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t28605#環境省、殺虫剤等の調査結果を公表(最終回)ネオニコチノイド系を化管法(PRTR法)で指定せよ#15-06
【関連記事】記事t20605(2008年の記事)、記事t28205、記事t28405、記事t28505
【参考サイト】環境省:「平成18年度殺虫剤等に関する使用実態等調査業務」報告書、
平成26年度調査報告書、平成25年度調査報告
PRTRインフォメーション広場の頁にある届出外推計資料:H25年度殺虫剤排出量
記事t28405で、環境省の調査では、業界団体へのアンケートに出荷量の項目がないため、成分別の出荷量の統計値がないことを問題にしました。その上、薬機法(旧薬事法)による医薬品や医薬部外品については、農薬のような統計がありません。現状では、農薬についてだけは、毎年発行される農薬要覧とこれを元に、国立環境研究所が作成している成分別の農薬DBで、ほとんどの農薬について、出荷量を調べることができます。農薬以外で、出荷量がわかるのは、化管法(PRTR法)*の指定物質となっている成分についてです。同法で指定された化学物質は、用途別の分野で、年度毎に排出量(出荷使用量に相当)が示されます。農薬、殺虫剤等、防虫剤・消臭剤の分野があり、後2者は、業界団体情報から推計されています。
表に3月に公表された2013年度について、殺虫剤の組成(活性成分、溶剤、乳化剤などの補助剤)のうち、活性成分について示します。
*化管法:「特定化学物質の環境への排出量の把握及び管理の改善に関する法律」の略称で、生態系への有害性があり、環境中に広く存在する化学物質が第一種指定物質(現在462物質)とされ、事業者にその排出量の報告が義務付けられます。
表1 2013年度の化管法指定物質の殺虫剤等年間排出推定量
対象化学物質 年 間 排 出 量 (kg/年)
成分名 成分の @ 家庭用 A防疫用殺虫剤 B不快害虫用 Cシロアリ防除剤 合計
種類 殺虫剤 自治体 防除業者 殺虫剤 業務 家庭
フィプロニル その他 (57) 24 2787 2811
エトフェンプロックス ピレス 480 320 585 2389 670 4444
テブコナゾール その他 2835 2835
トラロメトリン ピレス 342 29 75 446
フェンプロパトリン ピレス 971 971
テトラメトリン ピレス 18889 296 197 2559 21941
ジクロロベンゼン その他 25640 15223 10149 51012
トリクロルホン 有機リン 285 190 475
ダイアジノン 有機リン 62 251 167 480
フェニトロチオン 有機リン 16631 11088 1217 28936
フェンチオン 有機リン 2282 1969 1313 288 5852
ペルメトリン ピレス 3014 1187 791 1193 6322 717 13224
ほう素 その他 (18663) 242 155 397
カルバリル カーバ 11703 11703
フェノブカルブ (BPMC)カーバ 11159 17117 28336
ジクロルボス 有機リン 11880 28868 19245 59963
( )は食餌用で、合計にはいらない。成分の種類で、カーバはカーバメート、ピレスはピレスロイド。
なお、ジクロロベンゼンは上表とは別に、衣料用防虫剤とトイレ消臭剤があり、それぞれ、排出量は、
防虫剤:10,292,600、消臭剤:912,900、合計11,205,500 kg/年。
表1にある家庭用及び防疫用殺虫剤は、薬機法承認の製品で、有機リンやピレスロイドが多くあります。
農薬でお馴染みのフェニトロチオン(MEP、スミチオン)、トリクロホン(DEP、ディプテレックス)、ダイアジノン、ジクロロボス(DDVP)、フェンチオン(MPP)が眼につきます。DDVPは農薬としては登録失効していますが、衛生害虫駆除用にはまだまだ、使われています。
表にある指定物質以外に、薬機法で承認されているゴキブリ駆除剤メトキサジアゾンやピレスロイド系の蚊や不快害虫用のシフェノトリン、フェノトリン、メトフルトリンなどの使用量も知りたいところです。
★シロアリ防除剤成分別使用量を明かに
【参考サイト】日本しろあり対策協会:認定薬剤リスト
アクトビヨンドトラスト:ネオニコチノイド系化学物質の国内使用に関する基礎データにある
建材に使用されるネオニコチノイド
木材処理には、防蟻剤としてシロアリ用殺虫剤及び防腐・防黴用殺菌剤が使用されます。H26年環境省調査で、シロアリ剤として配合の多い成分は表3のようでした。それぞれ、登録農薬、薬機法承認、化管法指定の状況を示してありますが、ネオニコチノイド系など指定のない製剤が、身の回りで使われているにも拘わらず、その使用量は不明なままです。
表3 環境省調査におけるシロアリ防除剤の成分別製剤数と法規制状況
製剤数の( )はH25年調査結果、 *:動物用医薬品を除く
成分名 製剤数 主な商品名 登録農薬名 薬機法承認* 化管法指定
ビフェントリン 25(29) アリピレスME テルスター なし なし
IPBC 13(13) 防蟻剤との複合剤多数 なし なし なし
(化学名:3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート、一般名:ヨードカルブ)
クロチアニジン 10(10) タケロック ダントツ なし なし
エトフェンプロックス 9(11) サンプレザ− トレボン あり あり
フィプロニル 9(10) アジェンダ プリンス あり あり
イミダクロプリド 9(10) ハチクサン アドマイヤー なし なし
ペルメトリン 8( 9) サイゴー アディオン あり あり
シプロコナゾール 8(12) 防蟻剤との複合剤多数 アルト なし なし
ジノテフラン 5( 6) ミケブロック スタークル なし なし
チアメトキサム 5( 7) オプティガード アクタラ なし なし
★化管法指定物質の追加を求める
私たちは、殺虫剤等の成分である化学物質が、化管法の指定物質になっていないため、使用量が不明なことを問題にし、2008年、2011年につづいて、本年も、同法の所管省である経産省、厚労省、環境省に対して、指定物質の追加を求めています。これには、上記のシロアリ剤成分のネオニコチノイドやIARC(国際がん研究機関)が発がん性ランクを上げた除草剤グリホサートを挙げました。この件では、農水省にも、化管法指定を推進するよう求めています。
発がん性農薬とネオニコチノイドに関する要望と回答
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作成:2015-08-27