ダイオキシンにもどる
t25706#埋設POPs系農薬 未処理は新潟と鳥取の約400トン#13-01
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電子版「脱農薬てんとう資料集」No.8<ダイオキシン含有農薬とPOPs系農薬>とNo.8の参考リンク集
【参考サイト】農水省:埋設農薬の管理状況と県別処理詳細報告
農水省の指示で、1971年に土中埋設されていたPOPs系禁止農薬(難分解性、高蓄積性、長距離移動性、有害性を持つ物質を意味し、BHC、DDT、ドリン剤等をいう)について、同省は、08年7月当時の状況の調査結果を公表していましたが(記事t20704参照)、13年12月に、その後の処理についての報告がありました。以下に、その内容を紹介します。
★4年間に1800トンを追加処理
埋設農薬の総量は、24道県、168カ所で4374.008トンでした。農水省の調査では、成分別埋設農薬数量は、BHC:2203トン、DDT:912トン、アルドリン:68トン、ディルドリン:19トン、エンドリン:39トン、不明:1133トンとなっています。
これらのうち08年までに、無害化処理された農薬は、全国46カ所の総数量約2,200トンでした。新たな報告では、08年4月から12年12月までに、関係道県等において、約1,800トンの埋設農薬が無害化処理されたとのことです。
表には、道県別の状況を示しました(表中「処理済」は08年までの処理。「追加処理」はその後の処理)。
未処理量は、新潟県で、72個所205トン、鳥取県で、7個所143トンで、合計約357トンとなっています。新潟県は、埋設個所が多く、鳥取県は、埋設個所に建物などがあるためか、掘り起こしも進んでいません。農水省は、未処理の埋設農薬は、関係県等が、土壌調査、水質調査等を実施し、周辺環境が汚染されないよう適切に管理するとしています。
表 道県別埋設農薬の処理状況 −省略−
★POPs条約に基づく、国内実施計画への意見
【参考サイト】環境省:ダイオキシン類対策のページ
残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約に基づく国内実施計画」の改定のパブコメ募集と国内実施計改定案
当グループの意見、環境省の見解、改定された実施計画
PCB廃棄物の保管・処理について
PRTR法による集計結果について
埋設POPs系農薬については、国際条約であるストックホルム条約(略称POPs条約)にもとづき、加盟各国が処理等を実施することになっています。
昨年6月、環境省は、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約に基づく国内実施計画」の改定案を提示し、パブリックコメント意見を求めました。
POPs系農薬について、当ブループの主な主張と環境省の見解を以下に示します。
原案の「はじめに」の項において、
【意見】『我が国で農薬として使用されていた、DDT、アルドリン、ディルドリン
等』にBHCを追加する。以下、POPs系農薬には、BHCを含む。
[環境省]原案通り。BHCを入れない。
【意見】シロアリ防除剤として多用されたため、ディルドリンやクロルデンの環境汚染や
人体汚染が進行した事実を追加する。
[環境省]指摘どおり、追加する。
原案の「一般環境の状況」の項において
【意見】一般環境だけでなく、POPs類の人体汚染状況の項を設け母乳、血液、脂肪中の
経年変化データについて記述すべきである。
[環境省]原案通り。別項で、 POPs モニタリングを実施する旨を記述している。
経年変化を把握するのに十分なデータが得られていないため、継続的な調査の
実施によりデータを蓄積し、今後の改定の際に参考情報として活用していきます。
その他の意見として、
【意見】POPs系農薬(BHCを含む)の土中埋設については、300kg以下の小規模
埋設地の調査が必要である。旧日本軍の投棄・埋設した化学兵器について、環境省は
広く国民に情報の提供を求めたが、埋設POPs系農薬についても、同様に情報をひ
ろく求めて、埋立場所を特定する努力をすべきである。
【意見】POPs類を含有する製品、その製造・使用工場の所在、工場からの排出物、その
