松枯れ・空中散布にもどる

t31802#農薬散布の無人航空機事故防止は法律改定で#18-02
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【参考サイト】国土交通省:2017年11月実施の審査要領改定のパブコメ意見募集新旧対照表
              反農薬東京グループのパブコメ意見。国土交通省の結果と概要
             2017年12月実施の審査要領改定のパブコメ意見募集改定内容
              反農薬東京グループのパブコメ意見。国土交通省の結果と概要

 ところで、国土交通省は「審査要領」の改定を11月に続き、12月にも出しており、1月31日付け改定版には、両原案どおりの下記内容が含まれています。
  ・飛行中の他の無人航空機との衝突を予防する
  ・申請手続きを更新又は変更をする場合の書類の簡素化
  ・飛行時間と飛行回数を申請書に記載する
  ・プロペラガード等の接触時の被害を軽減させる措置を義務化
  ・飛行高度に応じた立入禁止区画の設定
  ・風速 5m/s以上の場合は、飛行を行わない 
   ほかが、追加されましたが、目先の事故防止のための変更にすぎませんでした。
 わたしたちが、事故防止のためにパブコメで求めたのは、下記に述べた基本的事項でしたが、いずれも、無視されたか、せいぜい、『御意見ありがとうございます。今後の検討材料とさせていただきます。』という回答がつけられただけでした。

★基本的要求は無視された
【11月のパブコメ意見より】
1)本審査要領にもとづき、無人航空機の機体の認定や操縦者の認定、事故報告等は、国土交通省が一元化して実施すべきである。特に、事故については、省庁の枠を越え、共通の立場で、事例漏れがないよう、厳密に行い、原因解明し、報告すべきである。 2)無人航空機の数が増大するなか、事故防止の具体的対策を強化するどころか、更新申請や変更申請の項目を新設し、申請要件を緩和することは、反対である。事故防止については、以下の点を実施されたい。
  (2-1)遠隔操作型の無人航空機においては、機種の認定、操縦者の認定は、国の責任で
   行うべきであり、機種認定制度や操縦者の免許制度の導入が必要である。
  (2-2)無人ヘリコプターに加え、マルチ型のドローンの普及と利用がはかられており、
   積載量を増やし、飛行距離や飛行時間を長くし、プログラムによる自律飛行の技術開発が
   行われているが、自律操縦型の無人航空機、特に、危険物・重量物を輸送・投下する機種の
   認定基準は厳格にすべきである。また、軍事目的での開発は禁止すべき。
  (2-3) 変更申請又は更新申請の申請書記載事項の注に『操縦経験が年毎に増大する場合、
   その都度、変更・更新申請を実施すること。』をいれる。
  (2-4)『許可・承認申請書』『無人航空機の機能・性能に関する基準適合確認書』 
   『飛行経歴・知識・能力確認書 』などの様式の改定案に以下を記載する。
    ・農薬散布の場合は、散布装置の種類とその認定有無や保守点検状況などを記載。
    ・対応機種ごとの操縦経験期間、及び直近の操縦年月日を記載
    ・事故を起こした場合は、その発生年月日と事故の状況、原因などを記載
    ・知識については、機体や燃料・電池についてのほか、危険物関連法規。
     農薬散布の場合、農薬の毒性や残留性、ドリフト防止等についての知識が、
     不可欠で、これらは免許制度の場合の試験内容に組みいれるべき。
    ・樹木散布で、高所飛行技術認定の有無を記載。
【12月のパブコメ意見より】
1)審査要領に『農薬散布用無人航空機についての要件を追加』として、具体的な条項をいれるよう求めました。その概要は。
  (1-1)農水省局長通知「空中散布等における無人航空機利用技術指導指針(以下、指導指針という)を
   遵守しない又はしなかった申請者、実施団体、防除業者やオペレーター(以下申請者等)には、
   飛行の許可や承認を規制又は禁止する。
  (1-2)空中散布等の実施に関して、事前の周知を求めている。これを行わない又は行わなかった
   申請者等も上と同じ。
  (1-3)無人航空機の制御が不能になったり、制御者がミスして、万一墜落させても、人の被害、
   物損、火災事故等が発生しない場所が確保出来ない地域での、飛行を許可・承認しない。
  (1-4)農薬散布の事故として、機体や人の被害、物損はもちろん、不時着や接触事故、域外への
   散布のような事例も含め、すべて、国交省へ事故報告を提出することを申請者等に義務付ける。
  (1-5)上記事故報告を提出しない申請者等には、その後、飛行の許可や承認を規制又は禁止する。
  (1-6)事故を起こした機体(撒布装置を含む)について、その後、飛行の許可や承認を規制又は禁止する。
  (1-7)事故を起こした実施団体、防除業者やオペレーターには、その後、飛行の許可や承認を
   規制又は禁止する。
   そもそも、農水省の無人航空機の技術指導指針では、報告すべき事故事例が、
    ・人身事故(操作中のオペレーターの転倒等の軽微な自損事故を除く。)
    ・重大な物損事故、・物損事故(機体の横転等の軽微な機体の損傷事故を除く。)
    ・墜落事故、・農薬事故、
    ・その他 学校、病院等の公共施設の敷地内への不時着事例、操作中の機体が
     行方不明になった事例等、社会的影響等を勘案して対応が必要と考えられる事例
 となっていますが、( )のような例外規定は除くべきです。また、農林水産航空協会の「安全対策マニュアル」には、無人航空機は制御不能の際には、墜落させることとあり、その際、人の被害や物損、火災等が起こらないような墜落用地の確保が重要です。
 さらに、過去においては、無人ヘリの墜落・衝突による散布関係者の死傷事故もあり、これら無人航空機の事故防止のためには、行政指導だけでなく、農薬取締法改定による法規制が求められます。

   改定後の「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」です。

 反農薬東京グループ:農水省への無人航空機による農薬空中散布に関する緊急要望(2018/03/01)と農水省の回答
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作成:2017-12-27、更新:2018-03-31