空中散布・松枯れにもどる

t25202#2011年の無人ヘリ散布面積は、過去最高の97万ha〜今年も龍ヶ崎市では住宅地周辺で強行#12-08
【関連記事】記事t23901(2010年)
【参考サイト】農水省:農林水産航空事業の実施状況について(2011年)
          全国状況と県別:有人ヘリコプター無人ヘリコプター
 毎年七、八月は、農薬の空中散布の最盛期ですが、農水省はようやく2011年度の無人ヘリコプターによる空中散布実績を公表しました。7頁の表(−略−)に都道府県別の数値を前年の2010年と比較して示します。
 無人ヘリによるトータル散布面積は、10年より約8000ha増の97.1万ha(うち水稲87.7%、麦類6.3%、大豆5.3%)で、最近の年間増加率3%前後から、昨年は1%をきったものの、過去最高でした。
 無人ヘリ空散は、東京、神奈川、大阪、和歌山、沖縄以外の全国で実施されており、北海道の16.2万haを筆頭に、秋田、山形、新潟が7万haを超えています。
 前年からの面積増減をみると、減少したのは19県で、地震の影響が大きかった宮城の7119haと福島の1993ha、これらにつづき1000ha以上減少したのが、新潟、栃木、山口、大分、熊本などでした。一方、増加したのは北海道5200ha、青森4504ha、山形3167ha、宮崎2188haにつづき、1000ha以上増えたのは、岩手、秋田、茨城、富山、福井、広島でした。
 昨年、無人ヘリによる有機リン剤の空散自粛を決めた長野は、散布面積が減ることはなく、223haの増加でした。
 無人ヘリの機体数と農林水産航空協会が認定するオペレーター数も、その伸び率は頭打ちですが、漸増傾向にあり、前者は昨年より64機増の2401機、後者は408人増の1万4571人でした。
 なお、私たちは、農薬別の散布面積の公表を求めていますが、農水省は明らかにしていません。

★茨城県龍ヶ崎市の無人ヘリ空散事例
【関連記事】記事t25201にある要望のp-11
【参考サイト】ネオニコネット活動報告
       茨城県 :県民の声の頁にある農薬散布の完全中止について(H22/01/06)
       龍ヶ崎市:Top Page環境基本計画 p-47,48(H23年改定版)

 右の地図(要望のp11)をみてください。今年の7月、龍ヶ崎市で無人ヘリコプターにより農薬(スタークル液剤10(ジノテフラン10%)とアミスターエイト(アゾキシストロビン8%))が散布された地域です。斜線と横線で示したのが散布個所の水田、●印は、健康被害を受けている人の家族の居住場所で、健康被害を避けるには散布を中止すること以外に考えられないことは一目瞭然です。
 ここに住んでいるのは、長年、水田農薬空中散布に苦しめられてきたAさんで、いままで、スミチオンやフサライドなどの受動被曝で、たびたび体調悪化、2008年には、娘さんが農薬中毒で集中治療室にはいるという事態になりました(記事t20608参照)。
 空散中止を求める864人の署名の提出を経て、龍ヶ崎市議会で空中散布中止を求める陳情書が採択され、市は地元JAに空中散布中止を求めたにもかかわらず、いまだにやめる気配はありません。
 本年は、実施計画が間際にになって明らかになったため、急遽、下記のような中止要望を、反農薬東京グループとネオニコチノイド系農薬中止を求めるネットワークの連名で、茨城県、龍ヶ崎市、JA龍ヶ崎市に送りましたが、JAからの回答は、『地区防除隊(水稲農家生産者様)から要請を受け、無人へり防除作業を請け負っております。』として、実施を強行するというものでした。
 市の環境基本計画では、農村環境の保全の項に、『環境に配慮した農地利用を促進し、自然破壊の防止を目指します』として、水稲病害虫防除薬剤空中散布面積を、2002年1891ha、2009年904haの実績を経て、2016年にはゼロとするとの目標を掲げていますが、その実現には、住宅地区における空中散布禁止が不可欠です。
*** 2012年7月18日の反農薬東京グループとネオニコネットの要望(前文略)と回答要旨***
【要望事項】
 1、来る7月25日からの、竜ヶ崎市内での水稲用無人ヘリコプター空中散布について、
  茨城県も龍ヶ崎市も23年には全面中止する旨、文書にて回答しているので、それを
  順守し、 即刻中止させて下さい。
 [市回答]全面中止する旨、実施主体に通知。

 2、2012年の現在になっても、まだ空中散布の全面中止が実現されていない理由を
  説明して下さい。 実施主体はどこですか。
 [市回答]実施主体は防除委託業者であるJA龍ヶ崎市に依頼している水稲生産農家。

 3、万一、散布が強行される場合は、 農水省・環境省2局長連名通知「住宅地等での農
  薬使用について」、農水省・環境省・ 厚労省3局長連名通知「平成24年度農薬危害
  防止運動の実施について」及び農水省通知「無人ヘリコプター利用技術指導指針」の
  記載内容の遵守だけではなく、以下の事項について、貴県・貴市は空中散布実施主体
  を厳しく指導してください。
    (1)受動被曝による健康被害の恐れのある地元住民を実施主体の責任で、避難させて
    ください。
    (2)スタークル液剤10及びアミスターエイトを無人ヘリコプターで散布した場合の環
    境汚染データが明らかにされていません。 製剤メーカーから情報をとりよせ、公
    表させてください。
    (3)実施主体には、今回の散布にともなう。下記の環境汚染の調査を実施し、公表さ
    せてください。
       土壌汚染調査、水系汚染調査、ミラーコート紙による飛散調査、
         ろ紙法による農薬成分の飛散調査
      大気分析による農薬成分の気体及び微粒粉塵の調査
  [市回答]避難は、JA龍ヶ崎市が実施するよう指導。農薬情報公表は登録制度所管官
   庁が行うべき。
  [県回答]調査は、県の要領に沿うよう指導(一部でミラーコート調査を実施したが結
   果未公表)

 4、今回の空中散布に際して、養蜂業者の巣箱の避難計画はどうなっているか教えてく
    ださい。
 [JA回答]該当養蜂業者は2件。

 5、学校、公共施設、道路通行者等への、空中散布実施の通知は、どうなっていますか。
   文書があれば、お示しください。
 [JA回答]市広報紙、新聞折込で予定周知。学校関係・警察署・消防署・保健所へ事
   前通知。通行者らには当日、JA職員・防除依頼生産者が対応。

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作成:2012-08-26