街の農薬汚染にもどる
t26603#東京都立公園等での農薬散布状況〜基本的に散布しないというのが一般的だが・・#13-10
【関連記事】記事t26301、記事t26501
東京都内の公園、霊園、庭園等で、どの程度、農薬が使用されているか、及び「住宅地等における農薬使用について(以下「通知」)」がどれほど植栽管理の末端に浸透しているかを調べてみました。
東京都には、国営公園(2箇所、約172ha)、都立公園(約80箇所、約1,961ha)、区市町村立公園(7,606箇所、約3,545ha)などがあるということです。都立公園数は動物園などをどう数えるかで少し変わってくるので、約80箇所としておきます。
これらの管理は2箇所(井の頭恩賜公園、上野恩賜公園は都の直営)を除いてすべて指定管理者が管理しています。
1、東京都公園協会が管理している公園等
【参考サイト】東京都公園協会:Top Pageと公園へ行こう、庭園へ行こう、霊園を知る・めぐる
当グループの質問:公園等における農薬使用と通知「住宅地等における農薬使用について」の件
一番多く管理しているのが公益財団法人東京都公園協会(以下「協会」)です。
そこで、まずは協会に質問しました。
住宅地通知に関しては、協会は、5月27日付けで通知を受け取り、速やかに担当職員に周知したとのことです。協会が公表している「委託業務標準仕様書」に関しては、13年10月頃に通知の内容を反映するよう改定するとのことです。
通知にある資格要件は、「以下のような地方公共団体における取り組み事例を参考にしつつ」とあり、参考なので、協会では定めていない。従って、資格要件を満たしている事例はないとのこと。また、研修会も実施していないという回答でした。
農薬を使用する公園等では、使用の周知をどうしているかとの問に対して、「東京都から指定管理者に示されている仕様、指針及び『住宅地等における病害虫防除等に当たって遵守すべき事項』に基づき事前に周知しています」と回答していますが、具体的な内容はわかりません。
農薬散布時の立入規制については、カラーコーン、コーンバー等で囲い、規制看板を設置しているとのことです。環境省が発行している(「公園マニュアル」については、個々の公園に配備はしていないとのことですが、現場でこそ必要なものなので、是非、配布してほしいと思います。
協会としては、基本的に、農薬を使用せず、剪定、刈り込み、捕殺等を実施しているという全般的な回答でした。
★農薬を使用していない公園等40施設
次に協会が管理している公園等の農薬使用状況を聞きました。
今回の質問は、農薬使用の有無と、使用場所(花卉・樹木、芝、その他の植栽管理、非植栽管理の区別)だけで、花卉・樹木の種類や使用農薬名、散布時期、散布回数、立入禁止しているかなどについて、詳しいことは尋ねていません。
回答があったのは、公園44、庭園9と霊園9、あわせて62で、2010年以後農薬を使用していない公園等は以下の40でした。
青山公園、赤塚公園、浮間公園、大泉中央公園、大戸緑地、
小笠原ビジターセンター・大神山公園、奥多摩ビジターセンター、小山内裏公園、
小山田緑地、葛西海浜公園、葛西臨海公園、木場公園、小金井公園、
小峰公園(小峰国民休養地)、小峰ビジターセンター、小宮公園、桜ヶ丘公園、
篠崎公園、芝公園、石神井公園、城北中央公園、善福寺川緑地、善福寺公園、
祖師谷公園、滝山公園、戸山公園、八丈ビジターセンター、光が丘公園、
平山城址公園、武蔵野の森公園、明治公園、陵南公園、林試の森公園、蘆花恒春園、
和田堀公園。
霊園は雑司ケ谷、青山、谷中、染井の4箇所で、葬儀場は、瑞江葬儀所でした。
回答ではこうなっていますが、たとえば戸山公園では近所の人たちが、薬剤散布しているのを見たと言っており、それが農薬だとすれば協会の回答も全面的に信用できません。他にも農薬散布しているところはあるかもしれません。上記の公園で農薬散布を目撃したらお知らせ下さい。
