農薬の空中散布・松枯れにもどる

t23908#長野県のてんとう虫情報記事訂正要求の経緯〜県は防除実施基準を改定すべき#11-07
【関連記事】記事t23703記事t23704
      当グループの要望と長野県の回答
       7/07 長野県松枯れ農薬空中散布についての意見・質問書
       7/26 長野県松枯れ農薬空中散布についての意見その2


【参考サイト】長野県:農薬の空中散布検討連絡会議のページ
           松くい虫防除のための農薬の空中散布の今後のあり方検討の中間報告(案)当グループ意見および
           パブコメ結果と長野県の見解
           第5回有人ヘリ松くい虫防除 検討部会7月8日の素案
           第6回有人ヘリ松くい虫防除 検討部会7月29日のあり方案
           第4回農薬の空中散布検討連絡会議8月11日のあり方案

 最初に長野県から申し入れがあったのは6月3日でした。私たちの質問への回答の中で「質問とは関係ありませんが」として、「貴団体が発行されている「てんとう虫情報」2011/5/25 第237号におきまして、『空散できない場所を出来るとした長野県の欺瞞』と題した記事(以下「記事」と言います)が記載されておりますが、この記事の内容は全くの誤解による事実と異なる内容ですので、訂正をお願いします。」との要求がありました。
 なおかつ、「記事を掲載するときは事実確認のための十分な取材を行ってください」と付け加えてあり、今まで公表されていなかった長野県の防除実施基準が添付してありました。
 この記事は、3月に募集された長野県の「農薬の空中散布検討連絡会議」のパブコメ資料「松くい虫防除のための農薬の空中散布の今後のあり方検討会の中間報告案批判」と題して現在も連載中のものです。
 行政が市民団体の機関誌の記事の訂正を求めるなど、前代未聞で驚きましたが、6月9日に、@この申し入れはどこが出したのか、A会員に有料で配布しているてんとう虫情報をどこで手に入れたのか、B記事のどの部分を訂正しろといっているのかの3点について質問しました。
 6月13日の長野県の回答は、@については、長野県林務部森林づくり推進課(以下推進課と記す)である、Aについては、個人情報なので教えられない、Bについては、事実誤認と考えている箇所を5つあげ、私たちの記事にある『長野県のごまかしてでも、空中散布をしようとする態度』という表現に根拠がないというものでした。
 6月27日に、私たちの主張は誤解でも勘違いでもないと、推進課の指摘した箇所について、以下のように、推進課へ反論を出しました。

★県の主張への反論
 ア <県の主張>
    中間報告(案)の表7において、「「実施できる森林の指定」として挙げている」
    との表現 → 正しくは、「空中散布を実施する際に適切な対応を行うべき区
    域」を挙げたもので、「実施できる森林の指定」として挙げていません。
   <当グループの見解>
    表には「空中散布の実施基準及び実施できる森林の指定」とあり、「空中散布を
    実施するのに適切な対応を行うべき区域」とは読めません。

 イ <県の主張>
    同じく「以下の箇所を空散できる場所に組み入れていました。」との表現→ ア
    と同様で、空散できる場所に組み入れていません。
   <当グループの見解>
    上記アと同じく、表の表現では、そのように読めません。
 ウ <県の主張>
    同じく、「県のまとめた表では、住民の要望という条件が抜けおちています。」
    との表現 → 表7の趣旨は、表頭に記載したとおり、空中散布を実施する際の
    「実施条件等の内容」であり、国の防除実施基準で原則禁止となっている場所で
    の例外規定の適用条件まで詳細に記載すべき表ではなく、抜け落ちているという
    表現はあたりません。
   <当グループの見解>
    適用条件があることが表には書かれていません。国の防除実施基準では原則禁止
    になっているという重要事項は書くべきです。

 エ <県の主張>
    同じく、「団体等と協議するとの条件の記載がありません。」との表現 → ウ
    と同様です。
   <当グループの見解>
    適用条件があることが表には書かれていません。

 オ <県の主張>
    同じく、「禁止又は原則禁止を、「実施できる森林の指定」と表記」との表現 
    → ア、イと同様であり、そのような表記はしていません。勘違いです。
   <当グループの見解>
    表には、国の基準と県の基準の違いが述べられていません。
 また、パブコメで出した意見に反対なら、パブコメで反論すればすむことではないかとも記しました。

