空中散布・松枯れにもどる
t26404#茨城県での無人ヘリ水田空中散布は止まない#13-08
【関連記事】記事t25202
茨城県への要望、環境省への要望の【2】
★龍ヶ崎市の散布について
記事t25901で、昨年夏の茨城県龍ヶ崎市の水田での、無人ヘリコプター空中散布問題を取り上げましたが(農水省、環境省との住宅地通知の強化を求める交渉でも事例としてあげています−記事t25202、記事t25402参照)。
今年の散布について、茨城県に尋ねたところ、龍ケ崎市では、7/24,25,27,28,29、8/3、30に スタークル液剤10(ジノテフラン10%)が778.0ha(昨年は実績1518ha)散布される予定とのことでした。
これを踏まえ、6月下旬に、県と環境省へ、散布中止の要望等を行ってきました。
その要望と回答を示します。
★茨城県への要望と回答
【質問1】龍ヶ崎市では,昨年,市や住民の反対にも拘わらず,空中散布が実施された。
貴県には,散布地域やその周辺での農薬飛散調査を求めたが,きちんとした報告はな
されなかった。本年の龍ヶ崎市での散布予定について,実施内容,散布地域を地図で
されたい。
[回答]スタークルのほか、アミスターエイト乳剤(アゾキシストロビン8%)をJA龍ヶ崎
が散布する。散布周辺の地図添付。
【質問2】「住宅地等における農薬使用について」の条項について,龍ヶ崎市では,具
体的にどのような対応をされているか。
[回答]周辺住民に対し事前に周知したと聞いているとして、龍ヶ崎市防除安全対策協
議会の文書が示されました。
@実施中、水田圃場に入らない。
A通勤・通学路付近については、散布を早急に終わらせるよう作業を進めるが、
通勤・通学に際しては充分ご注意ください。
B薬剤が皮膚に付着した場合は、速やかに石けん等で洗う。
C自動車等の塗装物に付着した場合は、速やかに水洗いする。
D畜舎・開放井戸・自動車等には、一時的に覆いをする。
とあるだけで、健康被害が生じた場合の医療療機関の連絡先は記載されていませんでした。
【質問3】万一,散布が実施される場合は,農薬健康被害を訴える人の避難を完全にす
るよう指導するとともに,貴県の無人ヘリコプター適正利用指導要領第7項『必要に応
じ,農薬の飛散状況及び散布効果等に関する調査を行う』に従い,当該地域やその周
辺での大気中の農薬分析を実施し,結果を公表されたい。
[回答]龍ケ崎市の無人ヘリコプターによる防除では,農薬被害を訴える方のご自宅か
ら100m四方を緩衝地帯とし,飛散防止に努めるほか,実施時期に被害を訴える方が避
難を行った場合,その費用をすべて実施主体が負担していると聞いている。
農薬の飛散については,河川の水質調査を行う。
【要望】龍ヶ崎市の住宅地に近接した地域で,短期間に広範囲の散布をすることを,や
めてください。
[回答]「住宅地における農薬使用について」の内容を遵守し,住宅地に配慮した散布
を指導する。
★環境省からの回答は
龍ヶ崎市の件では、環境省へ要望をしましたが、下記のような回答で、実のない内容でした。
【要望1】茨城県龍ヶ崎市では、「住宅地通知」にあるように、散布に際して、配慮す
べき化学物質過敏症の方が、散布地域の近くにおられます。市も散布をやめるように
伝えていますが、実施団体は、これを認めません。ぜひ、散布をやめるよう指導して
ください。
(回答)無人ヘリコプターによる農薬散布については、農林水産省が所管・指導を行っ
ています。
環境省と農林水産省と連名通知「住宅地等における農薬使用について」において、
住宅地周辺の農地における病害虫防除に当たっての遵守事項として、周辺住民への事
前周知や、化学物質に敏感な方への配慮を要請しています。
なお、茨城県を通して確認したところ、市としては空中散布をやめる方向で対応等
を検討しており、散布面積も減ってきている、と承知している。
【要望2】私たちは、貴省に対して、短期間に散布する空中散布面積を規制すべきだと
の意見を述べてきましたが、貴省からはきちんとした回答は頂けませんでした。
貴省が実施されている「農薬の大気経由による影響評価事業」においては、フィー
ルドでの調査は散布面積は1〜3haです。
H24年度の茨城県の市町村別無人ヘリコプター散布面積の表を添付しますが、散布面
積を散布日数で除した数値が100haを超えるところがいくつかあります。
龍ヶ崎市もそのひとつです。同市の今年の散布予定をお調べになり、1〜2日に100ha
以上散布する地域がありましたら、広範囲散布の事例として、農薬の大気調査を実施
してください。―後略―
(回答)情報提供いただきありがとうございます。ほ場の面積については、環境省で行
っている「農薬の大気経由による影響評価事業」では、200m×210mのほ場条件でシミ
ュレーションを行っています。これは、ばく露評価を行った高さ(1.5m)に対し、水平
方向に100倍の長さがあれば、一般的にそれより長い場合でもばく露量はほぼ同じであ
ることが気象学で科学的に示されているとの情報から設定したものです。実際にほ場
の長さを100m、200m、300mと変えてシミュレーションした場合、ほぼ同じ結果となり
ました。このようなことから、今年行っているモニタリング調査では、シミュレーシ
ョンの条件とほぼ同じ面積のほ場での実施を予定しているところです。
なお、関東地方で1番無人ヘリ空散が多い栃木県(12年実績4万5890ha)では、ヨーロッパのネオニコチノイド使用規制を受けて、養蜂者や有機農業者が、那須町の無人ヘリ実施主体であるJAなすのに、申し入れをしましたが、詳細は266号以降で報告します。
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作成:2013-09-28