改定農薬取締法関係にもどる
t31702#農薬取締法改定が俎上に (その6)国民の意見も聞かずに進める農水省#18-01
【関連記事】記事t31401、記事t31501、記事t31601
改定農薬取締法関係の記事一覧(2008年までは、こちら)
いままでの反農薬東京グループの主なパブコメ意見:
我が国における農薬登録制度上の課題と対応方針(案)についての意見(2009年7月)
農薬の登録申請時に提出する試験成績及び資料に係る関係通知の改正案に関する意見(2014/03)
【参考サイト】農水省:農薬コーナー、農薬資材審議会の頁と農業資材審議会農薬分科会
第17回分科会の議事録と資料5−1「再評価制度について
アグロサイエンス通信:Top Pageにあるトッピクス264(11/02)
新たな農薬管理行政の動向と方向性(東京農大総合研究所農薬部会の9月29日開催セミナー報告)
農水省は、昨年7月の農業資材審議会農薬分科会で、大まかな農取法改定の方針を示しました。その中で、再評価制度については、2021年からの実施を目標に、2017年には、「方針決定、既登録農薬の再評価について優先度設定の原則の策定」となっているのに(記事t31301参照)、いまだ、パブコメ意見の募集もありません。
農水省は自らの7月提案を規定方針として、そのまま実施する構えです。欧米をモデルにして、再評価制度をめざすとしながら、わたしたちが、どんな農薬を再評価するかを尋ねても、不誠実な回答しか返ってこず(記事t31601参照)、下記のような概要を示しているにすぎません。
*** 改定農薬取締法案の概要 ***
1、再評価制度の導入
現行の3年ごとの再登録に代えて、 欧米で実施されている再評価制度を導入。
同一の有効成分を含む農薬について、一括して定期的に、最新の科学的根拠に
照らして安全性等の再評価を行うことで、 農薬の安全性の一層の向上を図る。
2、農薬の登録審査の見直し、
(1)農薬の安全性に関する審査の充実(国際的な標準との調和)
・ 農薬使用者に対する影響評価の充実
・動植物に対する影響評価の充実
・農薬原体(農薬の主たる原料)が含有する成分(有効成分及び不純物)の評価の導入
(2) ジェネリック農薬の審査の簡素化
・ジェネリック農薬の登録申請において、先発農薬と農薬原体の成分・安全性が
同等であれば提出すべき試験データの一部を免除できることとする。
★改定案では農薬使用を減らせない
農薬使用者や「畜」である蜜蜂の暴露低減と再評価制度の導入が提案されていますが、前者については、クロルピクリン処理や空中散布などによる受動被曝による散布地周辺住民の健康被害防止はみられず、後者は、現行の農薬登録期間3年を廃止するかわりの制度でしかありません(312号)。
登録後何十年もたった有機リン剤をそのまま使い続け、登録15年に近づいたネオニコチノイドの使用をやめよとの国民の声に耳を貸さず、登録を簡素化し、使いやすくすることに主眼をおいている農水省に期待することはできません。なぜなら、記事t31701にあるように、新たなネオニコチノイド・スルホキサフロルを登録し、グリホサートの適用拡大を実施し、規制どころか、使用拡大に向かっていることをみれば、明らかです。
★農薬に頼らない農業をめざすために
わたしたちは、いままでの連載で述べてきたように、国民の農薬摂取を減らし、生物多様性や生態系保全のため、生活環境や一般環境での農薬汚染を防止しすることを第一に考え、農水省のような農業競争力強化支援法の一環としての農取法改定とは明確な一線を引き、以下のようなことが実現するよう求めていきたいと思います。
@登録の際の毒性や残留性試験、環境への影響試験の内容を強化し、試験データを公開する。
AEUで、登録が失効している農薬成分を点検し、日本での規制を進める。
B再評価制度は15年間という期限でなく、三年間ごとの再登録期間中に、申請者に、
人や環境への影響を調査させ、新たな毒性や環境への悪影響が判明したものは、使用規制する。
C農薬登録や適用拡大ついて、国民の意見を聞く。
D住宅地通知や無人航空機による空中散布の技術指導指針などの内容を法令の条文にいれる。
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作成:2018-01-30