保管・埋設個所、環境調査結果等についての情報は、企業秘密とするのでなく、すべ
ての国民が知ることのできるようインターネット上で開示すべきである。
[環境省]PCB 廃棄物の保管・処理の状況については、PCB 特別措置法に基づき、
都道府県知事で公表しており、国のホームページでも公表されております。
(http://www.env.go.jp/recycle/poly/todokede/index.html)
また、ダイオキシン類や PCB を排出する特定の事業所については、化学物質排出把
握管理促進法に基づき、個別事業所の所在地および排出量等のデータが国等のホー
ムページで公開されております。
(http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/prtr/6a.html)
今後とも、これら POPs に関する情報提供の取組を進めていきます。
【意見】埋設又は回収されたPOPs類(以下ストックホルム条約の対象となっている
有機塩素系物質とBHC、ケルセン)及びダイオキシン含有農薬(2,4,5-T、PCP、
CNP、PCNB)の掘削、保管、処理は、関係住民に情報を公開し、その意向を尊
重し、かつその監視の下、新たな環境汚染につながらないように実施する。
[環境省]埋設処分された農薬は、管理者により厳重に保管されています。埋設場所
等の公開については、犯罪予防等に配慮して、各管理者が状況に応じて行うことが
望ましいと考えます。なお、埋設処理された林地用除草剤(2,4,5-T 剤)について
は、埋設個所の立入及び土壌かく乱行為を防止するため、標識、柵等を設置し、森林
管理署が適切に保全管理しています。
―後略−
★汚染等の調査 現状のままでは不十分
POPs製造工場やその廃棄処分場の環境調査や監視についても、以下のような原案修正意見を出しました。
【意見】POPs類及びダイオキシン含有農薬の製造工場の労働者についての遡及的
な疫学調査を実施すべきである。
[環境省]原案通り。御指摘の点については、今後の施策の実施に際して参考にさせ
ていただきます。
【意見】かって、塩素誘導体、POPs類及びダイオキシン含有農薬を製造・使用し
た工場の事業者に、敷地内(工程廃棄物の処理施設や埋設個所、排水経路を含む)
及び、該当工場の廃棄物の最終処分場におけるPOPs類及びダイオキシン類の環
境調査を実施し、その結果を公表することを義務づける。
【意見】土壌汚染対策法の特定有害物質に、POPs 系物質やダイオキシン含有物質
を追加し、化学工場、農薬の原体や製剤工場及びその排出物、廃棄物の最終処分場、
さらにこれらの跡地についても、環境調査を義務づけるよう、法改定を望む。
【意見】現在、塩素系誘導体を製造・使用している施設やそこから排出された廃棄物
の最終処分場、2,4,5-T や POPs 系農薬の土中埋設個所、過去において POP
s系農薬やダイオキシン含有農薬、その他の塩素系誘導体を製造・使用した施設及
びそこから排出された産業廃棄物の最終処分場の監視が必要です。
しかし、環境省は、いずれについても、原案通りとし、その理由は
『工場施設の敷地での土壌調査は事業者の判断により実施するものと考えます。工場跡地を含めて一般の土壌についてはダイオキシン法に基づき都道府県等が必要性を判断して監視や調査を行っており、都道府県により結果が公表されています。
廃棄物の最終処分場については、廃棄物処理法に基づき、一定濃度を超えるダイオキシン類が含まれる燃え殻等の廃棄物は、環境中へ排出されないよう遮断型最終処分場で処分されています。ダイオキシン類の濃度が基準未満の廃棄物は、管理型最終処分場で処分されますが、最終処分場の設置者は放流水については 1年に 1 回以上、また、最終処分場周辺の地下水については、原則として 1 年に1回以上、ダイオキシン類を測定することが義務づけられており 生活環境保全上の利害関係者の求めに応じ、その結果を閲覧させなければならないとされています。』でした。
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作成:2013-04-27