空中散布・松枯れにもどる

t28901#ドローン型無人ヘリによる農水省への質問・要望にやっと回答〜農薬空中散布の法規制はできないと#15-09
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【参考サイト】農水省9月30日公表:平成26年度 農林水産航空事業 実施状況全国実施面積推移
       都道府県別無人ヘリ詳細(無人ヘリコプター機体数:2655、認定オペレーター数:11810、
            散布面積:105万224ha、事故数:49件)

 今年の農薬危害防止運動に関連した無人ヘリコプター空中散布への要望(記事t28402記事t28501参照)と、その後の遅れた農水省回答を記事t28703で紹介しました。  本号では、ドローン型無人ヘリの農薬空中散布について、@5月15日の『無人ヘリコプターとドローン型ヘリによる農薬空中散布についての要望と質問』、A7月8日の『ドローン型無人ヘリコプター等の使用規制についての要望』に、8月19日に同省から回答が届きましたので、主な内容を紹介します。
 回答は、そもそも無人ヘリ散布の法的規制がないために、ドローン型による農薬空中散布を禁止することができないことを示しています。

★5月の要望と質問への回答
【参考サイト】農水省;無人ヘリコプター利用技術指導指針(H27/07/08最終改正版)
       農林水産航空協会:Top Page

 【1】の無人ヘリとドローン型の接触事故防止に関する内容は割愛し、【2】以下についての質問と回答を紹介します。
 【2】ドローン型ヘリの農薬空中散布への利用などについて
  「無人ヘリコプター利用技術指導指針」の「第5 散布飛行の方法」には、
  『2 散布方法については別表に掲げるところによるものとする。また、農薬を散布
   する場合にあっては、無人ヘリコプター散布用として登録を受けたものを、使用
   上の注意事項を遵守して使用しなければならない。』とあり、また、「第8オペ
   レーター、機種等」には、『2 機体等は、空中散布等の作業に適した性能を有し、
   かつ、保守及び整備のための体制が整備されているものとして別表に掲げるもの
   であること。』とあります。
  別表には、作物別、作業別に機種が掲載されています。
  指導指針に基づき、無人ヘリコプター農薬空中散布については、農林水産航空協会
  が、有人ヘリコプター空中散布を補完するものと位置付け、機体選定から、オペ
  レーター認定、散布情報収集など一手に請け負っています。
  一方で、ドローン型がいままでの100kg級の無人ヘリコプターよりも、低価格で、小
  型で軽量であるとし、同協会に属さない開発業者による農薬散布への使用が宣伝さ
  れています。
(質問1)現行の100kg級の無人ヘリコプターもドローン型ヘリも、地上からの操作により散布機をコントロールする点は共通ですが、現在の指導指針下で、ドローン型ヘリで、農薬散布をすることは可能ですか。
 [回答]1 ドローン型ヘリで農薬散布を行うことは可能です。(ただし、使用方法に 「無人ヘリコプターによる散布」の登録のある農薬に限ります。希釈倍率等については、農薬のラベルに定められているので、それらを遵守する必要があります。)
 2 一方、ドローン等小型無人機については、現在、政府において、小型無人機の運用ルールの策定と活用の在り方、関係法令の見直し等について検討が進められているところです。
 3 当省としては、これらの動向も踏まえ、ドローン等小型無人機による安全かつ適正な農薬散布が行われるよう適切に対応していきたいと考えています。

(質問2)指導指針の別表には、作物別、作業別に適用機種が記載されていますが、記載のないドローン型ヘリで農薬散布することは違法行為となりますか。その場合、適用される法令と条文を教えてください。
 [回答]農薬の使用方法を守った上で、指導指針に掲げる無人ヘリコプター以外の機種を使用して農薬散布することは、農薬取締法に違反することにはなりません。

