空中散布・松枯れにもどる

t24103#ネオニコチノイド系ジノテフランについて、メーカー三井化学に聞く〜気中濃度調査 シロアリ防除剤は公表しているのに、無人ヘリ散布データは、まだ答えられない#11-09
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【参考サイト】環境省:農薬吸入毒性評価部会配布資料にある28日間亜急性吸入毒性試験に関する評価資料(案)
           飛散リスク評価検討会にある平成23年度 農薬飛散モニタリング調査実施計画(案)
       三井化学:シロアリ防除剤のミケブロックMSDS、
            農薬のスタークル液剤10MSDS
       食品安全委員会:ジノテフランの農薬評価書
       農水省:ジノテフランの農薬抄録
 水田でのネオニコチノイド系ジノテフラン(商品名スタークル液剤10など)の無人ヘリコプター空中散布は、記事t24103で述べた長野県だけでなく、全国的にも広く実施されています。
 この殺虫剤は、大量死したミツバチから検出されており、使用上の注意に『巣箱及びその周辺に飛散する恐れがある場合には使用しないこと』などと記載されています。  環境省の農薬の大気経由による影響評価事業で、飛散リスク評価と吸入毒性評価の対象となっていますが、 公表されている食品安全委員会の農薬評価書や農水省の農薬抄録には、吸入毒性や気中濃度に関するデータがみられません。

★ジノテフランの吸入毒性試験
 環境省の農薬吸入毒性評価部会はH22年度の第二回部会で、ジノテフランの亜急性吸入毒性試験に関する評価検討を行っています。公表されている毒性試験データはその要旨のみで、ラット一群雌雄各10匹を用い、対照群と濃度の異なる3つの投与群での28日間鼻部曝露試験についてです。
 一部のラットで、背部の薄毛又は脱毛及び眼球突出が見られましたが、対照群にも認められたため、毒性学的意義がないとされています。その他の検査でも、吸入曝露と関連する影響は認められず、無毒性量は、雌雄ともに最高用量の2.08 mg/L(雄:649.7 mg/kg体重/日、雌:819.3 mg/kg体重/日、アメリカでの評価は0.22mg/L)と考えられた、となっていますが、人に対する評価値はまだ、設定されていません。

★気中濃度調査〜無人ヘリデータはあるが、いずれ論文にと
 ジノテフラン製剤の農薬登録申請者である三井化学鰍ヘ、同剤を含有するシロアリ防除剤「ミケブロック」(ジノテフラン20%含有の土壌処理用顆粒水溶剤)を製造しています。
 同社作成資料には、その特長として、
・蒸気圧が極めて低く揮散しにくいため、居住者に対する安全性が高い。
・臭気、刺激性がほとんど無い。
・有機リン系薬剤、カーバメート系薬剤のようなコリンエステラーゼ活性への影響がない、 と書かれています。
 また、床下および室内空気の散布中、散布後のジノテフランの気中濃度調査が実施されており、 床下では、散布中に最高1.8mg/m3 =1800μg/m3検出、室内においては、最高濃度は0.04 mg/m3 =40μg/m3でした。施工1週間後の気中濃度は、室内床上と床下とも検出限界以下(8μg/m3)でした。
 三井化学は、『環境省では航空防除農薬を対象に気中濃度評価値を設定しているが、この算定方法を参考に、ジノテフランの評価値を試算した結果、2.6 mg/m3となった。室内最高濃度はこの評価試算値の1/60 程度となることより、住居者の健康に好ましくない影響が起きることはないと考えられる。』としています。
 しかし、ジノテフラン含有農薬の無人ヘリコプター散布による飛散や気中濃度データの報告はなく、環境省に聞くと『ジノテフラン及びエトフェンプロックスに係る調査については、民間企業において実施されたもので、今後、そのデータを活用したいと考えており、データの取扱いは現時点では未定です。』との返事でした。
 吸入毒性や気中濃度調査で、ジノテフランの揮発性が低いため、ガス濃度だけでなく、8倍希釈して散布された液滴の水分や溶剤が蒸発した後、活性成分の微粒子がどの程度飛散し、吸入されるかが問題となります。
 そこで、メーカーの三井化学鰍ノ、以下の事項について尋ねました。

三井化学への質問と回答


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作成:2012-01-24