空中散布・松枯れにもどる

t28703#ドローン型無人ヘリによる農薬散布の禁止を要望〜機体の安全性も不明、オペレーター資格認定もなし、散布条件も決まらず#15-07
【関係記事】記事t27703記事t28501記事t28508
【参考サイト】農水省:無人ヘリコプターに関する情報にある
            無人ヘリコプター利用技術指導指針(最終改正:H27/07/28))と安全対策の強化・徹底に関する通知集
       農林水産航空協会:Top Page安全対策マニュアル合図マンマニュアル運用要領安全飛行ドリフト防止対策
       ・ドローン研究所農薬散布用ドローン
       ・テクノヤシマ農薬散布用マルチコプター
       ・Mac-Factory小型無人農薬散布ドローン
       ・AAA農業用ドローン
       ・暇村工房農業用ドローンのテスト飛行

 ドローン型無人ヘリ(以下、ドローンという)について、私たちが、農薬散布との関連で、取り上げたのは、3月に実施された総務省の「国の行政に関する意見・提案」、ついで、翌月、今年の農薬危害防止運動を前に農水省らへ出した質問と要望でした。その後、4月22日、官邸屋上に,ドローンが落下しているのがみつかり、治安面からの規制問題が一気に浮上しました。この頃、会員の方から、ドローンを農薬散布に利用しているのではないかという情報が入ってきました。インターネットで調べるといくつかのドローン販売業者が農薬散布をうたって宣伝していました。価格も通常の100kg級農薬散布無人ヘリコプターが1000万円を超えるのに、積載量は少なく、飛行時間は短いものの、100万円以下の製品も販売されていました。農家が個人持ちで、小規模に散布できる可能性を秘めていますが、ドローンを、事故なく、適切に農薬散布できる方法は確立していません。

★総務省への要望で、法規制を求める
 3月の総務省への意見では、農薬を空中散布する無人ヘリコプターの国による一元管理を取り上げ、農薬散布用の無人ヘリコプターの製造、使用等については、国が法律で取り締まるべきであるとしました。
 『昨今、ドローンと称する小型無人ヘリが話題になっており、事故防止のため、法規制が検討されるとの報道が見られるが、これより、大きな機体−総重量100kgとなる−の農薬散布用無人ヘリコプター約2600機が、法規制もないまま、全国を飛びまわっており、下記のように事故も多い。
H23年:43、H24年:25件、H25年:32、H26年:49(うち、負傷2及び死亡1件、他は物損事故)』と指摘し、国の取締りでなく、業界団体による一般社団法人「農林水産航空協会」に、無人ヘリコプターの機種選定・保守点検・オペレーターの教習・免許の交付、農薬散布状況や事故調査などの関連事業を任せている現状の改善を求めました。

★農水省からの回答:目下検討中
 私たちが、4月のはじめに出した農薬危害防止運動に関する質問への回答が農水省から届いたのは、7月3日でした。その中の無人ヘリに関する項は以下のようです。
 【質問】前略−農水省の昨年のお答えは『現在の無人ヘリコプターの利用状況等を踏
  まえ、現段階で法律を制定するなどの新たな規制を定めることは考えておりませ
  ん。』とのことでした。現在より大型の150kg級無人ヘリコプターの開発に加え、小
  型なドローン型無人ヘリコプターにも法規制の動きがでている現状を知ると、法規
  制の環境が熟してきたように思えますが、どうお考えですか。
 [農水省植物防疫課からの回答]
  いわゆるドローンなどの小型無人機に関する法整備及び規制については、「小型無
  人機に関する関係府省庁連絡会議」において、運用ルールの策定と活用の在り方、
  関係法令の見直し等の方向についてとりまとめられ、政府内の検討が進められてい
  るところです。
   農業における無人ヘリコプターの空中散布等についても、こうした議論を注視し
  ていきたいと考えています。
★5月15日の質問へは答えず
⇒ 8月19日に回答あり  私たちは、5月15日、「無人ヘリコプターとドローン型ヘリによる農薬空中散布についての要望と質問」でより詳細な問い合わせをしましたが、8月19日に、やっと、回答(要望と質問に追加)がありました。

★ドローン使用は2県で実施事例あり
  農水省は、4月24日、都道府県等に発出した事務連絡27消安第787号「小型無人機を利用した農薬散布等の実施について」で、無人ヘリコプター利用技術指導指針の適用を受けないドローン型やホビー用無人ヘリコプターについて、『これら機体による農薬の空中散布については、対象作物への確実な散布や安全な飛行が確認されていないため、農薬の飛散や農作物の残留基準値オーバー、さらには、作業者や一般市民への機体への接触による事故等の発生につながる可能性がある等の問題ある』とし、5月13日を期限として利用実態の調査しました。
 私たちは、5月7日に、に都道府県に対してアンケート調査を実施しましたが、その中で、ドローンに関して、2つの質問を行い、47都道府県中石川、沖縄、佐賀、滋賀以外の43都府県から回答得ました(記事t28601ドローン追加質問参照)。
 【質問1】農薬等の散布を行う有人ヘリコプターや無人ヘリコプターの飛行地域へド
  ローンが侵入し、衝突事故等が起こる危険があります。
  どのような事故防止対策をおとりですか。
  [回答] 無人ヘリコプター散布を実施していない東京、神奈川、大阪、和歌山は、
   この質問にはあてはまりませんが、回答をみると、せいぜい、無人ヘリ講習会で
   情報提供する(高知)、合図マンがドローンの侵入にいち早く気づき、オペレー
   ターに対し必要な指示をする(岐阜、愛知、岡山、愛媛)、今後検討する(福井、
   富山、三重、鹿児島)などで、ドローンによる事故防止のため特別の指導をして
   いる自治体はありませんでした。

 【質問2】ドローンで農薬散布されている事例があるか調べていますか。使用実態が
  どのようなものか、結果を教えてください。
  [回答] 調査していない:東京、神奈川、大阪、広島。実態把握困難:山口。
   調査中:北海道、岩手、山形、静岡。回答を差し控える:千葉。
   使用していない:31府県。使用している:栃木(1機)、熊本(2機)でした。
 5月は、まだ、農薬散布があまり実施されていない時期なので、夏場の水田等での農薬散布最盛期には、さらにドローンによる散布が増える恐れあります。

★ドローンによる農薬散布禁止を要望
 そこで、7月8日、以下の要望を行っています。(回答は8月19日)
 反農薬東京グループ:ドローン型無人ヘリコプター等の使用規制についてと回答
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作成:2015-07-27