室内汚染・シロアリ駆除剤にもどる

t26806#全客室に殺虫剤定期散布のホテルが多数!神戸市に通知の遵守とIPMの指導強化を要望<#13-12
【関連記事】建築物衛生法関連記事:記事t18805記事t19801記事t20002
【参考サイト】厚労省:建築物衛生の頁 ねずみ等の防除〜IPM(総合的有害生物管理)の施工方法
      神戸市:Top Page環境衛生・食品衛生・動物衛生関係の許可・届出など
             総合的有害生物管理(IPM)について

★全客室に殺虫剤散布を指導できない?
 会員が所用で神戸市内のあるホテルに、害虫防除のための殺虫剤の使用状況を問い合わせたところ、客室や厨房、排水溝、屋外等に有機リン系やピレスロイド系殺虫剤を散布、客室は年2回、2〜3フロアずつ順次作業を実施、調査はしても結果に関係なく、害虫の発生のみられない客室も含め全客室に殺虫剤散布をしていました。
 平成15年の建築物衛生法の政省令改正とその趣旨、平成20年の通知で示された「建築物環境衛生維持管理要領」と「建築物における維持管理マニュアル」の情報や使用薬剤のリスクを伝え、室内殺虫剤散布の見直しをお願いしたところ、ホテルが保健所に相談した後の回答が「調査を実施しており、殺虫剤の散布は禁止されておらず、使用薬剤は国が認可している薬剤で、問題がない」「客室は生息調査も実施するが、全客室への散布は今後も続ける」というもので、保健所職員は2回の追加の指導の後「これ以上の指導はできない」と言ったそうです。

■17軒ものホテルが全客室に定期散布
会員は急遽、宿泊できる可能性のあるホテルを探して、神戸市内の複数のホテルに害虫駆除で客室に殺虫剤散布をしているかどうか尋ねたところ、23軒のうち17軒ものホテルが、全客室に年数回、液剤タイプの殺虫剤の定期散布を実施していました。厚生労働省生活衛生課に神戸市の現状を訴え、同課から神戸市生活衛生課に対し「指導を継続するように」との指導があり、保健所から再度利用予定のホテルへの指導が行われて漸く改善されることになりました。
法令改正後10年も経つのに、これまでどのような指導をしてきたのか、また、全客室への定期散布の実態が判明したホテルについて速やかに指導を実施すべきであり、当グループから神戸市生活衛生課に対し、11月19日に特定建築物等の室内殺虫剤定期散布の見直し及び指導に関する質問と要望をしました。以下に要旨を示します。

■質問と要望、及び神戸市の回答
  反農薬東京グループ:特定建築物等の室内殺虫剤定期散布の見直し及び指導に関する要望と再質問
【質問・要望 1】政省令改正からこれまでにどのような啓発・指導を行ってきたか。
 【回答 1】防除は薬剤の使用を前提としたものではなく、利用者等への影響を総合的
   に検討したうえで、適切な方法により実施することを、平成13年に特定建築物に
   対して文書で通知した。立入調査の際には、書類調査のうえ、実施できていない
   施設に対してはIPM手法を採用し、薬剤の使用量をできるだけ減らすように、また、
   生息調査を実施している施設に対しても、より一層薬剤の使用量を減らす努力を
   するよう周知・啓発・指導に努めてきた。しかし、これ迄のところIPM手法を
   広く徹底するには至っていない。
 【コメント】いろいろやってきたが、力不足で十分でないという言い訳。定期的な立
   入調査をもっと徹底させるなど指導方法の改善が必要。

【質問・要望2】全客室に定期散布を実施していると判明したホテルについて、速やかに
  事実確認をし、全客室への定期散布は中止し、通知に則して害虫防除を実施するよ
  うに指導してください。 
 【回答 2】旅館業(ホテル、旅館等)を対象とした立入調査の際、あるいは、特定建
   築物全施設を対象とした報告徴収の際など、できるだけ機会をとらえて早期の実
   態把握に努めるとともに、必要な情報提供・啓発・指導等に努めていく。
 【コメント】情報提供のあったホテルには直ちに事実確認をして、定期散布を中止、
   通知に即して実施するよう指導すべき。

【質問・要望3】「調査を実施するが、その結果に関わらず全客室に殺虫剤を散布するこ
  と」は、明らかに通知(要領やマニュアル)の内容に反しており、施行規則と告示
  で求める「調査結果に基づいた必要な措置で適切な方法による防除」とは言えず、
  「通知違反」であり「施行規則違反」と言えるが、貴課の見解と今後の指導方針は?
 【回答 3】平成15年の省令改正、告示及び平成20年の通知、マニュアルの趣旨は、調
   査を実施の上適切な方法による防除を行うことであることから、「調査を実施す
   るが、その結果に関わらず全客室に殺虫剤を散布すること」は、一概に法律違反
   とまでは言えないが、その趣旨に則していないと考えられる。今後は、法令、通
   知の趣旨に則り、必要な情報提供、啓発を行い、問題のある施設に対しては適切
   な方法による防除を行うよう助言、指導していきたい。
 【コメント】マニュアルは建築物衛生法の維持管理要領に基づいて作成されている。
   従わないものに対して「一概に法律違反とは言えない」とまず無罪放免するので
   はなく、その後に書かれている「趣旨に即していない」ことは事実なのであるか
   ら、しっかりその立場に立って指導すべきである。

【質問・要望4】年次報告書では、生息調査の結果や害虫防除の施工箇所、防除方法等の
  設問について、質問や回答の選択肢の内容を具体的にして、建築物衛生法の政省令
  や通知に違反していないか確認できるようにしたうえで、丁寧に指導してください。
 【回答 4】正確な実態把握のためにも、報告書の内容を検討したい。
 【コメント】調査票は2月に配布予定で、現在すでに内容を検討中とのこと。

【質問・要望5】数年に1回でも立ち入り検査を行うよう指導計画を見直すべき。
 【回答 5】報告書の確認により、生息調査や防除の実施の有無、回数等維持管理が不
   十分であると認められる建築物に対して重点的に立入指導を実施していたが、前
   問でご指摘のように、報告書の質問や回答の選択肢等の検討により、詳細な施設
   情報を把握したうえで立入りする等、より実効性のある指導方法を検討していく。

【質問・要望6】IPMに関する啓発リーフレットを作り指導に活用するととともに、ホー
  ムページ上にも掲載し、特定建築物以外の施設でも努力義務があることやIPMについ
  て市民にも啓発すること。
 【回答 6】IPMは特定建築物ではもちろん、それ以外の施設においても重要な考え方で
   あり、ホームページ、リーフレットを活用する等により広く啓発していきたい。
 【コメント】ウェブページを見ると丁寧な啓発とはいえない。内容が不十分で、維持
   管理要領も紹介すべき。名古屋市と愛知県を参考にリーフレットを早急に作って
   いただきたい。
   年次報告書と立ち入り調査による丁寧な指導の他、業者や管理責任者を対象とし
   た講習会の開催など県とも協力してIPMの推進を図るべきである。

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作成:2014-03-01