空中散布・松枯れにもどる
t24103#この期におよんでまだ空散とは〜長野県の空散のあり方検討会の中間報告批判その6 無人ヘリ、ネオニコチノイド系散布面積は2.2倍増に#11-09
【関連記事】その1、その2、その3、その4、その5、その7、最終回。記事t24104、2011年の農薬空中散布情報
【参考サイト】長野県:農薬の空中散布検討連絡会議の頁
農作物に対する無人ヘリコプターを利用した農薬空中散布の今後のあり方(案)と
当グループ意見、パブコメ結果と長野県の見解
当グループの要望と長野県の回答
県の今後のあり方(2011年5月公表)
長野県は、昨年末、農薬空中散布のあり方検討連絡会議を設置しましたが、水田等での無人ヘリコプター散布については、5月末に、有機リン剤の散布自粛要請の方針を出しました。その結果、本年度の空中散布状況はどうなったかを思い、問い合わせたところ、表のような答が返っていきました。
長野県への質問と回答(8月5日)
表 長野県における、薬剤別無人ヘリコプター空中散布面積(単位ha)
− 2010年度及び2011年度のそれぞれ7月末までの届出状況 −
殺虫剤 殺虫・殺菌剤 殺菌剤 その他 農薬合計
有機リン ネオニコ ピレス 有機リン ネオニコ ピレス (肥料)
チノイド ロイド
10年 - 33 2 997 1487 245 529 249 3293
11年 - 338 100 - 3071 613 556 244 4678
農薬合計については、10年の3293haから11年の4678haと約1400ha増加しています。薬剤の種類別では、有機リン系(主にフェニトロチオン=MEP製剤)の使用はなかったものの 、ネオニコチノイド系(主にジノテフラン含有のスタークル)が単独殺虫剤で約10倍、殺虫・殺菌混合散布で約2倍の増加です。
06年6月、群馬県が、同様な有機リンの無人ヘリ空中散布自粛要請をしたあとのように、空中散布面積が減ること(本誌238号参照)を期待していましたが、見事に裏切られました。
それも、これも、県の方針に 『実施主体に対し、無人ヘリを利用して「有機リン剤」を散布することを自粛するよう要請し、他の農薬を選択するよう誘導する。』とあることが根本原因です。
★環境保全型農業に無人ヘリコプター空中散布はそぐわない
私たちは、4月末に、今後のあり方(案)についてのパブリックコメントで、以下のような意見を述べました。
『無人ヘリ農薬散布を不可欠とした、検討部会の論議には疑問を感ぜざるを得ない。
私たちがすでに行なった質問に、貴県は"環境保全型農業の推進については、農業者全体で積極的に取り組んでおります。"としているが、この方針と無人ヘリ農薬散布を続けることとは、矛盾するのではないか。
環境保全と称し、農薬製剤使用総重量を減らすために、粉剤等を成分含有量の多い乳剤や水和剤に、散布回数を減らすのに複合剤や残効性のある製剤に変更するようでは、農薬に頼っていることに変わりはない。
検討会議及び無人ヘリ部会の中で、環境保全型農業・有機農業の推進からみた農薬空中散布のあり方について、どのような議論がなされたかを明らかにされたい。
出来るだけ農薬に頼らない農業のあり方を追及すべきであり、無人ヘリコプター空中散布を減らすという方向性を打ち出すべきである。』
これに対して、長野県は、
『食品である農産物の安全性の確保は極めて重要な事項でありますので、生産コストや販売価格等を勘案しながら、化学肥料・化学合成農薬低減可能なIPM(総合的病害虫管理)やGAP(適正農業管理)等の導入について技術的指導を行っているところです。』
との見解を示しただけで、同県で実施されている環境保全型農業推進方針=長野県環境にやさしい農業推進方針、「長野県における持続性の高い農業生産方式の導入に関する指針」に基づく、エコファーマー認定制度、環境保全型農業直接支払事業の中での、無人ヘリによる農薬散布などがどのような位置づけになっているかを明確に答えませんでした。
そこで、無人ヘリコプター散布及び環境保全型農業との関連について、9月16日に、長野県の考え方を質しました。
長野県への質問と要望および回答(9月16日)
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作成:2012-01-24