空中散布・松枯れ<にもどる

t31105#松枯れ農薬空中散布の中止を求め署名と提訴 松本市、今年度2個所で中止#17-07
【関連記事】記事t29105(四賀地区)、記事t29304(千曲市)、記事t29706(2012,2013年、千曲市)、
       記事t30808(2017年駒ヶ根市)、記事t31203
【参考サイト】長野県:農薬の空中散布検討連絡会議の頁
           松くい虫防除対策協議会の頁にある平成29年度松くい虫防除薬剤散布計画
       松本市:松くい虫被害を防ぐためにの頁にある
            ・松くい虫被害対策基本方針(概要版)被害状況位置図
           林業関連のお知らせにある
            ・無人ヘリによる薬剤散布を行います(6/01)
            ・松くい虫の被害予防・無人ヘリによる薬剤散布を行います(順延のお知らせ)(6/20)
            ・本郷地区・里山辺地区の松くい虫被害対策における薬剤散布の延期について(6/20)
            ・無人ヘリによる薬剤散布完了のお知らせ(四賀地区)(6/23)
               ・無人ヘリ薬剤散布に伴う安全確認調査の結果について(8/03):2回目1回目             ・里山辺地区の松くい虫被害対策における薬剤散布について(7/13)
            ・無人ヘリによる薬剤散布完了のお知らせ(四賀地区)(7/20)

★松本市の無人航空機空中散布反対運動
【参考サイト】松本の松枯れを考える住民の会(旧 松本の農薬散布を考えるおかんの会)のフェイスブック
       農薬による健康被害から子どもと市民を守る有志の会:ネット署名
       松本市市議会:Top Page会議の録画配信
              6月定例会6月12日(松くい虫関連は田口議員と犬養議員)、6月13日(同柿澤議員)

 長野県での松枯れ対策の今年の農薬散布計画(2017.4.20現在)は、以下のようになっていました。
   有人ヘリコプター空中散布 8市町村213ha
    エコワン3フロアブル(チアクロプリド)散布。
   無人航空機空中散布 4市町村213ha、エコワン3フロアブル(坂城町)、
          マツグリーン2(アセタミプリド、駒ヶ根市、松本市、安曇野市)
   地上散布 12市町村で88.81ha。エコワン3フロアブル(4市町村)、マツグリーン2(8市町村)
 松本市では四賀地区、本郷地区、里山辺地区での空散が計画されました。
 一回目の散布予定は、6月20日前後でしたが、散布地域の住民への周知が不十分で、特に松本市では、5月半ばに報道によって知った人が多かったようです。そのため、子供の母親を中心に反対運動がおこりました。「農薬による健康被害から子どもと市民を守る住民の会」(代表:安藤絵美子さん)は市長あての署名活動を実施、市との直接交渉も行われています。署名の呼びかけは以下のようになっています。
  ***こども達の未来のために、松本市の農薬空中散布をやめてください!***
   私達は、平成29年5月17日の報道で、松本市四賀地区の他、里山辺・本郷地区にも
  松くい虫被害対策としての農薬空中散布を拡大実施予定であると知りました。
   松本市が行っている四賀地区では空中散布による健康被害が既に発生しているという
  情報があります。また、空中散布実施拡大地区(里山辺・本郷地区)は、運動施設
  (かりがねサッカー場等)、保育園、幼稚園、小中学校、信州大学、浅間温泉、
  美ヶ原温泉と、子どもや多くの観光客が集まる場所となっております。当然風向
  次第では、市街地にも薬剤は流れます。
   使用される農薬は、マツグリーン2というネオニコチノイド系農薬(有効成分
  アセタミプリド)です。ネオニコチノイド系農薬は、ヒトの脳に対する発達神経毒性に
  よる胎児・小児への悪影響(特に発達障害)、神経毒性筋疾患の増加との関連性が
  指摘されており、中毒症状(中枢神経症状、循環器症状)も起こします。EU各国
  等世界的に使用禁止の動きが広がっています。農薬の有効成分であるアセタミプリドに
  ついては、欧州食品安全機関が2013年12月に子どもの発達神経毒性可能性を
  指摘しています。上田市においては、住民の健康被害が寄せられたことから平成21年度
  以降空中薬剤散布を中止しています。
   このような健康被害を防ぐべく、薬剤空中散布の実施を中止することを求めます。
   どうか子ども達の健康を守って下さい。
   ***(8000を超える署名が集まる)***
 しかし、市は、アセタミプリドの有害性を認めず、市議会での追求でも、空中散布実施路線を突っ走りました。
 住民側は、6月下旬に迫った散布を止めさせるべく、6月13日、空散差し止めを求める仮処分を長野地裁松本支部に申し立てました。その後も、市長は市民との面談を拒んだままですが、散布について、いくつかの変更が実施されました。
 松本市の四賀地区では、本誌291号(2015年11月)で紹介した農薬空散は松枯れ防止効果がないとの主張を受け容れず、6月23、24日にマツグリーン2の無人航空機空中散布を実施し、2回目が7月19、20日に予定されています。
 本郷地区について、市は、『松くい虫対策協議会において、来年度以降に延期するとの結論に達しました。つきましては、本年度の実施は中止となります。』とし、里山辺地区の散布については、『散布請負業者から散布できない旨の申し出がありました。このため、6月23日の薬剤散布は延期します。』と発表しました。しかし、7月中旬の散布は予定通りの実施を目指したままです。
 松本の松枯れを考える住民の会のフェイスブックによれば、延期は、中止でないとして、6月30日、市民36人が原告になり、市に対して散布の差し止めを求める訴訟を長野地裁松本支部に提訴しました。
 (市は、7月13日に里山辺での空散中止を発表)

