空中散布・松枯れにもどる
t29902#2016年度の有人ヘリコプターによる農薬空中散布計画〜水田は約3.5万ha、松枯れは約1.4万ha#16-07
【関連サイト】記事t28604、記事t29002、記事t29704
【参考サイト】農水省:農林水産航空事業の実施計画についての頁
平成28年度 農林水産航空事業 実施計画の全国、都道府県別
2016年度 松枯れ対策等の農薬空中散布予定
農水省消費・安全局植物防疫課防除班が今年の空散実施計画を、昨年よりも1ヶ月遅く、7月6日に公表しました。有人ヘリコプターによる、分野別の散布延べ面積は表1のようです。
農薬散布については、水稲が前年に比べ1614ha減の3万5045ha、松枯れ用が1465ha減の1万4430haでした。前年より増えているのはミバエ類対策(農薬散布液でなく、ダイアジノンをしみこませたテックス板や不妊化したミバエを投下する)で、昨年は沖縄県のみで241万2995haでしたが、奄美地域などで、ミバエ類が発生し、鹿児島県で9万5000ha増えたからです。
また、野ねずみ駆除は北海道のみで実施されリン化亜鉛剤が散布されます。
なお、この統計には、無人ヘリ空中散布は含まれていません。無人ヘリは実績の統計しかなく、2014年は農業用が約105万haでした(記事t29002参照)。今年度は、ドローン型も含めどの程度になるのでしょうか。
表1 2016年分野別空中散布計画(単位ha)
分 野 防除延べ面積 前年増減
水稲防除 35045 -1614
農 水稲以外防除 0 - 200
その他(播種/施肥等) 1382 59
業 農業 計 36427 -1755
ミバエ類対策 2508183 95188
松くい虫防除 14430 -1465
林 野ねずみ駆除 55263 -3819
業 その他(播種/施肥等) 17 17
林業 計 69710 -5267
合 計 2614320 88166
★水稲殺虫剤散布面積は茨城県がトップ
表2に、水稲用と松枯れ用の農薬殺虫別、県別の防除予定面積を示しました。
水稲防除は7県で、7月下旬から8月末にかけて、実施されます。県別では、茨城のトップはかわらず、前年40ha増の9934ha、秋田6110ha、山形5626ha、鹿児島5510haとこれも前年通りの順です。前年ゼロとなった北海道の散布予定は今年もありません。
殺虫剤の種類別散布面積は、ダントツ(クロチアニジン)、トレボン(エトフェンプロックス)が減少し、その分スタークル系製剤(ジノテフラン)が約2100ha増え、全体の77%の2.7万haを占めています。エチプロール(キラップ)は、青森でのみ使用され、前年とあまり変わらぬ1462haでした。鹿児島県では、アプロード(ブプロフェジン)が、スタークルやトレボンと併用されるケースが1606haみられました。
★松枯れ散布面積は鳥取県がトップ
松枯れ防除は26県で実施され、散布面積は15県で減少しており、兵庫県では766、三重県では227haa減りました。空中散布時期は、マツノマダラカミキリ成虫が羽化する5月中頃から7月中頃が主です。
県別散布面積で一番多いのは、鳥取県で2469haで、このところトップが続いています。そのほか500haを超えたのは、宮崎912、 兵庫902、鹿児島898、岡山860、石川738、新潟654、福井573各haでした。
県別以外に国有林(新潟県、福島県、福岡県、佐賀県、宮崎県、鹿児島県にある9森林管理部署)での散布が2332haあり、昨年より86a減っています。
殺虫剤の種類別では、ネオニコ系のエコワン3フロアブル(チアクロプリド)5533ha、有機リン系のスミパイン系(フェニトロチオン)のMC剤6218haと乳剤2679haの順でした。最近増えつつあったネオニコチノイド系のエコワン3は、昨年の41.5%とから38.3%とその比率が減りましたが、これは、全量エコワン3であった兵庫県の散布面積が減ったためでしょう。
表2 2016年度、県別・殺虫剤有人ヘリ空散実施計画防除面積(単位:ha)
(a)水稲用殺虫剤散布面積
県名 散布 前年 殺虫剤の種類
面積 増減 スタークル系 ダントツ系 トレボン系 キラップ系 アプロード系
青森 3532 -552 1010 432 48 1462
秋田 6110 -595 6110
山形 5626 -262 2813 2813
茨城 9934 40 9894
千葉 4113 - 85 3097 1016
宮崎 220 + 8 220
鹿児島 5510 - 167 3852 160 1498 1606*
合計 35045 -1614 27036(24947) 592(1302) 5375(7860) 1462(1450) 1606
*:鹿児島 アプロード単独はなくトレボン、スタークルと同時散布あり。()は2015年度
(b)松枯れ用殺虫剤散布面積
散布 前年 殺虫剤の種類 エコワン3
県名 面積 増減 スミパインMC スミパイン乳剤 フロアブル
岩手 27 0 27
宮城 379 -7 379
秋田 120 0 120
福島 413 -30 413
茨城 145 -2 145
栃木 45 2 45
長野 253 -55 253
静岡 1220 -36 489 206 525
新潟 654 -16 654
石川 738 -13 738
福井 573 0 573
愛知 160 0 160
三重 227 -227 135 92
兵庫 902 -766 902
和歌山 116 0 116
鳥取 2469 -59 110 1426 933
島根 60 - 6 60
岡山 860 -17 611 249
香川 66 -22 66
愛媛 93 0 93
福岡 198 2 102 96
佐賀 24 0 24
長崎 387 3 297 90
熊本 158 0 158
宮崎 912 -126 912
鹿児島 898 -6 898 200本
国有林 2332 - 86 308 2025
合計 14430(15896) -1466 6218(6314) 2679(2979) 5533(6603) ()は2015年度
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作成:2016-07-29