街の農薬汚染にもどる
t22603#環境省、公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアル公表〜不十分だが、利用しよう#10-06
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【参考サイト】環境省:「公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアル〜農薬飛散によるリスク軽減に向けて〜」について(お知らせ) と
マニュアル、当グループのパブリックコメント意見と環境省見解
岐阜県:リーフレット
環境省農薬環境管理室は、5月31日付けで、公園や街路樹などでの病害虫や雑草管理に関する「公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアル」(以下、マニュアル)を発表しました。本誌223号で報告しましたが、2008年に「暫定マニュアル」として公表されたものを、今回改訂したものです。
その前に環境省はパブリックコメントをしました。反農薬東京グループも記事t22301に書いた問題点を中心に提出しました。このマニュアルは基本的に農薬散布を減らそうとしています。まだまだ不十分なところがありますが、使えるところはおおいに使いましょう。
★化学物質過敏症への配慮なし
環境省はマニュアル公表と同時にパブコメの回答もしています。以下に同省の回答のうち、特に問題と思われる部分を紹介します。
まず、私たちが最初にあげたのは、このマニュアルが化学物質過敏症や農薬弱者に対する配慮がないということです。「生活環境での農薬散布を中止する以外に、こうした人々を救済できない」との意見に関して、環境省は「散布場所近隣に化学物質に敏感な方が居住している場合の配慮などを含め」、周辺住民に十分に周知することが必要と回答しているだけです。周知すれば散布してもいいというわけですが、周辺に化学物質過敏症の人がいたら散布はやめるべきです。
また、健康被害についても一過性の目の痛み、頭痛などの症状を健康被害と認めていないのではないかという意見には、回答はありませんでした。
このマニュアルが自治体に限らず、農薬使用者すべてに適用されるよう強調してほしいという意見に対しては「一般の緑地にも有効であるので『参考として活用されることが期待される』と記載した」との回答ですが、それでは強調したことになりません。
生物農薬やフェロモン剤は安全だと安易にいうべきではない。たとえばBT剤は有効成分が7%で、残りの界面活性剤の成分名は明らかでない等の私たちの意見に対して、回答は「これら以外の農薬に比べると人や環境への影響が少なく、被害の発生も少ないと考えられます」とのことでした。
★立入制限は不十分
今回の改訂の一番大きな点である立入制限の元となる毒性評価について、「動物実験では全てわからないため子供への安全係数を1000分の1にすべき。また、健康被害者の意見を聞くか、疫学調査をすべき」という意見に対して、回答は「安全係数100は、通常の評価になっている。
また、繁殖毒性試験や催奇形成試験の結果、仔動物への影響が認められなかったから追加安全係数を乗じていない」「健康被害の調査については、被害の原因が多用であるため、毒性の数値を導き出すのは困難」として、拒否の回答でした。繁殖毒性試験で仔の影響はわからないという検討会で出された意見は無視しています。また、原因がわかりにくいから調査をしないというのは本末転倒じゃないでしょうか。
「立入制限時間が農薬が乾くまでとなっているが、不十分ではないか」との意見に対して「吸入毒性試験と農薬散布実態調査の結果を踏まえて設定した。立入制限期間を散布終了後までとしても毒性の閾値を下回るが、風による飛び散りも考慮して、散布終了後農薬が乾くまでにした」という回答です。
私たちは毒性評価自身に疑問を呈しているのですが、それは無視されました。大気中の農薬についても、無視しています。「農薬は乾けば安全」というのは揮発して大気にでてくる実態をみていませんし、そもそも検討会の吸入毒性評価検討会の名前が泣きます。
その他、「散布方法で吹上というのがあるが、飛散距離が長く、散布者にも危険なため、禁止すべきである」という意見には、関係ない回答がありました。
すくなくとも、 農水省と厚労省が主導している農薬危害防止運動の実施要綱にある、下記の農薬による事故防止のための注意事項を守ってもらいたいと思います。
『公園、校庭等に農薬を散布した後は、少なくとも当日は散布区域に縄囲いや立札を立てる等により、関係者以外の者の立入りを防ぐようにする。』
なお、私たちの意見ではありませんが「今後、さらに新たな農薬について評価する予定はあるか」との質問に、環境省は「現在、予定はありません。平成22年度から無人ヘリによる農薬散布を対象に『農薬の大気経由による影響評価事業』を実施することにしています」と回答しています。
環境省が送ってきた予算要求資料によると、今年度から3年計画で、「農薬の大気経由による影響評価事業」を初年度8000万円の予算でやるということです。
内容は、1、吸入毒性に関する情報収集、2、吸入毒性試験の実施、3、農薬飛散実態調査、4、検討会の開催とあり、最終的に1997年に決めた航空防除の評価値を新たに決めるというものです。本当に被害者の立場に立った検討がなされるよう十分監視していく必要があると思います。
★マニュアルの周知は?
マニュアル改訂過程で、さんざん、意見を述べて改善案を示しましたが、字句の訂正など、いわば枝葉末節のところは直されていましたが、肝心のところはそのままです。
とはいえ、農薬散布はできるだけ減らすという基本姿勢は高く評価できますので、皆さんも多いに活用していただきたいと思います。
前回のマニュアルは「暫定」という名前が付いていたせいか、環境省は印刷をしないで、ホームページに載せただけでしたが、今回はカラーで印刷し、必要な人に配布するということです。
環境省農薬環境管理室(03-5521-8311)へ連絡してください。
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作成:2010-09-25