街の農薬汚染にもどる
t26201#肝心な点は「社外秘」でデータを出さず〜虫除け剤3メーカー(アース、キンチョー、フマキラー)に質問#13-06
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【参考サイト】アース製薬:Top Page、家庭用殺虫剤、虫除け剤
大日本除虫菊(キンチョー):Top Page、虫コナーズ、ピレスロイドの特長は?
フマキラー:Top Page、虫よけバリア
コーア:Top Page、ウナコーワにある虫よけ当番
日本家庭用殺虫剤工業会:Top Page、殺虫剤の種類と使い方、安全性について、家庭用殺虫剤概論
渡部さんのHP:Top Page、ピレスロイド
最近、虫コナーズなどの虫除け剤による健康被害の訴えが当グループにもよせられています。そこで、虫除け剤の大手メーカーであるアース製薬(株)、大日本除虫菊(株)(銘柄名はキンチョーなので、以下キンチョーとする)、フマキラー(株)の3社に製品に関する質問をしました。各社ごとに対象製品を特定し、含有成分とその毒性、薬効、環境への影響などを尋ねました。驚いたことに、宣伝以外には、「社外秘」「開示できない」が多く、ほとんど、わかりませんでした。ハエや蚊の衛生害虫でなく、不快害虫を対象としたテレビCMは増える一方、薬効も明確でなく、健康被害は増えるのではないかとの危惧を持ちました。以下に質問、回答を要約して掲載します。表にメーカー別の対象製品を示します。
表 質問対象とした虫除け剤リスト
メーカー 商品名 主な活性成分
アース製薬 バポナ 虫よけネットW 120/180/240日用/沖縄限定1年間 いずれも
バポナ玄関用 虫よけネットW トランスフルトリンと
バポナ自動(オート)スプレーW エムペントリン
大日本除虫菊 虫コナーズ プレートタイプ(100日用、150日用、200日用) いずれも
=キンチョー 虫コナーズ アロマ プレートタイプ100日用 トランスフルトリン又は
虫コナーズ玄関用150日用 メトフルトリン
フマキラー 虫よけバリア 130/180/240日用、 いずれも
虫よけバリア ブラック 70/100日用 トランスフルトリン
虫よけバリア ハローキティー ひと夏用(150日)
虫よけバリア 玄関用
★含有成分とその毒性について
(問1)製品中の活性成分は?
三社ともピレスロイド系のメトフルトリンやトランスフルトリンが使用されていますが、
その含有量は「社外秘」として、教えてくれません。活性成分はネットなど含浸されて
いる製品もありますが、成分の経時変化も不明です。また、フマキラー社のように、香
りのする植物精油をインジケータとして含有させた製品もあります。
(問2)製品にはアレルギーやかぶれなどを起こしやすい体質の人は、薬剤に触れたり、
吸い込んだりしないようとの注意書きがある。人の健康への影響は? 製品のMSDS
を示されたい。
アース:お問合せの製品が特に人の健康への影響が懸念されるわけではなく、医薬部
外品に記載されている注意書きに準じて記載している。
キンチョー:使用の目安及び使用上の注意に従いご使用いただいた場合、健康被害は
ほとんどないと考える。
フマキラー:本注意事項は、PL的な観点(化学物質に敏感な人に対して)から、ピレ
スロイド系殺虫剤を含む製品に一律に付している。なお、トランスフルトリンに皮膚感
作性はない。
(問3)当該製品を、室内で使用することについての注意は何か。長い期間吸い込んだ場合、
人の健康への影響はないか。
アース:『使用上の注意』には『狭い場所で使用する場合は、できるだけ密閉状態を
避け、時々換気をしてください』と注意喚起をしている。また、長い間吸入した場合で
も、人への影響は少ないものと思われる。
キンチョー:室内、屋外を区別して使用上の注意は設定していない。使用の日安及び