★農薬を使用している公園等は22
農薬を使用している公園等は22あり、使用場所を( )内に記しましたが、ほとんどが花卉・樹木=※でした。
秋留台公園(※)、砧公園(※)、神代植物公園(※)、舎人公園(※)、
長沼公園(※)、八丈植物公園(※、その他の植栽管理)、日比谷公園(※)、
水元公園(※)、代々木公園(※)。
浜離宮恩賜庭園(※)芝離宮恩賜庭園(※)小石川後楽園(※)、六義園(※)、
向島百花園(※)、清澄庭園(※)、旧古河庭園(※)、旧岩崎庭園(※)、
殿ケ谷戸庭園(※、芝)。
霊園:八柱霊園(芝、非植栽地域)、八王子霊園(※)、多摩霊園(※)、小平霊園(※)
2,東京都公園協会以外の指定管理者が管理している公園
【参考サイト】東京都建設局:Top Page、公園と指定管理者
協会以外の指定管理者が管理している公園は約半数あります。こちらは電話取材で簡単に聞きました。(建物管理が主なところは省略しました。)
★アメニス東部地区グループ(9公園管理)
【参考サイト】アメニス東部地区グループ:Top Page
管理公園=喜田公園、大島小松川公園、尾久の原公園、亀戸中央公園、猿江恩賜公園、汐入公園、中川公園、東綾瀬公園、東白鬚公園
回答「原則として農薬散布はしないが、亀戸中央公園ではサザンカの名所として親しまれているので、チャドクガ対策に農薬を散布している。スミチオン乳剤。年に二回くらい。他の公園ではやっていない」
★西武狭山丘陵パートナーズ(4公園管理)
【参考サイト】西武狭山丘陵パートナーズ:Top Page
管理公園=狭山公園、野山北・六道山公園、八国山緑地、東大和公園。
回答「去年、野山北・六道公園で一回散布した。スミチオン。アメリカシロヒトリが出たため。公園が小学校に近いので、小学校から言われて散布した。今年は撒いてない。」
★西武武蔵野パートナーズ(12公園管理)
【参考サイト】西武武蔵野パートナーズ:Top Page
管理公園=狭山・境緑道、浅間山公園、玉川上水緑道、野川公園、東村山中央公園、東大和南公園、府中の森公園、武蔵国分寺公園、武蔵野公園、武蔵野中央公園、六仙公園、東伏見公園(2013年開園)
回答「どの公園でも農薬は使用していない。」
★財団法人東京スポーツ文化事業団(1公園管理)
【参考サイト】東京スポーツ文化事業団:Top Page
管理公園=駒沢オリンピック公園
回答「チャドクガが出たら撒く。今年は5月27日にDEP(ディプテレックス)を0.1リットル、1000倍希釈で撒いた。撒くときはA3くらいの看板を出し、1週間くらい前から事前周知し、周りに立ち入らないように防護している。隣接住宅があればそこにも知らせている。HPでは知らせていないが今後検討したい」
★東京臨海副都心グループ(13公園管理)
【参考サイト】東京臨海副都心グループ:Top Page
管理公園=潮風公園、台場公園、お台場会場公園、臨海7公園 フェリー埠頭11
回答「チャドクガが大量発生した場合は農薬散布する。スミチオン。年に一回くらい。去年はマツカレハ発生して撒いた。撒くときはプリントしたものを木の幹にぶら下げたり、事務所に貼ったりする。客が利用するところに一週間くらい前から張り出す。HPでの周知は今後検討してもいい。園路周辺のツバキなどは、植え替えを検討する材料だ。除草剤は使わない」
★西武造園・NHKアート共同体(1公園管理)
【参考サイト】西武造園・NHKアート共同体:Top Page
管理公園=東京臨海広域防災公園
