空中散布・松枯れにもどる

t27203#2014年度の農薬危害防止運動への要望と質問を提出
                 〜大型化を狙う無人ヘリコプターは要注意#14-04

 農薬危害防止運動:2009年2010年2011年2012年2013年2014年

【関連記事】2013年の危害防止運動:記事t26002記事t26102記事t26904(2012年農薬危被害統計)
      2013年無人ヘリコプター関係:記事t26104記事t26302記事t26404記事t26505
【参考サイト】農林水産航空協会:Top Page
       ヤマハ発動機:Top Page 無人ヘリコプター  Fazer
       "攻めの農業"に貢献する新型機 産業用無人ヘリコプター「FAZER(フェーザー)」を新発売(13/10/07)
    経済産業省:航空機製造事業法施行令
          航空機製造事業法施行令の一部を改正する政令が閣議決定されました(14/03/14)

  農水省:H26年度「農薬危害防止運動」の実施について実施要綱ポスター

 2014年度の農薬危害防止運動が間もなく始まろうとしています。これに先立ち、反農薬東京グループでは、3月28日、農水省、厚労省、環境省あてに、13項目にわたる質問と要望を送りました。

   2014年度農薬危害防止運動についての要望・質問

 重点をおいたのは、昨年の防止運動直前に発出された「住宅地等における農薬使用について」の新通知の一層の指導強化と拡大の道をたどる無人ヘリコプター空中散布問題です。特に、無人ヘリについては、昨年夏の死亡事故にも拘わらず、メーカーのヤマハ発動機が新機種「FAZER(フェーザー)」を開発し、販売強化に乗り出した上、いままでの総重量100kg級の機種から、積載量を上げて、150kg級にするという動きがでてきたため、以下に掲載するような要望・質問となりました。
   ** 無人ヘリコプターによる空中散布 **
 (2-1)昨年7月には、無人ヘリコプターによるオペレーターの死亡事故がおこりましたが、
  原因究明はどのようになっていますか。また、その他の2013年の無人ヘリコプター
  事故事例についても公表してください。

  農水省4月16日公表:平成26年度以降に向けた無人ヘリコプターの安全対策の徹底及び
            平成25年度の事故情報の報告状況について

 (2-2)無人ヘリコプターの2013年の使用状況について、都道府県別に、機種別機体数、
    作物別散布面積、認定オペレーター数(一般と高所作業者)を教えてください。

 (2-3)農水省は、私たちが公表を求めた農薬別の散布面積について、『一般社団法人農
   林水産航空協会が、農薬別の使用量・散布面積を取りまとめていないと承知しており、
   貴グループの要望をお伝えしました。』と回答されました。しかし、水稲については、
  農薬別散布面積(2011年まで)が環境省のHPに公表されており、これらのデータに秘
  密性があるとは思われません。その後、当該協会の前述資料のとりまとめはどのよう
  になっていますか。
   なお、環境省は、農薬別の散布面積について、2012、13年資料を請求したところ、
  所有していないとのことでした。「無人ヘリコプター利用技術指導指針」の第9項
  には、農林水産航空協会の役割として、
 『3、操作要員、機体、事業の実施状況等に関する情報の収集等による実態把握、無人
   ヘリコプター協議会、地区別協議会、実施 主体等に対する情報の提供等により安全 
   かつ効率的な利用の推進に努めること』
 『5、 上記1から4までに関する実施計画及び結果については、毎年度、農林水産省
   消費・安全局長に報告すること。』
 とあります。農林水産航空協会に対して、そのHP上で、農薬別の散布面積を公開す
 るよう指導してください。
  また、毎年、農林水産航空協会から消費・安全局長宛に報告書がでているはずです
 ので、農水省が指導できなければ、独自に公表すべきです。

 (2-4)「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」では、無人ヘリコプターに
   よる農薬散布については、第四条(航空機を用いた農薬の使用)の適用を受けず、散布
   計画の届出は義務づけられていません。
    2013年に明らかになった岩手県*の場合のように、指導すべき県が協議会に任せっ
   ぱなし、散布の周知も適切に実施されていない事例がありました。他の地方自治体の
     中には、地図入りで、散布予定や薬剤名をHPで公表しているところもあります。
    私たちは、「住宅地通知」の改定の際にも、散布計画の提出を義務づけ、国の責任
   で所管するよう求めましたが、遺憾ながら、実現しませんでした。
  実施主体に対し、無人ヘリコプター散布の場合の散布計画の提出と公表を、強く指導
   してください。(注*:記事t27107.htm参照)

 (2-5)無人ヘリコプター散布地域と住宅からの距離について
  農水省は、「無人ヘリコプター利用技術指導指針」を策定し、また、「住宅地通知」
   で、農薬散布の周辺への周知徹底を求めておられますが、私たちが求めている散布農
   薬の飛散や大気汚染による健康被害を防止するための緩衝幅については、『環境省で
   は「農薬の大気経由による影響評価事業」が行われており、無人ヘリコプターによる
   農薬散布に当たっての緩衝幅については、この検討結果を踏まえて検討する』との考
   えを示されたままになっています。
    農林水産航空協会発行の「産業用無人ヘリコプターによる病害防除実施者のための
   安全対策マニュアル」では、住宅を障害物とみなし、機体がぶつからないための距離
   20mを挙げていますが、その後、緩衝幅はどのようになりましたか。
    また、学校、その他の公共施設、通学路や生活道路、農薬の影響を受けやすい人の
   居住地周辺地域での、無人ヘリコプター空中散布はやめるよう指導してください。

 (2-6) 経済産業省所管の航空機製造事業法では、無人ヘリコプターで、搭載物を含む全
   重量が100kgを超えるものについては、その製造や修理に関する条文が適用されてい
   ましたが、2014年3月19日に、これを緩和し150kg以下の無人ヘリコプターに対し、同
   法の適用外とする政令が公布され、4月15日から施行されることになりました。
    現在、認定されている無人ヘリコプター機種で、性能上、積載量等を増やして、総
  重量を100を超え150kg以下にすることができますか。その際、オペレーターの育成に
  ついてどうお考えですか。また、該当する機種がない場合、その開発についてどう、
  お考えですか。

 (2-7)無人ヘリコプターの大型化を推進する航空製造事業法の運用改定は、いままでも
   事故が多発し、操作ミスしやすいなど問題がある無人ヘリコプターについて、より重
   い機種の開発を促すものであり、障害物が多いところで、農薬を散布することの危険
   性が増すことが懸念されます。
  これを契機に、機種認定、機体の点検・修理、オペレーターの教育・認定・認定取り
   消し、散布計画の届出、住宅地通知の遵守、事故調査などを、メーカーや使用者団体
   の利害関係者で作る農林水産航空協会まかせにせず、国が責任をもって実施する体制
   をとるよう、法的整備をする必要があると思いますが、いかがお考えですか。

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作成:2014-04-27