使用上の注意に従いご使用した場合、健康被害はほとんどないと考える。
フマキラー:室内での使用に際しては、以下の文言を付している。「狭い場所で使用
する場合は、できるだけ密閉状態を避け、時々換気をする。」また、弊社製品では、終
点が分かるようにインジケーターを付している。インジケーターの成分として植物精油
(シトロネラ)を配合していることから、香料が苦手な方は、一時的に気分が悪くなる
ことも考えられる(毒性的なものではなく、嗜好性によるものと認識)。
(問4)室内外に設置する際の、個数制限があるか。
アース及びフマキラー:使用の目安として、約14畳あたりに1個設置することを勧めて
いる。
キンチョー:設置数については、使用の
目安及び使用上の注意に従い、過剰使用にならないように設置して下さい。
コメント;室内使用ならまだしも、室外にぶら下げるのに、何畳との説明はわけがわか
らない。
★薬効について
(問1)虫除け対象であるユスリカ、チョウバエによる害は? いままで、人の健康に被害
があった事例があるか。
アース:人の健康に被害があった事例は特に把握していない。ただし、不潔である等
人に不快感を与えることが多く、また、食品工場などでは、製品(食品など)への異物
(昆虫)混入という被害も起こる。
キンチョー:日常の暮らしの中で、不快感を与える虫として認識されている。更に、
ユスリカについては、屋内塵性ダニ等と同様に、アレルギー性疾患を誘発することもあ
り、ユスリカ喘息という症例名で多くの学会報告もある。
フマキラー:いわゆる不快害虫が対象になることから健康被害はない。昨今の清潔志
向から、虫を忌み嫌うという精神的な害(不快感)になる。
(問2)対象昆虫について、各製品及び活性成分を用いた忌避効果及び殺虫効果を示す薬効
試験は、どう実施されているか。
三社とも、企業秘密で「社外秘」。
(問3)ユスリカ、チョウバエに対する忌避効果及び殺虫効果を示す気中濃度はどの程度か。
三社とも、企業秘密で「社外秘」。
(問4)戸外使用の場合、ユスリカ、チョウバエに対する効果を示す範囲は、製品からどの
程度か。
アース:一概に言えない。
キンチョー:有効範囲等の具体的な記載はしてないが、製品表示の「上手な使い方」を
ご参考にしていただきたい。
フマキラー:気中濃度は社外秘。
(問5)風速、風向による効果範囲の関係を示す薬効試験データがあれば、示されたい。
アース:社外秘。キンチョー:開示不可。 フマキラー:侵入を防ぐ効果(忌避効
果)は確認しているが、距離までは明確に確認していない。
(問6)ユスリカ、チョウバエ以外の昆虫についての薬効試験(昆虫名とその試験結果と効
果の程度)を教えていただきたい。
アース:主にこれら2種の昆虫を用いて試廉を実施している。
キンチョー:本製品の対象種以外の虫に対して実施した薬効試験はあるが、企業秘密
のため開示できない。
フマキラー:社外秘。
(問7)衛生害虫であるハエ、カについて、各製品及び活性成分を用いた薬効試験を実施し
ていたら、試験結果と効果の程度を教えていただきたい。
アース:ハエ、力については、日本家庭用殺虫剤工業会の資料。
キンチョー:企業秘密。なお、本製品の活性成分のハエ及びカに対する基礎薬効試験
結果を「家庭用殺虫剤とビレスロイド 日本家庭用殺虫剤工業会編」にある。
フマキラー:社外秘。
(問8)当該製品では、ハエ、カについての適用を示していないが、これら衛生害虫には効
果がないということか。
アースとキンチョー:ハエ、力は対象外。
フマキラー:社外秘だが、蚊について試験を実施し、効果があることを確認している。
薬事法の規制から、効果があっても標榜できない。
コメント:肝心の虫よけ効果をどのように試験しているかも、明かされない。科学的
データが示されないようでは、室外に吊るして、ほんとうに効果があるのか疑問。
3、環境汚染について