回答「農薬は基本的には使っていない。毛虫が出たとき、チャドクガなど家庭用殺虫剤を撒くが捕殺が基本。昔のように除草剤など撒かない。特にこの公園は病院の近くなので、以前より厳しくなっている。撒くのはスミチオンとかディプテレックス。撒くときは入園者がいないとき。早朝など。囲って作業している。見張りもいる。ツバキ科は植えかえたらという貴重なご意見を国(国土交通省)に伝える」
★東京都慰霊協会(1公園管理)
【参考サイト】東京都慰霊協会:Top Page
管理公園=横綱町公園
回答「原則として農薬は使わない。ツバキが100本近くあるので、チャドクガが問題。捕殺をしているが、大量発生したときにはトレボンを年に1、2回撒く。最初は手で取っている。撒くときはカラーコーンで区切り、作業員二人で撒く。一人は見張り。チャドクガが出る場所は決まっている。寒椿の植え込み。発生場所の地図を作り、マークしているが、別の木に出たりいろいろだ。園路や子どもが通るところはよく調べて、捕殺するようにしている。チャドクガ以外のモンクロシャチホコなどは枝を切るだけで後は放っておく」
★日比谷アメニス夢の島グループ(2箇所管理)
【参考サイト】日比谷アメニス夢の島グループ:Top Page
管理公園=夢の島公園、夢の島熱帯植物館
回答「基本的に農薬は使わない。ただスズメバチが出たときは巣に撒く。職員がやるときもあるが、専門業者に頼むときもある。園路沿いなど。チャドクガは枝を切って燃やす方法でやっている。熱帯植物園にはチャドクガは出ないが、イラガが出ることがある。今年は農薬散布はしていない。ハザードマップを作って毎年害虫が出そうなところを見回っている。今は農薬を散布するのが厳しくなっている。どうしても必要なときは東京都に相談する」
★東京動物園協会(4箇所管理)
【関連記事】記事t15904(セルコートとは)
【参考サイト】東京動物園協会:Top Page
管理公園=井の頭自然文化園、恩賜上野動物園、葛西臨海水族園、多摩動物公園
回答「動物を飼っているので、ほとんど使っていない。4園で年に一回くらい。バラ園でビフェナゼートを使った。撒くときは週に一回休園日があるので、その時に撒く。敷地が広いので外へは知らせない。チャドクガは捕殺か、セルコートを使う」
思ったより農薬使用は少ない印象ですが、基本的に撒かないといいながら、チャドクガが出たときは撒くというのが大方の回答でした。亀戸中央公園のようにサザンカをウリにしているところは別として、植えかえるなり、捕殺なりをもっと追究してほしいと思います。都立公園での農薬散布を止めさせるには、農薬不使用のチャドクガ対策の確立が急がれます。
3,松枯れ状況
【関連記事】記事t26004(淡路島でのグリーンガード使用)
【参考サイト】井筒屋化学産業:Top Page、商品情報
東京のど真ん中にある環境省管轄の皇居外苑で、松枯れ対策にネオニコチノイド系のエコワン3フロアブルが地上散布されていることが明らかになったことで(記事t26301参照)、協会が管理する公園等での松の状況について質問しました。
松の本数を聞きましたが、回答は、不明57、ゼロ5でした。協会は、松が何本あるかを確認していないのでしょうか。
枯れ被害状況についての回答の大部分は0でしたが、3霊園が被害本数を挙げ、農薬使用ありと答えました。八王子霊園は松枯れは年間2〜6本で、多磨霊園は19〜34本、小平霊園は4〜7本あり、今年の2月に、グリーンガード・NEO、ショット・ワン・ツーやマツガードなど樹幹注入剤を使用していました。公園では、長沼公園が被害本数は0〜3本なのに樹幹注入剤を使用していました。
樹幹注入剤以外の農薬使用はありませんでした。都内での松枯れ被害や対策を考えると環境省が所管する皇居外苑での地上散布がいかに根拠のないものかわかります。
【囲み記事】東京都公園協会の定款の「使用人」という言葉
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作成:2013-12-27