(質問3)指導指針に基づいて策定された、協会の「産業用無人ヘリコプター運用要領」にある無人ヘリの『(定義)第2条 産業用無人ヘリコプター(以下「無人ヘリ」という。)とは、人が乗って航空の用に供することができない遠隔誘導式回転翼機であって、設計により定められた装備及び燃料を搭載し、及び農業用資材を10s以上搭載(以下「総重量」という。)できるものとして、産業用に使用するものをいう。 』となっていますが、農薬積載量が10kgに満たない機種では、農薬散布は自由にできるのですか。
 [回答]1 農薬積載量が10kg に満たない機種を用いて農薬散布を行うことは可能です。 (ただし、使用方法に「無人ヘリコプターによる散布」の登録のある農薬に限ります。 希釈倍率等については、農薬のラベルに定められているので、それらを遵守する必 要があります。)
 2 一方、ドローン等小型無人機については、現在、政府において、小型無人機の運用ルールの策定と活用の在り方、関係法令の見直し等について検討が進められているところです。
 3 当省としては、これらの動向も踏まえ、ドローン等小型無人機による安全かつ適正な農薬散布が行われるよう適切に対応していきたいと考えています。

(質問4)ドローン型ヘリについて、農林水産航空協会の役割はどうなりますか。
 [回答]ドローン等小型無人機については、現在、政府において、小型無人機の運用ルールの策定と活用の在り方、関係法令の見直し等について検討が進められているところです。
 当省としては、これらの動向を踏まえ、ドローン等小型無人機による安全かつ適正な農薬散布を確保できるよう、これまでも産業用無人ヘリコプターの運用に関して知見を有している農林水産航空協会とも相談していくことになると考えています。

(質問5)現状では、農薬散布用にドローン型ヘリを製造販売する業者や、ドローン型ヘリで農薬散布する者だけでなく、現行の無人ヘリコプター散布についても、取締る法令はありませんが、貴省は、新たな法令の制定についてどのようにお考えですか。
 [回答]ドローン等小型無人機については、現在、政府において、小型無人機の運用ルールの策定と活用の在り方、関係法令の見直し等について検討が進められているところであり、この一環として、無人航空機の飛行に関し、航空機の航行や地上の人・物の安全を確保するため、無人航空機の飛行の禁止空域及び無人航空機の飛行の方法等を定める航空法の改正が検討されていると承知しています。
 当省としては、これらの動向も踏まえ、ドローン等小型無人機による安全かつ適正な農薬散布が行われるよう適切に対応していきたいと考えています。

(質問6) 地上散布と高所からの空中散布では、散布液等の希釈倍率も異なり、有人ヘ及び無人ヘリによる空中散布では、圃場での単位面積あたりの成分量を同じにするため、地上散布より100倍以上高い濃度で散布することもあります。
 ドローン型ヘリによる農薬散布は、通常の無人ヘリコプターの位置よりも低い高度で実施されるようですが、貴省は、これを、地上散布とみなすか、空中散布とみなすかいずれですか。その場合、散布方法や散布液の希釈倍率などは、どう決められますか。

 [回答]ドローン等小型無人機による農薬散布については、「無人ヘリコプターによる散布」に該当します。
 このため、使用方法に「無人ヘリコプターによる散布」の登録のある農薬を使用することができます。その散布方法や希釈倍率等は、農薬の登録の審査において薬効や安全性等を確認しています。

★7月要望への農水省回答
 記事t28703で報告したように、当グループの実施したドローン型無人ヘリ農薬空散布に関する都道府県調査を踏まえた農水省植物防疫課への7月要望に対する回答は以下のようでした。
 なお、要望1は、前節までの質問に早く答えてくれといもので、省略します。

【要望2】農薬散布用ドローン型の機種選定、機体の保守点検、オペレーターの研修・認定、農薬希釈倍率など適正使用条件、飛行条件(速度、風速や高度など)、飛散防止技術、使用上の注意やドリフト防止対策、環境汚染調査、安全緩衝地帯設定等が行われいない状況下で、すでに、ドローン型で農薬散布しているところがあります。
貴課も適正散布や安全性等が確保されていないドローン型無人ヘリコプターの使用に懸念を表明しておられます。私たちは、法的位置づけが不明で、なんの運用ルールも規制もないまま、ドローン型無人ヘリコプターによる農薬散布を実施することに反対です。直ちに、止めさせてください。