(問1)戸外に当該製品を吊るす場合、気中に放出されたピレスロイド成分が、設置場所
からどの程度の距離まで広がるか。
三社とも示すことの出来るデータなし。
(問2)製剤中の活性成分及び放出された活性成分は、製品開封設置後どのような挙動をす
るか。
アース:放出された成分は、直接高温や強い紫外線に、曝されると、酸とアルコール、
さらには低分子の化合物に分解すると考えられる。
キンチョー:紫外線や高温により酸とアルコールに分解するものと考えられる。
フマキラー:製剤中の活性成分は、使用時においても安定性が保たれる工夫がしてあ
る。(社外秘)。放出された活性成分は、日光、空気中の酸素の影響により分解される。
(公になっている海外評価書を添付)
(問3)身の回りのさまざまな昆虫の生息には影響はないか。標的以外の昆虫への影響を調
査しているか。
アース:当該製品は不快な害虫を殺すのではなく、忌避させるものであり、身の回り
のさまざまな昆虫の生息に影響があるとは考えていない。このことから、標的以外の昆
虫への影響は調査していない。
キンチョー:本製品は、殺虫剤ではなく虫を寄せ付けなくする虫よけ製品であること
から標的以外の昆虫には大きな影響はないと考えている。このため、本製品について評
価は行なっていない。
フマキラー:製剤としては評価していない。活性成分トランスフルトリンの公になっ
ている海外評価書を添付する。
(問4)長期にわたり使い続けることにより、耐性昆虫は出現しないか。
三社とも薬剤耐性に関する試験は実施していない、とのこと。フマキラー社は次のよ
うに、いっている。『ピレスロイド系薬剤であることから、耐性昆虫の出現を完全に否
定は出来ないが、本製剤における放出量を考慮すると、耐性昆虫は出現しないと推測で
きます。(一般的に、耐性昆虫は、ゴミ処理場等で薬剤を多量に高頻度で散布する場所
で起こる)』
コメント:ピレスロイド耐性蚊の出現も想定されるのに。
(問5)窓際等に設置されると、室内への流入が考えられるが、室内空気中に、活性成分及
びその分解物がどの程度検出されるかデータがあるか。
三社ともデータなし。アースは、『これら活性成分は、安全性を確認し医薬部外品と
して厚労省の承認を得たフアン式殺虫剤や蚊取り線香にも使用されている。従って、た
とえ、すべての放出成分が室内に流入したとしても問題になることはないと判断してい
る。』
(問6)含有成分に過敏な方への影響は、どのように考えるか。
三社とも影響は不明とし、さらに、アースとキンチョーは、活性成分は医薬部外品に
も使用されており、安全性は確認されているといしいる。
(問7)製品が廃棄される際、活性成分の残留量はどの程度で、廃棄方法はどのようにす
ればよいのか。
三社とも、『プラスチックごみとして廃棄してください』。としている。
コメント:残留量が不明では、燃えるゴミ、燃えないゴミ、有害ゴミかわからない。
★企業秘密が多すぎる
回答には、「社外秘」がなんと多いことか。効果を示す科学的なデータを公表せず、ユスリカやチョウバエ除けを目的とするのに、なんとなく、蚊にも効きそうだとのイメージを与えて、宣伝するのは、違法じゃないでしょうか。
三社とも、含有成分は「忌避剤」であり、殺虫剤ではないと言っていますが、トランスフルトリンもメトフルトリンも、ピレスロイド系の殺虫剤で、ハエ、蚊などの殺虫に使用されています。回答にも、そう書かれています。忌避剤だから殺虫力はないなどというのは、素人をだます悪質な言い方です。
両活性成分は、人には安全だといいながら、化学物質過敏症の方については、影響は不明としています。
どこから、漂ってくるかわからない、ピレスロイド系成分の受動被曝をなくすには、このような戸外で使う虫除け剤の製造・販売・使用をやめるべきです。
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作成:2013-06-27