『木材防蟻・防虫・防腐に関する役務』提案で調査のお願い#10-01
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【参考サイト】環境省:グリーン購入法に係る特定調達品目及びその判断の基準等の見直しの概要(案)に 対する意見の募集について(お知らせ)(12/04)
概要案と基本方針(案)【変更箇所抜粋】
グリーン購入法では、国や地方自治体などでの環境負荷の少ない特定調達品目の利用推進がめざされています。当グループは、新たな役務(サービス)品目として、『木材防蟻・防虫・防腐』を挙げ、シロアリや木材害虫、木材腐朽菌対策用の薬剤を使用しない代替品や方法とその判断基準を提案していましたが、12月4日に、環境省が公表した特定調達品目及びその判断の基準等の見直し案の中に採用されませんでした。
すでに、薬剤をできるだけ使用しない『植栽管理』と『害虫防除』が特定調達品目の役務になっているにも拘わらず、農薬や殺虫剤等と同じ成分を含む木材防蟻・防虫・防腐剤の使用を減らそうとする役務提案が採用されなかったのは、納得できないため、環境省の担当部署に説明を求めました。
★追加資料を求められたが
昨年7月に行った提案後、9月に、環境省の担当部署から「国等の機関への納入実績(あるいは見込み)を踏まえた市場シェア状況(見込み)及び市場の環境物品への転換効果の可能性について検討できる資料」を追加請求されました。
この時提出したのは、以下の内容で、要求にあった実績情報は提出できませんでした。
***** 提出した追加資料 *****
1、農林水産省所管の(財)日本木材総合情報センターは、
「公共施設等の木材利用推進マニュアル」を示しているが、木材には防蟻・防虫・
防腐処理がなされる場合があり、私たちの提案した役務が代替可能である。
2、林野庁と文部科学省は、学校の木造設計等を考える研究会を設置し、
公立学校施設への木材利用の推進をはかっている。
栃木県の茂木中学校での事例がある。
この事例では、地域材活用施設新築工事で、請負金額が4058.2万円(うち国の補助金
が5/10、県の補助金が1/10)である。
このような木材利用では、私たちが提案した役務を組み込むことが可能である。
3、文部科学省の学校施設整備指針策定に関する調査研究協力者会議では、種々の学
校施設の整備指針が検討・策定されているが、指針には、健康に配慮した施設として、
『建材,家具等は,快適性を高め,室内空気を汚染する化学物質の発生がない, 又
は少ない材料を採用することが重要である。』
また、学校用家具の項では、
『幼児児童生徒の健康と快適性を確保するため,室内空気を汚染する化学物質の発生
のない,又は少ない材料を採用することが重要である。』
とあり、私たちが提案した役務を組み込むことが可能である。
4、千葉大学環境健康フィールド科学センターは、シックハウスに対したモデルタウ
ンづくりとして、ケミレスタウンプロジェクトを実施しており、木材の防蟻・防
腐・防虫処理にも脱化学物質がめざされている。
5、PRTR届出外排出量のよれば、
平成19年度の殺虫剤に係る需要分野別・対象化学物質別の排出量推計結果にある
シロアリ防除剤における活性成分別数量は下記のようである。
これは、実際に使用されている木材防腐・防蟻剤の一部であり、これらの化学物質
を代替法として、提案した役務がある。
表1 07年度PRTR法届出外排出量(シロアリ防除剤)
活性成分 業務用 家庭用 (単位 kg/年)
フィプロニル 1,523
シペルメトリン 17
フェニトロチオン 894 331
ペルメトリン 4,827 762
ほう素及びその化合物 3,223
プロポキスル 4,070
フェノブカルブ 16,381
★やはり、納入実績情報が必要なのか
環境省の担当部署は、不採用理由のひとつとして、納入実績について十分な情報が揃っていなかったことを挙げました。
グリーン購入法は、国(国会、各省庁、裁判所等)および国等の機関が、全国どこででも調達することが可能であることが重要な事項となっているといい、例えば、コストの側面で、東京都では10で調達可能なものが、地方では100を必要とするものであれば、実態として全国どこででも調達することができないことになってしまうからとのことです。
国や地方自治体が実施している木材処理やシロアリ対策などの具体的な実績を調査することは市民団体にとっては、なかなか難しいことで、今後、知恵を絞らねばなりません。
