街の農薬汚染にもどる
t30603#PPV(ウメ輪紋ウイルス)で梅が枯れるかどうか不明〜農水省植防課からの回答#17-02
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【参考サイト】農水省:ppvの防除について、ppvの関係情報
PPVの緊急防除に関する省令及びPPVの緊急防除に関する告示の一部改正案についての意見・情報の募集について
反農薬東京グループの意見1と意見2、パブコメ結果概要と農水省の考え方
昨年暮れから今年にかけて農水省植物防疫課は、「プラムポックスウイルスの緊急防除に関する省令及びプラムポックスウイルスの緊急防除に関する告示の一部改正案についての意見・情報の募集について」という題名のパブコメを募集しました。
中身は、植物防疫法によるPPVの緊急防除の新指定地と解除地を示したものです。新たに神奈川県横浜市、岐阜県各務原市、愛知県犬山市及び江南市の一部地域が指定され、東京都あきる野市、青梅市、八王子市、奥多摩町、兵庫県宝塚市の一部地域が指定をはずれました。
私たちは国と行政がPPV撲滅のためとして、住宅地でアブラムシ駆除の農薬散布を強行していることに反対して、東京都青梅市の市民運動などと連動してきましたので、農薬散布でアブラムシを絶滅することはできないため、住宅地での農薬散布をやめるべきなどの意見を提出しました。
1月25日、農水省はパブコメの結果を公表すると同時に、省令の一部を原案通りに改定し、官報で告示しました。
反農薬東京グループのパブコメ意見には今まで何度質問しても回答のなかった基本的な疑問、PPVは梅にどういう被害をもたらすのか、また、農薬でアブラムシを絶滅できると思っているのか、感染したアブラムシが一時間ほどで感染能力をなくすというのはなぜか、などの、いってみれば素朴な質問をいくつかあげ、科学的説明を求めました。
提出された意見は2通だけだったそうです。回答には特に新しいことはありませんでしたが、追記に「その他、プラムポックスウイルスの性状等に関する質問が寄せられましたが、これについては、農林水産省消費・安全局植物防疫課から質問者に対し、直接回答いたします」とありました。
★PPVによる梅の実被害は不明
1月末、植物防疫課から簡易書留で書類が届きました。それが「質問者への直接回答」でした。質問はPPVとアブラムシについてです。興味深いものを紹介します。
PPVは、2009年に青梅市で初めて梅の感染が見つかったとされていますが、その時すでに感染して10年ほどたっていたとのこと。感染経路、梅への被害はどうだったのかという質問に対して、回答は、「青梅市ではウメの葉に輪紋様の症状が散発的に発生していたものの、収量への影響はほとんど見られず」、国内への侵入経路は判明していないというものでした。
3万本以上も梅を伐採、抜根し、農薬をまき散らして感染を防ごうとしたわけですが、その実、大した損害を与えていたわけではなかったのですね。
また、「PPVがどの程度増殖した場合に発症し、被害がでるかについての知見は有していません」とありました。
PPVに感染したウメはどのような被害を受け、最終的にどうなるのかという質問には、感染してから発症するまで3年程度の潜伏期間があるとしたうえで「発症したウメでは葉に退緑斑点や輪紋が生じるほか、花弁にブレーキング現象が現れる等の症状が出ることが確認されています。これまでのところ、ウメの果実への顕著な症状はみられていませんが、海外ではスモモやモモでは果実の表面に斑紋が現れ、商品価値が失われたり、成熟期の落果により減収するといった経済的な被害が生じたとの報告があります」と、未だに、海外の違う樹種に被害が出たとのみでウメについての言及はありません。
また、「本ウイルスに感染したウメの木が枯れるかについては明らかになっていません」ともあり、本当にウメに被害を与えるのかすらわからなくなってきました。
松枯れのように、木が枯れるわけではなく、ひっそりと葉っぱに輪ができるだけとしたら、何も必死になって伐採したり、農薬散布をする必要はないはずです。
★アブラムシ根絶はできないと
PPVを媒介するのはアブラムシであるとして、農水省や行政はアブラムシ駆除の農薬散布に励んでいます。青梅市では、住宅地で個人の庭の感染する樹木として指定されている木に片端から農薬をかけています。
アブラムシがPPVを感染させることができるのは、1時間か数時間と言われているが、なぜかという質問に「アブラムシの感染能力に関する論文・知見はさまざまありますが、PPVでは非増殖、非永続型の媒介によるものです。これは感染植物の樹液をアブラムシが吸汁する際にアブラムシの口針にPPVが付着し、そのアブラムシが他の植物に口針をさした際にPPVが感染すると考えられています。アブラムシを用いた試験では、感染植物の樹液を吸汁したアブラムシを1時間以上放置した際に、アブラムシによる媒介が起こらなかったことから、口針に1時間以上付着していると活性がなくなる(もしくははがれ落ちる)と考えられています。」とのことです。
なぜ、1時間以上たてばウイルスの活性がなくなるのか、空気中の酸素か、窒素か、何らかの物質が活性をなくすのか、もっときちんと調べてもらいたいものです。
緊急防除に指定される前に、青梅市ではウメなどの宿主木にアブラムシ駆除は実施されてなかったのか。アブラムシ駆除をしていたにもかかわらず、PPV感染防止できなかったのは何故か、という質問には、
「青梅市のウメ生産ほ場では、アブラムシ類に対して4月初旬から6月上旬にかけて
1〜3回の薬剤防除が行われていました。この散布体系はアブラムシ類の吸汁害、
甘露や排せつ物によるすす病の発生等本虫のウメに対する直接害の防止を目的とし、
従って6月中旬の収穫開始以降、12月上旬ころに完全に落葉するまで農薬散布は
一切行われていなかったと聞いています。」
「現在は防除区域では地方自治体の判断で、効果のある農薬等によりアブラムシ防除
を行うよう指導しています。ただし、アブラムシ防除の徹底のみでPPVの根絶は難
しく、感染植物の除去、無病健全な苗の使用などを組み合わせた防除が必要と考えています。」
アブラムシ防除の農薬散布実施は、自治体の責任と農水省は言い逃れています。研究者らがメンバーの同省PPV対策会議では、住宅地では合成農薬は使用しないようにと注意していますが、守られていません。
にもかかわらず、青梅市は、今年も春の防除だとして、2月27日から3月10日までアブラムシ防除の農薬散布を計画しています。散布するのは。ウララDF(フロニカミド10%含有)です。無駄に生態系を崩す農薬散布は中止すべきです。
【参考サイト】青梅市:梅の里再生情報、再植栽に向けて
春季アブラムシ防除(平成29年2月27日〜平成29年3月10日)(広報おうめ2月15日号2頁)
反農薬東京グループの2月21日の青梅市への要望:ppv対策のアブラムシ駆除農薬散布の中止を求めます
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作成:2017-02-28