街の農薬汚染にもどる
t28704#梅輪紋ウイルス対策で青梅市と話し合い〜住宅地での農薬散布をやめよ#15-07
【関連記事】記事t28506、記事t28602、記事t29004
【参考サイト】農水省:植物検疫に関する情報にある
ウメ輪紋ウイルスの防除について、ウメ輪紋ウイルスの関係情報
強化対策の頁にあるH26年3月の第二回検討会概要
東京都青梅市による強化対策の実施状況(速報)(6/10)
青梅市:Top Page、ウメ輪紋ウイルス(PPV)情報
バイエルアグロサイエンス:Top Page、バリアード顆粒水和剤(チアクロプリド30%)
青梅市への質問・要望と回答:4/30、10/06、10/19、10/31
農水省への質問と回答;10/06(回答は10月28日)
記事t28602で東京都青梅市が梅の木への梅輪紋ウイルス(PPV)の感染対策で、今年から住宅地の樹木にアブラムシ駆除の農薬散布を実施したこと、当グループの質問に対する回答についてお知らせしました。
これを受けて、7月16日、青梅市と農薬散布に反対する市民団体が話し合いを持ちました。参加したのは、ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議、ネオニコチノイド系農薬中止を求めるネットワーク、反農薬東京グループ、青梅市民。青梅市からは梅の里再生担当主幹と補佐の2名でした。
市民側は、アブラムシがPPVを媒介するというが、実際はアブラムシがウイルスに感染したとしても1〜2時間で媒介能力を失うこと、ウイルスの梅への被害がはっきりしないこと、アブラムシを絶滅させることはできないことなどを主張し、農薬散布をやめるよう求めました。
特に、今年散布された農薬がネオニコ系チアクロプリドを成分とするバリアードであったことを問題にして、なぜ、この農薬を選んだのか聞きました。
市の担当者は、東京都の防除暦の中にあり、効果が確認されたものを選んだと答えましたが、農薬の選定は東京都がやるのか、青梅市がやるのか、はっきりしませんでした。市は、今年もう一度住宅地等での農薬散布を計画していますが、そのときの農薬は何にするかまだ決まっていないとのことです。
市民側は、どうしてもアブラムシ退治をしたいのなら、でんぷん系の農薬が登録されているから、それを使ったらどうかと提案しました。また、農薬以外の方法についてもいくつか代替案を示し、検討するよう要望しました。
また、バリアードは劇物であり、散布するときの注意事項がさまざまありますが、守られていなかったことを伝えました。たとえば、散布者は農薬用のマスクではなく、普通の白いマスクしかしておらず、散布作業中に人々が見学しており、中には子供も近くで見ていたのに、注意もしなかったなど具体的に伝えました。
これに対して、市は、散布業者を指導すると答えたのみで、市の職員が同行するので心配ないなどと言いましたが、上記のような実態であれば、まず、市の職員を徹底的に研修会などで教育する必要があります。
★効果調査は国が持っているだけ
青梅市民からは、感染が確認された梅の木を伐採するというが、実際は伐採されてない事例があることを伝えました。
また、感染が確認されたら、伐採、抜根、焼却と決まっていたのが、いつの間にか、抜根はしないで、根に除草剤をかけて枯らすだけになっているが、いつからそうなったのかという質問に対して市は「枯れるとウイルスはうつらないという国の見解でそうなった」答えるのみで、抜根、焼却を省いて大丈夫なのか、どういう除草剤を使用したのかなどについては、東京都に聞いてくださいと逃げるのみでした。
また、住宅地での農薬散布の効果の検証をしているのかという質問には、国が調査をして結果を持っているが、市は持っていないと、驚くべき回答でした。
強化対策(アブラムシ駆除の農薬散布)は市が責任を持ってやることになっているのに、これではあまりにもお粗末です。
★都道府県アンケに見るアブラムシ対策
反農薬東京グループが5月に実施した農薬危害防止運動の都道府県アンケート調査(記事t28601参照。44都道府県回答)の中で、梅とモモのアブラムシ対策についても3つ質問しました。
【質問1】ウメ及びモモのアブラムシ駆除のため、防除基準に掲載されている殺虫剤の農薬の種類名(成分名と剤型)を教えてほしい。
[回答]
現在、国がPPV緊急防除の必要ありとしているのは、東京、愛知、大阪、兵庫内の一部の市町ですが、それ以外の多く県でも有機リン系、ネオニコ系、ピレスロイド系など様々な農薬がPPV発生に関係なく使用できるようになっていて、梅とモモのアブラムシ対策がこのように農薬まみれだったということに驚きを禁じえません。
たとえば、岩手県は下記の農薬をアブラムシ対策に挙げています。
「CYAP水和剤、ダイアジノン水和剤、MEP水和剤、MEP乳剤、フェンバレレート・MEP水和剤、アクリナトリン水和剤、トラロメトリン水和剤、ビフェントリン水和剤、フルバリネート水和剤、フェンプロパトリン水和剤、フェンプロパトリン乳剤、イミダクロプリド水和剤、ジノテフラン水溶剤、チアクロプリド水和剤、アセタミプリド水溶剤、マシン油乳剤」
【質問2】都道府県が、PPV感染の恐れがあると認識した場合、その防止のため、どのような対策をとっているか。
[回答]
緊急防除指定の兵庫県がPPV対策で、「学校、公園等は、県と各市が調整し、周辺環境への飛散防止など安全使用に留意してアブラムシ防除を実施している」とのことでしたが、愛知県、大阪府は伐採という回答でした。また、茨城県は過去にPPVが発生した個所を、三重県や奈良県でも発生個所で防除を実施しています。多くの県は、PPVが確認されたら適期アブラムシ防除を実施するという姿勢です。
【質問3】ウメやモモで、農薬を使用しないアブラムシ対策として、どのようの手法をとっているか。
[回答]
農薬防除のみが宮城県など9県。特に対策をもっていないとしたのが、青森県など14県。農薬以外の方法を挙げたのが21都道府県ですが、主に、農薬の補完です。
発生源となる雑草管理の徹底(山形県、群馬県、神奈川県、岡山県)、土着天敵の保護・利用(福島県)、気門封鎖剤の使用(茨城県、東京都)、枝打ちや初期防除等(長野県、大阪府、和歌山県、兵庫県、鹿児島県)、防除暦に化学農薬は掲載していない(京都府)、黄色粘着トラップを設置する場合もある(奈良県)、捕殺、除草、防虫ネット(山口県)、モモにはシルバーマルチを敷く(徳島県)発生部位の除去や光反射マルチなど物理的防除(長崎県)、など。
★市街地での農薬薬効試験はやめよ
農水省のPPV検討会の本年の強化対策の論議では、『アブラムシの発生状況等を 調査し、その結果を、検証すべき』との指摘もあり、青梅市のように、全地域で、大規模なアブラムシ防除の農薬散布をやってもPPV防除にどれほど効果がわからないのです。人や環境への影響を無視し、このような大規模な農薬薬効試験をやることには断固反対です。
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作成:2015-10-30