★役務「植栽管理」「害虫防除」は分科会で検討
2008年に役務「植栽管理」と「害虫防除」が採用された事情はどうだったかも聞きました。しかし、これらは、一般からの提案募集による審査、新規追加ではなく、特定調達品目検討会の下に「庁舎管理」の分科会が設置され、そこでの有識者等による検討を経て、追加されたとのことでした。そのため、これら2役務については、納入実績をはじめとする諸資料の提出はありませんでした。
「植栽管理」については、通知「住宅地等における農薬使用について」、「害虫防除」については「建築物衛生法」や「薬事法」等に準拠して、業界関係者を含む有識者が内容を検討して、役務としての判断基準等が作成されたとのことでした。
木材防蟻・防虫・防腐処理については、現在、薬剤使用を減らそうとする通知や行政指導はなく、個々の化学物質について、たとえば、化審法ではディルドリンやクロルデンほかのPOPs系薬剤や有機錫系薬剤の製造・販売・使用禁止が、建築基準法ではクロルピリホスの使用禁止が、家庭用品規制法ではクレオソート油中や同剤で処理された木材中のベンゾピレン類の含有規制がある程度です。
このような実情の下、公共施設における農薬・殺虫剤等の適正使用についての名古屋市や千葉市の指針では、シロアリ防除剤は、生息調査の実施は除外されています。
今後、農薬や衛生害虫用殺虫剤の場合と同様、役務「木材防蟻・防虫・防腐」を推進する根拠となる法令の制定や通知の発出を、行政に求めていく必要があります。
【参考サイト】千葉市:農薬・殺虫剤の使用指針
名古屋市:農薬・殺虫剤の使用指針と使用状況(H20年度の屋外詳細と屋内詳細)
★名古屋市のシロアリ防除剤の使用実態
名古屋市の08年度の公共施設でのシロアリ防除用製剤の使用実態を含有成分別に表2に示します。同市では、延べ68箇所で、8種の薬剤が全部で82.281kg使用されていました。小学校での使用が多く、全体の48.5%を占め、成分別ではネオニコチノイド系のクロチアニジンを含む製剤(タケロックMCなど)の使用が全体76.5%の52件ありました。
数量が多いのは、環境ホルモン作用が疑われるペルメトリンで、ホルサー油剤と乳剤が46kg使われました。
ノバフルムロンは薬剤使用の少ないベイト剤で、セントリコンシステムで使用されていますが、これは1件0.06kgのみでした。
表2 2008年度の名古屋市公共施設でのシロアリ防除用製剤の使用実態 −省略−
★みなさまに調査をお願いします
環境省は08年3月から、違法伐採による輸入木材の調達を防止することを目的に、「木材調達におけるグリーン化普及啓発キャンペーン」を行っています。
これは、前年に実施された地方自治体や住宅業界を対象としたアンケート調査結果を踏まえたものです。
しかし、合法木材や、国内の間伐木材、未利用木材を使っても、木材防蟻・防虫・防腐を、いままで通り薬剤処理に頼っていては、グリーン調達はクリーンとはなりません。
今後、環境省の求めに見あった資料を集め、10年度も役務『木材防蟻・防虫・防腐』を再提案したいと思います。
そこで、会員の皆様に以下のことをお願いします。お住まいの地域の公共施設について、新設、補修に関係なく、学校・保育園や公園などでのシロアリ防除処理や木材製品の防腐処理の実態が、どうなっているかを調べて、事務局に報告してください(期限は10年5月末まで)。
******** 調査をお願いします(わかるところだけで結構です) *********
@公共施設における処理対象について
保育園/幼稚園/小学校/中学校/その他の学校施設/
公園や街路樹(木製階段、樹木添え木、木製遊具ほか)/その他の公共施設(名称記載)にわけ、
・いつ、どのような場所で、どのような薬剤が、どのようにして、どの程度使用されたか。
・薬剤使用があった場合、散布以外の方法(たとえば、塗布、注入、ベイト剤使用)はとられたか。
・薬剤使用に際しては、園児、児童や生徒、保護者、施設利用者、教師や職員らに周知されたか。
・児童や生徒、利用者ほかがいない時に実施されたか。
A生息又は被害調査について
・シロアリ被害や木材腐食・虫食い調査はなされたか。
・シロアリや木喰い虫などの生息調査はされたか。
B薬剤使用以外の方法はとられたか。その方法はなにか。
C健康被害事例はなかったか。あった場合の被害状況と対処方法はどうであったか。
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作成:2010-01-31