室内汚染・シロアリ駆除剤にもどる
t25504#10年ぶりに、シックハウス問題に関する検討会が開催される〜新たな視点での使用規制が必要#12-11
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【参考サイト】厚労省:シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会
第11回検討会 配付資料と議事録(12/09/28)
第12回検討会 配付資料(13/02/08)
第13回検討会 配付資料(13/03/06)
久しぶりに開かれたシックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会について報告します。
反農薬東京グループは、結成以来、農薬成分と同じ殺虫剤やシロアり防除剤などによる室内空気汚染由来の健康被害を問題視し、原因物質の使用規制を求め、特に、1990年代から、シロアリ防除剤クロルピリホス、衣料防虫剤・トイレ消臭剤パラジクロロベンゼンをターゲットに運動を行ってきました。
私たちの度重なる要求を受け容れた厚労省は、専門家による「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」を設置、第1回会議を2000年4月に開催しました。その後、2002年1月22日までに、13物質とTVOC(総揮発性化学物質)の室内濃度指針値を設定し、建築材料などに含まれるホルムアルデヒドやクロルピリホスの業界自主規制、さらには、建築基準法による規制につながりました。また、家庭用品規制法におけるクレオソート油の規制やDDVPプレート剤の用法・用量及び使用上の注意の変更も、これらの延長線上にありました。
このシックハウス検討会は、02年以後、休眠状態になっていましたが、9月28日に、11回目の会議が開催されました。
★なぜ、再開されたか
検討会再開の理由を事務局は以下のように説明しています。
@最後の指針値が定められてから約10年経過している。
A指針値を定めた化学物質以外の代替物質による問題等が新たに指摘されている。
B新たな概念として、揮発性化学物質のほかにSVOC(準揮発性化学物質)の概念
が出てきた。
C細菌からも汚染物質が出ているのではないかという指摘。
DWHOの空気質基準の改廃の動向などと整合を図る必要があるのではないか
Cに関しては、MVOC(微生物揮発性物質)が問題となります。これは、室内で繁殖する細菌やカビが放出する物質で、私たちは、すでに、記事t04205(95年10月)で、この問題を提起し、化学物質そのものだけでなく、その分解物(熱分解、化学分解、光分解、微生物分解など)をもターゲットに含めるよう求めてきました。厚労省も今後の課題とするとしていましたが、ようやく、俎上に挙がってきたようです。
★準揮発性化学物質をターゲットに
【参考サイト】VOC研究会、日本家庭用殺虫剤工業会と日本防疫殺虫剤協会
A及びBが取り上げられたのは、いままで、個別物質として、室内汚染が危惧されてきた殺虫剤やシロアリ防除剤等の成分が、以前とかわってきていること、指針値が設定されているTVOCの定義が明確でなく、どのような化学物質が室内空気を汚染しているかを知ることが重要な課題となっていることの反映です。
最近では、一般的なVOC(揮発性化学物質)に加え、揮発しにくい化学物質が増えてきたので、あらたにSVOCという概念がでてきました。
検討会のメンバーのひとりである医薬品食品衛生研究所の神野さんが、同研究所・近隣の都内近郊を対象に63家屋の居間・寝室で調査した物質を表1に示しました。
塩ビ素材の壁紙やパソコン・家電製品に使われる可塑剤や難燃剤と、ダニやハエ、カ駆除剤、ユスリカ・コバエなど不快害虫駆除剤、白あり防除剤、衣料防虫剤など身の回りで多用されるピレスロイド系殺虫剤(表に略称で用途を示す)が対象となっていますが、検出値は不明です。
表1 予備調査対象となったSVOC類(出典:第11回シックハウス問題に関する検討会配布資料より、予備調査結果)
■フタレート系・アジペート系可塑剤 ■ピレスロイド系殺虫剤
ジエチルフタレード 薬:薬事法承認殺虫成分で衛生害虫用
ジブチルフタレート* 不:不快害虫用殺虫成分で、虫コナーズなどに使用
ベンジルブチルフタレート 白:業界認定シロアリ防除剤成分 衣:衣料防虫剤成分
ビス(2-エチルヘキシル)フタレート* アレスリン 薬/ フタルスリン 薬/不
ジブチルアジペード イミプロトリン 薬/ フェノトリン 薬
ジイソブチルアジペート エンペントリン 薬/不/衣 プラレトリン 白
ジオクチルアジペート シフェノトリン 薬/白 プロフルトリン 不
■リン系可塑剤・難燃剤 シフルトリン 薬/不 ペルメトリン 薬/白
トリエチルホスフェート トランスフルトリン 薬 メトフルトリン 不
トリブチルホスフェート ビフェントリン 白 レスメトリン 薬
トリス(2-クロロエチル)ホスフェート**
トリフェニルホスフェート * 室内濃度指針値あり
トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート ** 1993年、当グループの植村振作さんが公民館で検出
★検討会は健康被害者から意見を聞くべき
【参考サイト】日本しろあり対策協会:Top Pageと認定薬剤
日本木材保存協会:Top Pageと認定薬剤
環境省:「SAICM国内実施計画(案)」に対する意見の募集について(12/07/17)
当グループの意見、パブコメ結果と実施計画
VOC排出抑制対策の在り方について(報告)(案)」に対する意見の募集について(12/11/19)
当グループの意見、環境省見解
私たちは、シロアリ防除剤から有機リン剤クロルピリホスを追放しましたが、その原動力は、被害者の声でした。
現在、日本しろあり対策協会及び日本木材保存協会が認定した製剤や製品、工法などは合わせて約340種あります。成分別の認定商品数を次頁の表2にまとめました。
クロルピリホスのような有機リン剤はフェニトロチオンのみとなり、殺虫剤では、ピレスロイド系が8成分179製剤、ネオニコチノイド系が5成分90製剤、防腐剤では、コナゾール系が4成分79製剤と目立っていますが、成分別の年間使用量は不明です。
名古屋市は毎年、公共施設等でどのようなシロアリ防除剤が使用されたかを調べていますが、2010年度には、ネオニコチノイド系のクロチアニジン(タケロック)、ジノテフラン(ミケロック)、イミダクロプリド(ハチクサン)、ピレスロイド系のペルメトリンなどが、小・中学校や市営住宅等で使用されていました。これらの成分の多くは、低揮発性のSVOCで、空気中の気体だけでなく、室内埃中に漂う微粒子状物質を吸入する危険も無視できません。
ほかにも、衛生害虫殺虫剤を含む製品、たとえば、ダニ用防虫シート(ピレスロイド系成分)、朝日畳シート(有機リン剤MPP含有)、WCL防虫シート床敷き用/押入れ用/タンス用(ピレスロイド系、ベンゾイミダゾール系成分含有)などがあります。
また、室内を汚染するのは殺虫成分だけではありません。室内消臭・芳香剤や柔軟剤などさまざまな生活用品に添加されている香料、家具・建築材料や接着・塗装に使用されるポリウレタン(シロアり防除剤マイクロカプセル材としての用途あり)由来のイソシアネート類の空気汚染による健康被害の訴えも無視できません。
私たちは、本年8月に行われたSAICM(国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ)国内実施計画(案)についてのパブリックコメント意見募集で、原案に以下の点を追加するよう求めました。
○「室内外の大気汚染における農薬やこれと同じ成分を含む殺虫剤、シロアリ防除剤、
衣料防虫剤、可塑剤、難燃剤、イソシアネートを含むVOC類などの人の健康(特に、
化学物質過敏症)への影響評価が遅れている。」を追加。
○日常生活で人が使用する商品に、香料を添加されたものが増加している。香料のせい
で、体の異常を惹き起こす人もいるが、リスク評価もなく、使用規制もされていな
い。」を追加。
検討会が、対象物質を選定するに際して、最も重要なのは、まず、シックハウス症候群や化学物質過敏症の患者さんたちから、直接、被害体験の話しを聞くことではないでしょうか。
表2 業界認定のシロアリ防除用・木材保存用の成分別製剤・工法・製品等の認定商品数
成分名 商品数 成分名 商品数 成分名 商品数
■ピレスロイド 179 ■有機リン 2 ***その他つづき
エトフェンプロックス 35 フェニトロチオン 2 クレオソート 1
d・d-Tシフェノトリン 14 ■カーバメート 4 クロラントラニリプロール 1
シラフルオフェン 33 フェノブカルブ=BPMC 4 クロルフェナピル 2
トラロメトリン 3 ■IGR(昆虫成長阻害剤)9 サンプラス 14
ビフェントリン 57 クロルフルアズロン 2 チアベンダゾール=TBZ 8
ピレトリン 2 ベンゾイルウレア系 3 ヒノキチオール 1
プラレトリン 11 ヘキサフルムロン 1 ヒバ油 3
ペルメトリン 24 ノビフルムロン 1 フィプロニル 15
■ネオニコチノイド 90 ノバルロン 2 2-フェニルフェノール=OPP 1
アセタミプリド 5 ■無機系 29 メタフルミゾン 1
イミダクロプリド 29 銅系 10 BDCP 3
クロチアニジン 9 ほう素系 11 DDAC 8
ジノテフラン 17 亜鉛系 5 TCMTB 6
チアメトキサム 30 カルシウム系 3 IF-1000 6
■コナゾール 82 ■その他(含む共力剤) IF−NR 4
シプロコナゾール 53 イソチアゾリン 9 IPBC 42
プロピコナゾール 7 インドキサカルブ 3 MBT 6
テブコナゾール、 12 オクタクロロジプロピル MGK264 8
ヘキサコナゾール 10 エーテル=S-421 21 注:混合剤があるため商品数は延べ数
当グループから検討会への要望(13/02/19)提出
シックハウス問題に関する要望
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作成:2013-02-26