室内汚染・シロアリ駆除剤にもどる

t31005#シックハウス検討会が、室内汚染物質で、10年ぶりの指針値案〜パブコメは7月4日締切#17-06
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【参考サイト】厚労省;シックハウス問題に関する検討会21回検討会資料(04/19)
           室内空気中化学物質の指針値案に対する御意見の募集について(6/05〜7/04)
           反農薬東京グループのパブコメ意見

 室内空気を汚染する化学物質の指針値を設定する厚労省のシックハウス問題に関する検討会は、VOC(揮発性有機化合物)やSVOC(準揮発性有機化合物)について、見直しを行ってきましたが、新たな知見をもとに、このほど、7物質についての指針値案を公表し、7月4日まで、パブコメ意見の募集を実施しています。

★いままでの経緯
 反農薬東京グループは、結成以来、農薬成分と同じ殺虫剤やシロアリ防除剤などによる室内空気汚染由来の健康被害を問題視し、被害者の声を行政に伝えるとともに、原因物質の使用規制を求め、特に、1990年代から、シロアリ防除剤クロルピリホス、衣料防虫剤・トイレ消臭剤パラジクロロベンゼンをターゲットに運動を行ってきました。この動きを受けて、厚労省にシックハウス検討会が設置され、その第1回が開催されたのは、2000年4月5日です。その後、同委員会は、2002年1月までに、9回開催され、13物質とTVOC(総揮発性化学物質)の室内濃度指針値が設定されました(2002年2月:中間報告書)。これらは、建築材料などに含まれるホルムアルデヒドやクロルピリホスの業界自主規制、さらには、建築基準法による規制にもつながりました。
 休止していた検討会の第11回目が再開されたのは、2012年9月28日で、13物質のその後及びその他の化学物質が、俎上にのぼることになりました(記事t25504)。
 以後、11回の検討会が開催され、居住環境中での実態調査や家庭用品等からの化学物質の放出量の検討、シックハウス関連研究の知見等を踏まえ、対象物質をリストアップし、急性や慢性毒性の評価とともに、試験方法の見直し論議も行われました。

★指針値見直し4物質と新規の3物質
【参考サイト】厚労省;指針値見直し4物質新規指定3物質
 本年4月19日に開催の第21回検討会で提示された指針値をみてみましょう。
【キシレン】内装材等の施工用接着剤、塗料等からの放散、また、これらを使用した家
 具類も同様。人への影響として、健忘、集中力といった神経影響の低下が見られる。
 妊娠ラット吸入暴露における出生児の中枢神経系発達への影響に加え、ヒトにおける
 長期間曝露の疫学研究に関する知見から、
 指針値を870→200μg/m3。(現行指針を→以下の新指針に変更)
 直近2年の実態調査での最高濃度は、2012年度の140μg/m3、95パーセンタイル値(複
 数の計測数があれば、下から95%位置にあたる)の最高濃度は、2015年度の42μg/m3 
 で、指針値の見直し案である200μg/m3 を超える住宅はなし。

【エチルベンゼン】合板、内装材等の施工用接着剤、塗料等からの放散、キシレンの
 市販品には、通常はエチルベンゼンも含まれており、家具等からも発散する。
 マウス、ラットに対する吸入曝露した発がん性試験における非発がん影響に関する知
 見から、不確実係数1,000として、指針値を 3,800→58μg/m3。
 実態調査における最高濃度は、2013年度の140μg/m3。95パーセンタイル値の最高濃度
 は、2015年度の12.3μg/m3 で、直近の2016年度の調査において、指針値見直し案であ
 る58μg/m3を超過する居住住宅が1軒認められた。

【フタル酸ジ-n-ブチル(DBP)】塩化ビニル製品の可塑剤、塗料、顔料、接着剤に使用。
 食品安全委員会がラット生殖毒性試験評価(不確実係数500)から設定したTDIを根拠に、
 指針値を220→17μg/m3。
 2014年度の居住住宅50軒の調査では、最高濃度は3.6μg/m3で、現行指針値の約60分の
 1のレベルである。新指針値案である17μg/m3を超える住宅はなし。

【フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)】塩化ビニル製品(壁紙、床材、各種 フィルム、
  電線被覆など)の可塑剤。
 IARC(国際ガン研究機構)の発がん性評価が、グループ3からグループ2にランク
 アップされた。食品安全委員会がラットの生殖器系への影響に関する知見から得たTDI
 の再設定(不確実係数100)を根拠に、指針値を120→100μg/m3。
 2014年度の住宅50軒の調査では、最高濃度は1.3μg/m3 で、現行指針値の約90分の1の
 レベルである。新指針値案である100μg/m3 を超える住宅はなし。
 以下は、新たに指針値が設定された3物質で、いずれも、室内に発生源があり、夏季に高い濃度で検出されました。
【2-エチル-1-ヘキサノール】可塑剤DEHPの加水分解生成物、接着剤や塗料、インクなどの溶剤。
  ヒトの眼刺激や感覚器官などへの影響を評価し、不確実係数60として、
 新指針値は130 μg/m3。
 室内実態調査では、最高濃度は86.6μg/m3、95パーセンタイル値の最高濃度43.0μg/m3で、
 指針値を超える住宅はない。

【テキサノール(2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート)】 ラテックス染料、塗料、
 シーリング材の溶剤。
【参考サイト】北海道立衛生研究所:小林 智ほか 室内環境 Vol.13(No.1), p39-54 (2010) 
        水性塗料成分1-メチル-2-ピロリドン及びテキサノールによる新築小学校の室内空気汚染

 ラットの強制経口投与試験結果から、不確実係数1000で、指針値 240 μg/m3。
 室内実態調査では、最高濃度は118.0μg/m3、95パーセンタイル値の最高濃度37.0μg/ m3で、
 指針値を超える住宅はない。
【2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート(TXIB)】  フタル酸エステル(DBP、DEHP)の代替可塑剤。塩化ビニール製の床材、玩具、壁紙等に  用いられる可塑剤、溶剤。 【参考サイト】国立医薬品食品衛生研究所:平田睦子ほか 国立医薬品食品衛生研究所報告 第130号,p31(2012)         小児用玩具に使用されるフタル酸エステル代替可塑剤の毒性影響  妊娠ラットの経口投与試験から、不確実係数1000として、指針値は100μg/m3。  室内実態調査では、最高濃度は149.4μg/m3、95パーセンタイル値の最高濃度9.7μg/m3で、  指針値を超える住宅が1軒。この家屋は調査の2か月前に内壁塗装、浴室・床材の改修  が行われており、リフォームが汚染の一因であることが示唆された。
★未評価の化学物質がまだまだ使われる
 今回、指針値が見直し・新設されたのは、可塑剤や溶剤用の物質ですが、検討会は、WHOが問題視しているナフタレンやベンゼンも今後のターゲットにしています。
さらに、気になるのは、私たちがいままでに、問題としてきたホルムアルデヒドや衣料防虫剤らのパラジクロロベンゼンが相変わらず、室内を汚染していることです(パラジクは2013年夏で、指針値超え8%、最高1600μg/m3)。
 また、2012年11月に。環境省が実施した「今後の揮発性有機化合物(VOC)排出抑制対策の在り方について」のパブコメ意見で指摘した、@フタレート系・アジペート系可塑剤、Aリン系可塑剤・難燃剤、Bピレスロイド系殺虫剤、Cネオニコチノイド系殺虫剤、 D身の回りのポリウレタン樹脂製品に含まれるイソシアネート化合物、E香料をはじめとするPPCP(ファーマシューティカル・アンド・パーソナルケア・プロダク=医薬品や個人用ケア製品)らの殆どの規制はまだ、実現していません。
 検討会に対しては2013年2月に、シロアリ防除剤・木材保存剤、畳などの防ダニ剤、家庭用衛生害虫殺虫剤、不快害虫用殺虫剤、衣料防虫剤、トイレ用品など農薬類似製品や洗剤・柔軟剤、芳香・消臭剤、および、さまざまな家庭用品に含まれる香料類について、年間出荷量の調査を求めるとともに(厚労省への要望)、接着剤や塗料業界の意見だけでなく、健康被害者や治療にあたる医療関係者からのヒアリングを求めており、今後も、使用規制を含め検討すべき化学物質が多々あることを訴えていかねばなりません。
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作成:2017-06-29、更新:2017-07-10