★県はなおも勘違いがある、訂正せよと
 6月30日に、推進課は3回目の回答を送ってきました。
  ア)については、『表側と表頭の意味を勘違いされていると思われます。一般的に表
   側は表の記載の区分を表し、表頭は記載されている内容を表しています。この表で
   具体的な内容が記載された事項の表頭は、「実施条件等の内容」です。御指摘の
   「長野県防除実施基準(空中散布の実施基準及び実施できる森林の指定)」は表側に
   あたり、単に御指摘の記載事項がどの通知に記載されているかの区分を示したもの
   です。』
  イ)については、『上記アと同じ誤解によるものです。』』   ウ)については、『空中散布を「実施できる森林の指定」を記載したものではない以    上、原則禁止ということも記載する必要はないと考えます。』   エ)については、『空中散布を「実施できる森林の指定」を記載したものではない以    上、団体と協議しないと空中散布が実施できないということを記載する必要はない    と考えます。   オ)については、『アと同様の勘違いであり、「実施できる森林の指定」を記載した    ものではありませんので、国の基準との違いを述べる必要はないと考えます。』
というものでした。
 推進課は、訂正要求の中で、『県が定めている長野県防除実施基準が、国の防除実施基準に違反していると記載されたことに対して、事実と異なるため訂正をお願いしているものです。』と主張しています。しかし、国の防除実施基準の第一項にある空散できない森林を書かないというのは、国の防除実施基準と明らかに違います。
 私たちは、このことを明確にするため、記事t23704に、資料として国の防除実施基準の第一項をあげ、解説をつけたのです。

★パブコメで反論すればすむこと
 推進課の6月30日の回答には「パブコメの意見を訂正していただく必要はありません」とありましたが、当たり前のことです。
 『ごまかしだ』という表現はパブリックコメント意見にも記載しており、県の検討連絡会議からの回答には、『国の防除実施基準では、空中散布が実施できない地域を定めており、長野県防除実施基準は、国の基準を遵守した上で、それら実施できない地域の周辺の松林で行う場合についても、一定の配慮をすることを定めたものであり、国の防除実施基準との整合性が図られています。』とありますから、県の一部署である推進課が目くじらたてて、市民団体に記事の訂正を要求する必要はなく、上の主張で事足りるというものです。

★県防除実施基準の修正を求める
 7月7日に、私たちは「長野県松枯れ農薬空中散布についての意見・質問書」を提出し、県の防除実施基準が、国の基準と整合性が図られているという推進課の主張に対し、国の防除実施基準と違い、散布してはいけない森林についての記述がないことを以下のように指摘しました。
  国の防除実施基準は原則禁止森林を定め、但し書きによって例外地域を設けているの
  に対して、長野県は、防除実施基準で冒頭から「森林病害虫等防除法第7条の2第1
  項の規定に基づく防除実施基準に定める特別防除を行うことのできる森林に関する基
  準に適合する森林を別表のとおりとする。」と定めている。その上で、「特別防除の
  実施に当たっては、特に次に掲げる事項に十分配慮し、特別防除を行う森林の周囲の
  自然環境及び生活環境の保全に努めることとする。」と注意を促しているだけである。
 その上で、県の防除実施基準に禁止地域を明示すべきだと主張しました。また、県の防除実施基準には別表で空中散布ができる場所を書いていますが、森林組合関係者ないし森林行政関係者しか知らない暗号のような林班名で示され、県民はどこが空散できる場所になっているか、わかりません。しかも、この基準を、ホームページなどで公表すべきだとの私たちの意見に、する必要はないと推進課は言っています。散布地域を地図で明示するよう求めました。

★今後のあり方素案で訂正されていたが
 7月8日に5回有人ヘリ松くい虫防除検討会が開かれ、中間報告案は、手直しされ「松 くい虫防除のための農薬の空中散布の今後のあり方(素案)」として公表されました。  問題になった表7からは、「空中散布の実施基準及び実施できる森林の指定」の文言が削除されたのみで、単に『長野県防除実施基準』となりました。しかし、国の防除基準の最も大切な原則禁止森林については長野県の防除基準から抜け落ちたままであることにかわりありません。
    
 私たちの機関誌の訂正要求をするよりも、まずは、自らの県実施防除基準の内容を改 めるべきです。
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作成:2011-09-26