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t30811#天草だより 第205回 路木ダム裁判を終えて (植村振作)#17-04
【関連記事】記事t26309(連載160)、記事t29712(連載(194)
【参考サイト】熊本県:路木ダム((路木川河川総合開発事業))
天草・路木ダムの再検証を求める全国連絡会:現在休止中。
wayback machineにあるamakusa-rogi.netの2014/12/18のアーカイブ、2016/10/21のアーカイブ
◆このところ晴天続きです。近くの公園のシイの大木が目立ち始めました。シイの木が一面生えている山裾にある実家を思いだし、ドライブがてらに見に行って来ました。シイの木の花が咲き、朝の光に照らされ山肌が黄金色に輝いていました。
◆ところで、先月はシロウオ漁体験記を書き、路木ダム裁判のことは延ばしていました。
さて、路木ダム裁判を起こすきっかけは、天草下島の羊角湾で真珠養殖をしている友人
が、羊角湾に流れ込む路木川の上流にダム建設計画があることを知って、ダムにより山からの栄養分が流れ込まなくなり真珠養殖に影響が出るのではないかと危惧したことでした。
私たちは、県がダム建設の根拠とする資料を情報公開で徹底的に入手して検討した結果、ダム建設の根拠がないことが分かりました。ダム建設の問題点をビラ配布などでもっと地元住民に知らせて地元からの反対意見を盛り上げることが重要だというと意見と、建設根拠のない事業を進める知事の責任を追及すべきであるとする意見の違いから、反対運動が危機に遭遇したこともありました。地元住民へのアッピールと知事責任追及の両方を進めるほどの力の余裕は私たちにはありません。攻撃すべきは知事であると考えた私は、ターゲットを知事に絞り住民監査請求をしました。
◆当初、監査請求で違法な事業を進める知事に対して約2.5億円の返還請求をしましたが、
棄却され、事業費約20億円の返還を求めて熊本地裁に提訴しました。
一審判決は、県がダム建設の根拠にした1982年の豪雨浸水被害はなかったと認定し、計画は治水事業として経済性、必要性に欠けており違法だ、とした画期的なものでした。
一審で建設根拠について敗訴した熊本県が福岡高裁に控訴し、高裁は、路木川とは全く異なる、羊角湾対岸の水系で82年豪雨により甚大な被害が発生しているのであるから路木地区でも同規模の豪雨災害が発生したとすることが不合理とは断じ難い(=82年豪雨被害発生)、と臆面も無く荒っぽい判断をして、知事の判断に瑕疵は無いとの事実誤認の判決を下しました。
ひどい判決だったので最高裁に上告しましたが、上告をすることが許されるのは民事訴訟法312条1項(憲法違反)又は2項所定(裁判手続違反)の場合に限られ、本件上告の理由は、事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、上記各項に規定する事由に該当しない、との理由で却下され、敗訴した二審判決が確定しました(2017.2.21)。
◆刑事訴訟では判決に影響を及ぼす重大な事実誤認がある時には最高裁へ上告できるのに、一方の住民訴訟では民事訴訟法の適用を受け、今回のように高裁が重大な事実誤認をしていても、最高裁で門前払いになるという不正義な扱いを受けます。多くの住民訴訟事件で、二審が事実を歪曲し、司法・行政権力に媚びた、住民に不利な判決を出す理由が分かりました。住民訴訟制度の改革の必要性を実感しています。裁判支援有り難うございました。
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作成:2017-05-01