食と健康


タマネギに含まれる硫化アリルが効果
タマネギはシチューなどの煮込み物からサラダまで広く使われ、食卓ではすっかりおなじみ。
でもタマネギは、わが国の食生活には明治以降に浸透した歴史の浅い野菜なのです。
タマネギの効果は、特有の刺激臭や辛みの原因物質である硫化アリルによって発揮さます。
硫化アリルの代表的な作用は、血液の凝固を抑制し、血液の粘性を低くする血栓予防作用。実際の実験でも、動脈硬化や脳卒中の予防に対する効果が確認されています。
また、硫化アリルの一種であるチオアルデハイドには、疲労回復や神経の鎮静化に必要なビタミンB1の吸収及び活性化を促進する作用があります。
一方、同じ硫化アリルの仲間であるグルタチオンは肝機能強化作用を有します。
ただし、硬い膜に覆われた細胞の中に存在する硫化アリルが活性化するのは、生のタマネギのスライスか、みじん切りで食べた時。辛みを和らげるため水にさらすのは、硫化アリルが溶け出すので、数分以内にとどめたほうがよさそうです。

タマネギは生活習慣病の予防にも
タマネギには血糖値、血中コレステロール値、血圧を下げる作用も知られています。
これらの作用は硫化アリルにもありますが、何といっても豊富な食物繊維の働きが大きい。
食物繊維はブドウ糖の消化・吸収を遅延させることにより、血糖値の上昇を抑制することが確かめられており、糖尿病の予防効果が期待されています。
また、食物繊維が消化液成分の胆汁酸やコレステロールを吸着し、その排泄を促進することで、血中コレステロール値を低下させ、動脈硬化を予防するという。この場合、水溶性の食物繊維の方が効果が高いらしく、生活習慣病には生のタマネギより煮込んだ煮汁が効きそうです。
最近では、タマネギの降圧効果は、豊富に含まれ利尿降圧作用のあるカリウムも関与していると言われます。
また、タマネギには抗酸化物質フラボノイドも含まれており、癌の予防効果も期待されています。