★2016年の千曲市散布での子どもの尿分析
【関連記事】記事t29504記事t29706
【参考サイト】上田市:松くい虫防除のための地上薬剤散布を実施します(2017/06/09)
       長野県:松くい虫防除対策協議会の頁にある2016年度資料1同説明資料
       こどもの未来と健康を考える会:子ども達の農薬散布曝露調査説明会(4/01)
       日本環境化学会:Top Page第26回環境化学討論会プログラム(2016年6月、静岡市開催)
        3C-03  幼児における尿中ネオニコチノイド濃度とその曝露実態の解明
        ○池中 良徳 1,2,宮原 裕一 3,一瀬 貴大 1,八木橋美緒1,中山 翔太1,
        水川 葉月1,遠山 千春4,石塚真由美 1 (1北海道大,2ノースウェスト大,
        3信州大,4健康環境科学技術国際コンサルティング)

 長野県での松枯れ対策のエコワン3フロアブルの農薬散布による環境汚染や人体汚染に関しては、2012、13年の千曲市における空中散布時の竹ノ内さんらによる研究報告があり(記事t2970616年5月)、この研究では、チアクロプリドの尿中分析は実施されたものの、曝露群及び対照群とも検出されませんでした。
 2016年6月、上田市周辺地域で松枯れ対策のため、エコワン3フロアブルの散布が実施された際、こどもの未来と健康を守る会の田口さんらの呼びかけで、子どもの尿サンプルが集められました。これを、北海道大学の池中さんらのグループが分析し、その結果が、本年6月、静岡で開催された第26回環境化学討論会で、口頭発表されました。下記の出典をもとに池中さんらの調査の要旨を示します。
 出典:第26回環境化学討論会要旨集(2016年6月、静岡市開催) 幼児における尿中ネオニコチノイド濃度とその曝露実態の解明  ○池中良徳ほか

【尿採取について】感受性が高い幼児の尿が調査対象とされた。長野県上田市、千曲市、埴科郡坂城町、小県郡青木村に在住の男女の幼児 46 人(男 23 人; 3 歳〜6 歳; 平均4.8 歳、女 23 人; 3〜7歳; 平均 4.9 歳)
【採取時期】尿の採取は、エコワン3フロワブルが空散される前(5 月 26 日)、散布期間(6 月 23 日)、散布後(7 月21 日)の 3 回実施。
【ネオニコチノイド類の尿中検出値】松枯れ対策で散布されたチアクロプリドの曝露は最大で 516 ng/日(平均値 49 ng/日)で、曝露レベルは、ADI0.012 mg/kg/日に比べ、1%未満であった。
 その他のネオニコチノイド検出は、ジノテフラン最大 136 μg/日(ADI0.22 mg/kg 体重/日)、アセタミプリド43 μg/日(同0.071mg/kg体重/日)で、ADIに対して4%程度であった。
【曝露源に関する考察】松くい虫防除農薬として着目したエコワン3 フロアブルの主成分であるチアクロプリドの検出頻度は30%程度であり、濃度は最大0.13μg/L であった。この頻度と濃度は、ジノテフラン(頻度、48〜56%;濃度、最大72μg/L)やN-dm-アセタミプリド(アセタミプリド代謝物、頻度、83~94%;濃度最大18.7μg/L)など今回検出された他のネオニコに比して低値であった。
【結論】チアクロプリド以外のネオニコチノイド、例えば アセタミプリド、ジノテフランによる一定の曝露を日常的に受けている事が明らかになった。農薬が用いられていなければ、本来的には体内に取り込まれるはずがないことから、主な曝露源は野菜や果物穀物などやその加工食品と考えられる。
 農薬は、大気などの環境媒体から体内に直接取り込まれるよりは、生態系を介して食品に濃縮されたものが体内に入る可能性が高いといえる。

 この報告だけでなく、ネオニコチノイドの尿中検出濃度は、他の研究者の分析でも、ジノテフランが高く、アセタミプリド(本体よりも、代謝物が高い)も見出されています。市が、アセタミプリドを含有するモスピランが松枯れ以外にも使用されていると言いますが、空中散布濃度は地上散布より10倍程度高濃度であり、散布地周辺の住民は、食品からのアセタミプリドの摂取に加え、空気や粉じんからの農薬の取り込みがあることを忘れてはなりません。
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作成:2017-08-27