街の農薬汚染にもどる

t22703#自治体によってこんなに違う農薬散布〜西東京市―昨年は市の管理する樹木に一本も農薬散布しなかった/豊中市―実施状況回答せず、「主に薬剤散布で対応」と#10-07
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 農水省・環境省の連名通知「住宅地等における農薬使用について」(以下、住宅地通知)に続いて、環境省の「公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアル」(以下、環境省マニュアル)が出て、行政での農薬散布は減っているものと思っていました。現に、事務所のある東京都西東京市では、昨年、市が管理する樹木に一本も農薬を散布しませんでした。
 こうした自治体が増加していると思ったのは、甘い考えでした。大阪府豊中市では、私たちの質問に対して、未だに「主に薬剤散布で対応しています」と回答してきました。  この二つの市の対応の違いを見ていきましょう。

■西東京市は2004年に指針
 西東京市では、2003年に第一回目の住宅地通知が出た後、反農薬東京グループなどいくつかの市民団体が、市で農薬を使用している部署全てに集まってもらい、話し合いを持ちました。保育園などで農薬散布している実情がわかり、いろいろな資料を配付して、不必要な農薬散布の中止を求めました。
 市は「害虫防除方法等基本方針」を作成し、できる限り、農薬を使用しないことにしました。初めのうちは何回か農薬散布がありましたが、昨年度の実績では対象施設413カ所のうち、樹木への農薬散布はゼロでした。
 「市民から農薬散布の要望はありますか。その場合どう対応していますか」との質問には「農薬散布についての要望は特にありません」という回答でした。市が管理する樹木に一度も農薬散布しなくても、西東京市が虫だらけということはありません。他の市と変わらない緑があります。
 また、チャドクガが発生するツバキ科の木は伐採したり、キンモクセイに植え替えたりしています。実は、合併前の保谷市は市の木がサザンカで、市民に苗木などを配布して、相当サザンカがありました。毎年チャドクガに苦しんでいたわけですが、道路脇のサザンカなどはさっぱり切ってしまいました。
 残念ながらまだ室内の殺虫剤散布は413施設のうち、41カ所で実施しています(次頁表参照)。使用殺虫剤は、スミチオン乳剤、スミスリン乳剤、サフロチン乳剤、市販のカーバメイト系エアゾル、アースジェット、ホウ酸団子、ヒドラメチルノンなどです。今後、薬剤散布をどうなくすかが課題になります。
  表 西東京市の主な公共施設の薬剤散布実績報告(平成21年4月〜平成22年3月)−省略−

■豊中市は薬剤散布が主要な手段
 会員から大阪府豊中市では街路樹や公園、学校で農薬散布をしているとの相談を受けて、今年に入って2回、質問状を出しました。一番大事ないつ、どの施設の、どの樹木に、どういう虫を対象に、どういう農薬を、どれだけ散布したかという質問には2回とも回答はありませんでした。普通の市町村では、施設名ごとにきちんと回答してきていますが、豊中市は調査してないのか、詳しい散布状況を知らせたくないのか、具体的なものがありません。そのため、ラベル通りに散布されているかどうか、不明です。
 回答はまず、「公園や街路樹につきましては、剪定による捕殺など、薬剤を使用しない方法も行っていますが、主に薬剤散布にて対応しています」と堂々と述べています。住宅地通知も環境省マニュアルも「我関せず」という態度です。基本姿勢がこれですから、農薬散布もひどいものです。一回目の回答に不十分ながら示されている樹木への散布状況をみましょう。
   <街路樹・公園>
     ○トレボン(ピレスロイド系) 
       散布回数:88回 使用量:原液11?
     ○ディプテレックス(有機リン系)
       散布回数:32回 使用量 原液16?
   <小学校・中学校・幼稚園>
     ○トレボン薬剤(ママ)
       散布校・園数:31校・園(全66校・園中)
       散布回数:1〜5回 原液使用量:1.76?
   <市役所>
     ○トレボン乳剤
       散布回数:1回 使用量:水で薄めて30?
   <市民会館>
     ○トレボン乳剤
       散布回数:1回 使用量:水で4000倍に薄めたものを500 ?
 トレボン乳剤はピレスロイド系のエトフェンプロックスです。豊中市はイラガに使用していると回答していますが、イラガには適用はありません。行政がラベル通りに使用しないのは問題です。このことを伝えても、豊中市は無視していますので、農水省に指導してもらうよう頼みました。

■過敏な一人に5回事前周知したと
 一回目の回答の中で「化学物質に過敏な人からの要望があれば、区域を限定し、その区域内で薬剤散布を行う場合は、可能な限り、事前にファックスでその要望者にお知らせしています」とありました。
 農薬で具合が悪くなる人がいれば、散布を中止するのが当たり前ですが、豊中市は事前にファックスで知らせているからいいとしています。では、どのくらい事前にファックスで知らせたのかと質問したところ、「平成21年度に薬剤散布を事前にお知らせした人数は一人に5回です」とのことでした。
 「一人に5回!」ということは、その人の近くで5回も農薬散布が行われたということです。これでは化学物質過敏症の人は年中倒れてしまいます。
 サザンカなどチャドクガのつく木は「新たに植えないよう配慮します」とのことで、植え替えはしないとのことです。

■室内散布も
 室内での殺虫剤散布についても質問しましたが、きちんとした回答はありませんでしたが、断片的な情報を伝えてくれました。市役所では、ゴキブリ、チョウバエの防除に、地下機械室内の汚水槽・雑排槽、地下駐車場内の汚水槽・雑排槽、厨房、執務室などに散布しているとのことです。
 汚水槽等の衛生害虫駆除はフェニトロチオンを9回、トイレ・厨房等衛生害虫駆除はフェニトロチオンを2回散布したということです。どこへどれだけ撒いたのかわかりません。そして「当該の薬剤散布については、庁舎内であることから近隣住民への周知はしていません」とあります。近隣住民だけじゃなくて、市役所を訪れる人へも周知してないのではないでしょうか。
 また、図書館ではピレスロイド系のペルメトリンを1回、別の図書館のトイレにはエトフェンプロックス(トレボン)を1回使用したとのことです。来場者にきちんと知らせているのでしょうか。
 いずれにしても、市の姿勢によって、これだけの差が出てくるわけで、散布自治体は、 住宅地通知、環境省マニュアル、厚労省の「建築物における維持管理マニュアル」「第6章 ねずみ等の防除― IPM(総合的有害生物管理)の施工方法」を遵守してほしいと思います。


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作成:2010-10-25