街の農薬汚染にもどる

t25301#これだけは新通知に入れてほしい〜住宅地通知第3回話し合い<その1>#12-09
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  要望:  これだけは、通知に入れてほしい内容
 通知「住宅地等における農薬使用について」(以下「通知」改定の第3回話し合いは8月2
9日に、岡崎トミ子参議院議員とともに、参議院会館の会議室で行われました。反農薬東京
グループからは6人、農水省からは農薬対策室室長と補佐、植物防疫課から2人、環境省か
らは農薬環境管理室室長と補佐の2人でした。
 前号で報告したように、これだけは新しい通知に入れてほしいという14の要望につい
て、具体的に話し合いました。今号と次号にわけて、やりとりの要点を報告します。

要望1,住宅地周辺での農薬散布による健康被害の訴えが増えていることを明記する
<回答>
農水省:通知の目的は、19年通知にも「農薬の飛散を原因とする住民、子どもらの健康被
害が生じないように」と目的が書いてある。目的規定はそのまま変わらない。環境省の
「公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアル」(以下、「マニュアル」)には、健康被
害を訴えるものへの配慮で、事前に散布場所の近隣に化学物質に敏感な人がいることが分
かっている場合は、可能な限り早く連絡し、必要があれば対応について相談すると書かれ
ている。これを通知に反映させていくことで、検討したいと考えている。
<やりとり>
市民:健康被害の訴えが多いとは最初の通知に明記されているのだから、新通知にも入れ
るべきだ。
農水:増えているというデータがない。対策としては、健康被害を訴える人がいることを
前提に、きちんと周知の中に入れるということを新しく通知にいれたい。
市民:農水省の事故の報告には、住宅地周辺での受動被曝で健康を害したという報告があ
る。そういう訴えもあるので、それが生じないようにと通知に書けないのか。
農水:それは一般の健康被害の事故で、化学物質過敏症とかでない。ただ、過敏症の方の
被害の例はどれくらいと言われると、われわれはデータをもっていない。

要望2 通知に「飛散防止」だけでなく、(ガス状及び微粒子状農薬の)大気汚染による健
康被害防止もいれる。
<回答>
環境省:粉塵とか、気体の大気経由は、農水や環境の調査で、懸念されるような状況がみ
られていない。また、環境省マニュアルで立入制限の期間など提供している。私どものや
った調査結果では、揮散した大気の毒性試験、曝露試験の結果で、大気の経由の影響につ
いては、散布中であっても人への影響は見られない。しかし、農薬のミスト=スプレード
リフトについては、規制を設けなければいけないだろうということで、立入制限の期間と
かいうのを定めた。このマニュアルの時の調査結果を踏まえても、わざわざ、大気という
形で特記するような必要性はないと思っている。
 現在、無人ヘリによる大気経由の影響評価をしているが、そういった結果を踏まえて、
引き続き、リスク評価を行っていきたい。
<やりとり>
市民:しかし、マニュアルに出ているのは5農薬(DEP/MEP/イソキサチオン/エトフェンプ
ロックス/グリホサート)だけだ。すべての農薬についてではない。
 その農薬だけの大気中の農薬を考えるだけで、健康被害が起こらないとは言えない。
環境省:現状の科学的知見でいうと、そういったレベルでしかない。
市民:農薬の粒子や気体が散布地以外に存在するということは認めるのか。存在しても毒
性が少ないと。気中の毒性評価は今、有人ヘリの10農薬しかない。
環境省:曝露の濃度があるということは当然認めているが、それが汚染かどうかという話
になると別だ。汚染となると人への影響とか、生物への影響とかがある。リスク評価の
結果、問題があるとなれば、汚染と書くが、現状ではマニュアルにも通知にも、飛散しま
すよと書いてあるから、当然、大気に限らずミストも含めて飛散すると、認めたうえで、
書いている。
市民:大気による健康被害はある。量が少ないから問題はないといっているのか。
市民:過敏症の人が訴えると、濃度が低いから、健康被害はないと行政は応えるわけだ。
市民:だから大気汚染も入れたらいいのだ
環境省:いや、基本的に因果関係が分かっていないと。科学的にはっきりしないと。
市民:クロルピクリンは省令では揮散となっている。揮散はガス体だ。これはかかったわ
けじゃなくて、ガス化したもので何十人も被害を受けている。これは過敏症の人じゃない。
そういうことを考えると、大気という言葉を入れるべきだ。入れるのと入れないのとでは
受け取り方が全然違う。
市民:信じられない。農薬がかからなければ大丈夫だなんて。
農水省:クロピクは確かに揮散だ。はっきり言えないが、飛散、揮散で並べることはでき
ないことではない。ただその時に、科学的な知見では、飛散の方がリスクが大きくて、そ
れを管理すると空気中のやつを抑えられるという事実もある。だから、通知に書くという
よりも、今の段階でリスクが管理できるかというのを分かりやすく説明するということが、
今、できることじゃないかと思う。
市民:ベーパードリフトと環境省がいう限り、飛散の中にそれを入れてくれなければ困る。
農水省:大気経由じゃなくて、ミスト経由の方が影響が大きい。それを押さえるという意
味で出していただいている。そういうところに大気のところに書くことによって、それを
ゆがめるようなやり方は悪いので。
市民:飛散の内容にベーパードリフトも入るということを、わかるように入れてほしい。
環境省:それは、ご要望がありましたと。検討しますけど。実際には大気よりもミストの
方がリスクが大きいのでそれを軽減してしまうようなことはしたくないというのが、こち
らの一番の考えだ。
市民:厚労省も化学物質過敏症の病名を認めているし、もはや気のせいとは言えなくなっ
ている。
環境・農水省:検討する。
(飛散関連では、農水省の事故調査報告にある24事例で、散布個所との距離について別途
質問しましたが、きちんとした距離の答えはなく、おそらく、隣接しているか、数メー
ターが多い。クロピルピクリンでは、数十メートルの場合もある。とあいまいな答えたで
した。)

