空中散布・松枯れにもどる
t25205#長野県の松枯れ空散で7.5倍希釈のエコワン3(チアクロプリド)散布#12-08
【関連記事】記事t24803
【参考サイト】千曲市:平成24年度 松くい虫防除対策について
坂城町:広報さかきのH24年6月号p-5、H24年8月号p-9
潟wリサービス社:Top Page、アカギヘリコプターのHPにある安全報告書
井筒屋化学産業:エコワン3フロアブル メーカーへの問い合わせと回答
今年の長野県での松枯れ対策有人ヘリ農薬空中散布は、県の検討連絡会議での論議の末、県防除実施基準が改定されたものの、前年39ha減の270haで実施されました。
憂慮すべきことに、来年度は新たに松本市で無人ヘリ空散実施の動きが出ています。
★千曲市と坂城町でエコワン高濃度散布
長野県で一番空中散布面積の多い千曲市及び、3年ぶりに空中散布を復活させた坂城町では、それまでの有機リン剤スミパインMCにかわり、ネオニコチノイド系チアクロプリド(以下チアクロ)3%を含むエコワン3フロアブルが使用されました。
通常のエコワン3の空散用希釈倍率は20又は40倍ですが、今回は、はじめて、7.5倍希釈で実施されました。単位面積当りのチアクロ量は約2.7倍となりますが、散布回数は1回でよいとされました。
農薬製剤の希釈倍率などの登録変更には、新たな申請が必要です。エコワン3の変更登録は11年9月7日に行われていました。メーカーの井筒屋化学産業に、変更の経緯を質したところ、昨年5月、無人ヘリ空中散布の試験を、農林水産航空協会に委託して、石川県、兵庫県、熊本県で実施し、調査した範囲では、7.5倍希釈の散布でも、昆虫相に対し一時的に僅かな影響を与えることはあるが、著しく悪影響が生じることはなかったとのことでしたが、試験データは示されませんでした。
★大気汚染調査ではすべて不検出だが
坂城町と千曲市での空中散布は、栃木県の潟wリサービス社が実施しました。当初の予定は6月18、19日でしたが、坂城町と千曲市の一部が19日、千曲市の残りは台風4号の影響でさらに遅れ6月21日になりました。
公表されたチアクロの大気汚染調査結果(散布前から散布4日後)は、千曲市が7地点56検体すべてで0.2μg/m3の定量限界以下、坂城町も同様で3地点24検体すべてで不検出(定量限界不明)でした。
今年は、長野県が植生、昆虫類調査や大気・土壌の調査(定量限界は、大気0.05μg/m3、土壌は0.005mg/kg) を実施することになっていますが、公表はまだです。
★チアクロプリド散布後の地表被覆物・土壌汚染
秋田県健康環境センターの小林さんらは、県南の海岸松林での、スパウターによるエコワン3フロアブルの地上散布後におけるチアクロの消長を継続的に調査しています。
2010年の事例を示しましたが、7/2の散布日前にも地表の松葉などの被覆物には前年のチアクロプリドとその代謝物のアミド体がみられました。経時変化をみると、散布1週間後にチアクロプリド濃度は1000ng/gのピークに、やや遅れて代謝物アミド体がピークに達し、やがて、それぞれ500ng/g以下に減少しますが、4ヶ月後も合わせて350ng/g程度残留していました。この間、被覆物から地表土壌にもチアクロやそのアミド体の移行が確認されています(前年は最大370ng/g検出)。チアクロ散布を続けることによる土壌残存農薬と生態系への影響が懸念されます。
図 2010年の松林被覆物の調査結果―第21回環境化学討論会予稿集より−(略)
購読希望の方は、〒番号/住所/氏名/電話番号/○月発行○号からと購読希望とかいて、
注文メールをください。
年間購読会費3000円は、最初のてんとう虫情報に同封された振替用紙でお支払いください。
作成:2012-08-26