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t30005#通販生活・カタログハウス社から回答〜パーカ用のペルメトリンは天然物で、蚊に刺されにくくするだけと#16-08
【関連記事】オリセット蚊帳:記事t17809、記事t24708、記事t25103。
記事t29608、記事t29905
【参考サイト】カタログハウス:インセクトシールド社のメッシュパーカや虫よけメッシュクロス(ペルメトリン)
スパイス社:Top Page、虫よけのバンダナ HEART
記事t29905で、忌避剤処理した衣料製品(メッシュパーカ)などをカタログハウス社が通販していることに触れましたが、同社に商品について尋ねたところ、製造元であるインセクトシールドジャパン社の回答を転送してきましたので、紹介します。
要望・質問と回答
★なぜ、殺虫剤といわず忌避剤というか
農薬や殺虫剤成分であるペルメトリンを忌避剤としている理由を尋ねました。『ペルメトリンは、African Daisyというキク科の植物に含まれる天然成分のペルメトリンで、−中略−本製品に付着されている量が極めて微量であって(生地重量の0.52%までと制限。例えば100gの生地の場合0.52gのペルメトリンを付着)殺虫効果はなく、虫よけ効果=忌避効果を有するのみであるためです。効果試験においても、蚊が寄ってきにくい(忌避)のみが認められました。そのため効果としては、蚊に刺されにくくなる製品で、蚊に刺されないわけではありません。』との回答でした。
前段のペルメトリンが天然成分であるというのは、出鱈目です。ペルメトリンは、除虫菊などに含まれるピレトリンが分解しやすいため、塩素系成分を用いて分解しにくくした化学合成ピレスロイドです。インセクトシールド社の類似製品「虫よけバンダナ」を販売しているスパイス社はそのHPに『虫が嫌うキク科の天然成分を人工的に再現したペルメトリンが成分で商品は無臭です。』としていることをみても、カタログハウスがウソをついていることがわかります。
パーカなどの衣料製品は、通気性をよくするため、約2mmの網目のポリエステル繊維でできており、『生地表面に降着した蚊がメッシュ越しに触れることができるため、防ぐ必要があると考えています。また、蚊よけのスプレーや塗り薬のように直接肌に塗る必要がないことも本製品の特長と考えています。』としています。
住友化学製のオリセット蚊帳(網目サイズ4mm)は、ポリエチレンに2%のペルメトリンを練りこんでおり、蚊帳の表面に滲み出た薬剤に触れた蚊に殺虫効果を示しますが、パーカの場合は、どの程度の近くまで寄って来たら、蚊は逃げるのでしょうか。
アメリカでは、製品に『露出した肌を守る場合は、パーカ製品だけでなく、皮膚に塗る忌避剤を併用してください。』との注意があるので、衣料に触れないと蚊は逃げないのでしょうか。
★70回洗濯しても効果が持続する?
70回洗濯しても忌避効果が持続するとしていますが、これは、カタログハウスが自ら製品実験した結果かと尋ねましたが、データは示されませんでした。
アメリカの製品には、ペルメトリンが除かれるので、ドライクリーニングは不可/他の洗濯物と一緒に洗わないこと、となっています。やっぱり、洗濯の仕方によっては、衣料製品から離脱するのでしょうか。
★繊維に固着とは
パ−カ製品はポリエステル繊維でできていますが、ペルメトリンを「固着」したとの説明がありますので、その処理方法を尋ねてみました。回答は『本製品はペルメトリンの結晶と独自の接着剤を配合させた溶液を使用します。130℃の高温で圧着させると接着剤成分だけが蒸発し、ペルメトリン成分だけを繊維生地にしっかり固着させるという特殊な技術です。』とありました。接着剤の成分が何か不明ですし、ペルメトリンの融点は40℃なので、130℃で繊維に圧着した際の挙動がよくわかりません。
少なくとも、ペルメトリン成分が外部に露出していないと蚊は反応しないので、0.5%が製品表面でどのような状態にあるか明確に示してもらいたいものです。
★使用上の注意は
製品について、カタログハウス社は、アメリカのEPA(環境保護庁)の試験で、安全性、効果、環境に優しいことが認められているとしかいいません。
さらに『ペルメトリンの付着量が微量で危険性が極めて低いと考えているため、基本的には使用上の注意事項はありません。一般的な繊維製晶に伴う注意事項、色落ち、洗濯の際の温度管理となります。』とし、
『国内の検査機関で皮膚安全性試験を実施して安全を確認しておりますが、念のため今後アレルギーや皮膚かぶれについての注意事項を記載することを検討してまいります。』『幼児がなめないように注意喚起を行ってまいります。』とのことでした。
製品の廃棄については、家庭ごみとして処分すればいいとしていますが、アメリカでは、保管・廃棄に際しては、食品・飼料・水を汚染しないようとの注意があります。また、ペルメトリンは、イヌには可ですが、ネコのノミトリには使っていけないことになっているのに、ペットへの注意は、ありません。
私たちの要望『ペルメトリンを含む衣料品を販売しないようお願いします。』には、回答がありませんでした。
★虫よけ製品:衛生害虫用と不快害虫用の表示を区別すべきだ
ところで、蚊などの衛生害虫対策の殺虫剤や忌避剤は、第二類医薬品や防疫用医薬部外品として、薬機法の承認が必要ですが、同じ成分を含んでいても、前記パーカなどの衣料品や不快害虫用製品は雑品あつかいで、薬機法の対象外です。
私たちは、本年2月に、厚労省が実施した「蚊媒介感染症に関する特定感染症予防指針の一部を改正する件」のパブコメ意見で、蚊忌避剤と蚊が対象でない不快害虫用虫よけ剤について、用途を明確に区別できる商品表示を求めましたが、回答はありませんでした(記事t29608参照)。
「虫よけスプレー」「虫よけネット」「服にかける虫よけスプレー」)のような紛らわしい商品名が、並んで販売されています。農薬取締法には、農薬登録があり農作物の栽培に使用できる除草剤と植栽に使用しない非農耕地用除草剤の製造・販売を区別するよう条文がありますが、薬機法には、衛生害虫用と不快害虫用の虫よけ剤の区別に関する条文はありません。消費者保護の立場から、両者の違いがはっきりわかるよう表示することが、ぜひとも必要です。
厚労省への要望と質問(7/05);
感染症媒介蚊対策の殺虫剤について
感染症媒介蚊用忌避剤について
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作成:2016-08-31