要望3 捕殺、剪定等の物理的・耕種的防除を第一に行うことをもっと強調する。いきなり
農薬散布をしてはならないことを明記する。定期散布は、はっきり禁止する
<回答>
農水省:基本的にご要望の趣旨を踏まえてやる。ただし、今の通知の文章は、住宅地、学
校、保育所、病院などの管理をする土地と、住宅地周辺の農地と一緒に入れてある。それ
で、農薬使用者等というのが誰なのかわからなくなってしまったのが問題だと。今、考え
ているのは、公共施設、公的な部分と住宅地周辺の農地については、かき分けをしようと
思っている。かき分けた中で、街路樹等はまず物理的防除を第一にする、定期散布を行わ
ないといったようにしたいと思う。

要望4 人がいる場所や夜間の農薬散布は禁止する。学校での授業中や、保育園での開園中、
公園、ホテルなどでの営業中等、人がいる場所での農薬散布と夜間の農薬散布は禁止する
ことを通知で明確に示す
<回答>
農水省:マニュアルに、農薬散布の際の立入制限の措置というのが書かれている。この内
容を踏まえた内容にしようと考えている。夜間についてだが、あまり他に情報が上がって
きていない。個別にいろいろ情報を聞いて、どういう事例があるかというのをいただいて、
対応したい。
<やりとり>
市民:神奈川県が一番夜間散布が多い。かつてはあちこちで夜間散布をしていたが、現状
で一番規模が大きいのは湘南海岸の松林に藤沢から茅ヶ崎、平塚、大磯までの11キロ、
国道134号線の両側の松林に例年6月に散布している。これを夜間にやっている。実態を見
ると、ライトを照らしてノズルで撒くのだが、松林の巾が長いために、ライトは10mしか
届かないのでその先、撒いたのがどこへいったかわからない。非常に危険だ。松林の奥は
小学校、中学校や住宅になっているわけだから、撒いた先がどうなっているか確認できな
いところでの散布は危険だと考えている。
市民:大分前に東京の区市町村に街路樹散布についてアンケート調査をしたが、そのとき
に夜撒くと回答してきたのが2,3あった。
農水省:通常は余りやらない。大変なので。多分人のリスクが少ないという考えでやって
いるのだと思う。本当にそうなのかどうなのかということを聞いてみる。
環境省:夜間散布を禁止しろというが、禁止するとどんなケースも全くだめとなるが、で
きるケースもあると思う。人の立入が規制できて、周りの人に周知ができて、昼間なら絶
対撒けないけれども防除の必要があるということであれば、適切な措置をとれば、たとえ
ば、照明を散布しているところにするとか、という対応を取ればできると思う。じゃあ、
今度、そういう通知を出して夜間散布をこうしてくださいと世の中に出すかどうか。
市民:禁止してほしいのだ。
環境省:禁止はおそらく難しい。
農水省:夜間散布は夜間散布として、ここに盛り込むかを含めて問題点を抽出して対策を
考える。

要望5,周辺住民や利用者等への周知内容を充実させる
<回答>
農水省:これもマニュアルの中では、7-2-5に周知内容が入っている。ただ全部写してきて
しまうと通知が厚くなるので要点を記載する方向で検討する。その中には、化学物質に敏
感な人への周知も含めて書きたい。それから、中毒の事例でどこに相談したらいいかです
が、農薬使用者がどこに相談したらいいかを把握して、住民の相談に応じて紹介できるよ
うにしたい。
<やりとり>
市民:農薬を撒かれて具合が悪くなったと、公園課などに電話すると、たらいまわしにさ
れる。
農水省:具合が悪くなった症状を見れるところは、お医者さんしかいないわけだから、そ
こはまず最初はきちんとどこに相談したらいいかということを、その人が教えられるよう
にすることが一番重要じゃないかと思う。
市民:その人に行き当たるまでに時間がかかる。
農水省:農薬を撒いた人に、きちんとどこに行ったらいいかを伝えられるシステムを作り
たいと思う。その人にかければ、たとえば中毒のことであれば保健所とか紹介できるよう
にしたい。
市民:そういうことはちゃんとした組織があればできるが、隣の家が撒いた場合はどうす
るのか。
農水省:それは日頃からのお付き合いでやっていただくしかないと思うが。庭で撒くとき
にビラを作れとは言えない。
市民:しかし、近隣のトラブルはものすごく多い。隣の家というのがすごく多い。
農水省:近隣のトラブルは難しい。それは公的機関に言ってもらうしかない。撒いてる人
がどこの中毒センターですとかいうのは、現実的に難しい。
市民:直接話して、聞いてもらえれば一番いい。そうじゃない。いくらいっても撒き続け
る人はいる。そういう人にやめてもらうために、わざわざ弁護士を雇って交渉した人もい
る。市町村にいっても市町村から電話してもらってもそれ以上、何もできない。撒く人に
意識を変えてもらわなければいけない。だから、きちんとした通知が必要なのだ。

要望6 飛散防止措置についてより具体的な記載をし、遵守を求める表現に変える
<回答>
農水省:今も、法律の罰則とは別に、ちゃんと守るようにと書いてある。ただ、個別の事
項を全て記載すると、通知が膨大になってしまうので、マニュアルと通知が結びつけ、し
っかり引用するような形にする。中身はこっちを見てくださいというのが一番分かりやす
い方法かなと思う。
**** 以下、記事t25402につづく

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作成:2012-10-27