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t24502#大震災被災6県から化学物質二次被害防止に関する回答〜岩手、宮城県で、震災廃棄物の野焼きや自然発火が目立つ#12-01
【関連記事】記事t23501東日本大震災情報にある化学物質による二次被害を引き起こさないための緊急要望
【参考サイト】宮城県:東日本大震災にかかる環境・衛生対策について対応マニュアル
       住友化学:問い合わせと回答(2011/11/30)

 昨年3月11日の東日本大震災後、私たちは、被災地対策について、所管大臣に、化学物質による二次被害防止の視点から、  
  1、震災廃材等の処理や農薬等有害物の漏洩防止
  2、安易な焼却処理と建設廃木材の再利用の中止
  3、被災地域での殺虫剤・殺菌剤等の安易な散布の中止
 の要望を行ってきました。
 震災9ヶ月を前にした昨年12月、被災6県(青森/岩手/宮城/福島/茨城/千葉各県)宛てに被災6県への問い合わせを行い、回答を得ました。今号では、@瓦礫処理等についてと、A感染症対策殺虫剤等についての質問への回答要旨を紹介します。

【前文】貴県におかれましては、県民の皆さまの生活維持、被災地域の復興に寸暇を惜しんで活動をされていることに、敬服いたしております。−中略− そこで、いままで、私たちが問題にしてきました震災瓦礫処理と感染症防止に加え、除草剤の無人ヘリコプター空中散布に関して、貴県での実情について、以下のお尋ねをします。

【1】瓦礫処理等について
(1)震災・津波に伴う有害物質の流出やそれに伴う環境汚染は、何件くらいありましたか。内容別に件数を教えてください。
[回答]福島は、確認されずとの回答でしたが、他の県からは、以下のような返事がありました。
 青森:事業所保有のPCB含有トランス1台
 岩手:PCB漏洩が陸前高田市1/大槌町2/野田村1各件と大槌町の岩手ケミカルの 工場からトリアジン系物質流出。
 宮城:有害物質使用特定施設119箇所のうち有害物質の漏えい5箇所(回収)。
 茨城:硝酸取り扱い業者から漏洩事故1件。
 千葉:PCB漏洩6(廃棄物や使用中電気機器、回収)

 農薬については、千葉から「農薬の流出等の報告は受けておりません。」との返事があ っただけで、他県の回答はありません。

(2)瓦礫の野焼きや瓦礫処分場の自然発火の発生件数を教えてください。
[回答]青森/福島/千葉の3県は、野焼きも自然発火もなかった又は確認されずとの回答でした。 野焼きについては、茨城県水戸市で2件、岩手県は大船渡市2/陸前高田市約20/大槌町1/山田町30/普代村1各件とのことです。
 宮城県は、野焼きについては、件数の回答はなく、環境省の「災害時における廃棄物の野外焼却(野焼き)について」の留意事項(廃棄物処理法では、野焼きは一般には禁止されているが、災害廃棄物は例外となる旨記載がある) に基づき、市町村の責任において実施されているとのことでした。
 瓦礫類の仮置き場などでの自然発火による火災も発生しました。岩手では陸前高田市1/釜石市1/山田町1各件でした。宮城では気仙沼市3/石巻市5/東松島市4/仙台市/2/名取市2/亘理町3で、合計19件でした。廃木材や畳、金属類、プラスチック類ほかの混合廃棄物が発熱し、可燃物が燃焼するわけですが、塩ビ製品などがあるためダイオキシン類の発生が懸念されます。

【2】感染症対策等について
(1)震災後、被災地や避難先での、感染症の発生件数、被害者数も教えてください。 [回答] 青森は報告なし、千葉は確認していないとの回答があり、下記4県県で、病名が報告されていますが、衛生害虫やねずみによる媒介感染はありません。
 岩手:レジオネラ症2/破傷風2。避難所での集団感染性胃腸炎2/インフルエンザ1件
 宮城:レジオネラ症2,破傷風7
 福島:避難所での急性嘔吐下痢症7/インフルエンザ2/急性呼吸器感染症2件
 茨城:避難所での急性呼吸器感染症(風邪症状)121/インフルエンザ4/急性下痢症15

(2)県および県内各自治体により実施された殺虫剤や殺菌剤等の処理の実態
[回答]県として実施しておらず、自治体が実施しているので、使用量などの回答のない県が多いでした。
 青森:インフルエンザにはクロルヘキシジンや塩化ベンザルコニウムを含有した
   エタノール溶液。浸水した家屋の消毒には消石灰やクレゾール。
   使用量把握していない。
 岩手:スミチオン乳剤756L(73.5万円)、スミラブ発泡錠74箱(47.9万円)、
   次亜塩素酸系消毒剤と逆性石鹸など6750L(312.5万円)、消石灰542.6トン(1497万円)
 宮城:県独自散布なし。各自治体で散布した殺虫剤や殺菌剤は,エトフェンブロックス,
  スミチオン,スミラブ,バイテックス,消石灰(数量経費把握せず)
 福島:県は殺虫剤等処理行っていない。市町村が実施した薬剤、数量、経費については
  把握せず。茨城 県としては実施しておらず、各市町村が対応したものと考えている。
 千葉:消毒活動を実施した自治体は、旭市、山武市、九十九里町、一宮町。
  薬剤、数量及び経費については、各自治体に確認されたい

(3)自衛隊による薬剤処理実態について
[回答]実施していない又は把握していないと答えたのは、青森/岩手/福島/千葉でした。
 宮城:気仙沼市,南三陸町,利府町,塩竃市,七ヶ浜町,名取市,亘理町,山元町,仙台市が実施。
 茨城 日立市でベンザルコニウム塩化物液実施。

(4)殺虫剤メーカーである住友化学株式会社による(a)スミチオン乳剤と
 (b)スミラブ粒剤(c)「タフガードネット」(ペルメトリン含有ネット)の設置援助の実態
[回答]住友化学に尋ねましたが、答えてくれないため、県に問いましたが、いずれの県も援助については実態は知らず、市町村に尋ねないと件数は不明のようです。
 岩手/宮城:県は受けていない。市町村の件数は把握していない。
 青森 :実績不明。福島:事実は確認できず。
 茨城:受けておりません。千葉:把握せず。

(5)殺虫剤や殺菌剤の散布による効果と散布に起因する健康被害や薬剤汚染の有無?
[回答] 効果については、宮城県が一定の効果ありと考えると答えただけでした。  一方、薬剤のマイナス効果は、青森、岩手、福島、茨城、千葉が、報告を受けていない又は確認できず、把握せずとしており、その有無が確認できませんでした。

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作成:2012-04-26