空中散布・松枯れにもどる
t29702#無人航空機農薬散布は住宅などから30m以上離すべき-国交省の理解は間違い#16-05
【関連記事】記事t29201、記事/t29402、記事t29502。記事t29601
【参考サイト】農水省:ガイドライン(2015/12/03、2016/05/31改定)、農水省・国土交通省の両局長通知(2015/12/03)
農林水産航空協会:Top Page。産業用無人航空機運用要領(2015/12/03)、ドローン型暫定運行基準(2016/03/08)
安全対策マニュアルH28年版、ナビゲーターマニュアルH28年版
産業用マルチローター関連の協会基準:機体及び散布装置性能確認基準、
オペレーター技能認定基準、教習施設指定基準
昨年12月に改定された航空法では、無人航空機(無人ヘリとドローン*)の運行に関して、事前に国交大臣に申請し、許可・承認を得るよう法の縛りをかけました。しかし、記事t29505で報告したように、農水省ガイドライン(空中散布等における無人航空機利用技術指導指針)では、事前周知や空散方法、危被害防止対策などは、旧指導指針とほとんど変わらず、そそくさと形式を整えて、今年も実施されようとしています。
国交省は無人航空機の飛行について、@夜間飛行、A目視外飛行、B人又は物件から30m以上の距離が確保できない飛行、C催し場所上空の飛行、D危険物の輸送、E物件投下、を禁じ、農薬散布についても申請内容を検討して、許可・承認するとしています。
しかし、国交省は、農薬飛散や事故対策は頭になく、農水省のいうがまま、農林水産航空協会(農水協)などからの一括申請を、無条件に受け容れています。
国交省は、「空中散布等については、次の飛行実態を踏まえて許可等を行うものとする。」として、
・人又は家屋の密集している地域で空中散布等を行う場合があるが、地上(森林防除の場合は樹木の梢端部)から数m上空を飛行させるのみであり、第三者の上空で飛行させる可能性はない。
・空中散布等を実施する農用地等によっては、家屋や電柱等の物件から30mの距離を保つことができない場合がある。
などと無人航空機の農薬散布を許可していますが、とんでもない認識不足です。
「数m上空を飛行させるのみ」「第三者の上空で飛行させる可能性はない」どころか、農地には道路があり、人や車が通行しているところを、農薬を搭載したまま、移動したり、方向転換したり、人家すれすれで散布しているのは日常茶飯事で、そのため、架線事故や家屋への墜落事故が起こっているのです。
★国交省は現実を認識せよ
【参考サイト】国土交通省:無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール
無人航空機に係る許可承認の内容−H27年度、H28年度
無人航空機に係る事故等一覧;平成27年度(H27/12/15〜H28/03/25)
私たちは農薬危害防止運動の要望の中で、国交省に対して、「家屋を含め障害物との距離が30mに満たない場所での農薬散布は、はっきりと禁止してください。」と要望しましたが、国交省からは回答もありません。
国交省の「無人航空機に係る許可承認の内容」にある許可承認数は平成27年度(27年12月から28年3月まで2687件)と平成28年度687件(5月6日現在)となっています。この中から農薬散布に関する許可(危険物の輸送、物件投下)は27年度で64件。うち農水協が申請したものが23件となっています。しかし、農水協はまとめて代行申請しており、実数は不明です。協会認定機体は無人ヘリで約2700機、オペレータ数は約1万2千人で、これらが、上記の事実とかけ離れた理由で一括許可されているわけです。
少なくとも、国交省の最初の禁止事項である物件から30m離すのは当然のことで、国交省はこれを許可すべきではありません。
*注:農水協は4月27日、農薬散布可能なドローンとして、エンルート社の機体を初めて認定したが、オペレーターの認定者はいない。
Zion(エンルート社)、MMC940AC(丸山製作所)、DAX04(ヨコヤマ・コーポレーションTEAD)
機種認定証例:MR-01、MRK-04
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作成:2016-05-27、更新:2016-06-03