 [回答]ドローン等小型無人機については、現在、政府において、小型無人機の運用ルールの策定と活用の在り方、関係法令の見直し等について検討が進められているところであり、この一環として、無人航空機の飛行に関し、航空機の航行や地上の人・物の安全を確保するため、無人航空機の飛行の禁止空域及び無人航空機の飛行の方法等を定める航空法の改正が検討されていると承知しています。
 当省としては、これらの動向も踏まえ、ドローン等小型無人機による安全かつ適正な農薬散布が行われるよう適切に対応していきたいと考えています。
 [コメント]現行の農薬取締法で、未認定の機種の使用を禁止できないことが大問題です。ドローン型での空撮飛行区域を航空法で規制しても農薬散布とは関係ありませんが、無人ヘリにもない衝突防止装置の搭載が義務付けられ、事故を起こせば罰せられることになるのでしょうか。それでも、農水省の農薬散布にドローン型を認めようと姿勢がミエミエの答えです。

【要望3】農薬空中散布事故防止のため、撮影や種子・肥料散布のため、ドローン型小型無人ヘリコプターが有人ヘリや無人ヘリコプターの農薬散布地域に入ることを、禁止してください。
 [回答]農林水産省としては、農薬の空中散布が安全かつ適正に実施されるよう、「無人ヘリコプター利用技術指導指針」に基づき、事業実施体に対して、合図マンを機体毎 に1名以上配置するとともに、オペレーター、合図マン及び作業者を含めた関係者で連携することにより、一層の周囲の安全確保に努めるよう引き続き指導を徹底してまいります。
 [コメント] 今年前半まで、ドローン型の普及がまだすすまぬせいか、特別な指導はなされていません。ドローン型愛好家が、農薬空中散布情報を知らずに、又は知って撮影のため地域に入り込むことのないよう願いたいものです。ドローン型も、無人ヘリと同様、国の機体認定やオペーレーター認定もなく、法の枠外にある未熟な技術であることを考えると事故の増大が懸念されます。
 また、ドローン型は軽量が売り物ですから、風などの天候の影響を受けやすいと思われます。地上1.5mでの風速3mで、ドローン型があおられたり、散布域外へ農薬をドリフトさせない散布技術も、まだ、確立していないように思えます。

【要望4】ドローン型小型無人ヘリコプターが農薬の有人ヘリ・無人ヘリコプター散布地域に入らないようにするため、各地での散布予定をHP等で公表してください。
 [回答]農林水産省としては、無人ヘリコプター農薬空中散布による被害を防止するため、「無人ヘリコプター利用技術指導指針」に基づき、事業実施主体が空中散布の実施に当たって、実施区域及び実施区域周辺にある学校、病院等の公共施設、居住者等に対して、あらかじめ空中散布等の実施予定日時、区域、薬剤の内容等について事前周知するよう引き続き指導を徹底してまいります。
 また、農薬の空中散布が安全かつ適正に実施されるよう、「無人ヘリコプター利用技術指導指針」に基づき、事業実施体に対して、合図マンを機体毎に1名以上配置するとともに、オペレーター、合図マン及び作業者を含めた関係者で連携することにより、一層の周囲の安全確保に努めるよう引き続き指導を徹底してまいります。
 [コメント]この要望は、ドローン型が現在の無人ヘリコプターと同様に農薬取締法に基づく、実施計画の届出や計画の開示のないまま、運用されれば、住宅地等での高濃度空中散布が、一層増加することを懸念して挙げたものです。農水省のこのような通り一遍の回答では、散布周知を求める通知「住宅地等における農薬使用について」を遵守しないケースを抑えられません。実施義務違反が起こらないよう、農薬取締法による規制が必要です。

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作成:2015-10-02