顆粒白血球には、次のようなものがあります。
・好酸球・好塩基球・好中球
一方、無顆粒白血球には単球・リンパ球があります。
白血球の作用は血管より外に遊出し、組織内に侵入してきた細菌や異物(細胞片など)を取り込み、分解無毒化する働きがあり、血管外に出る作用は好中球・好酸球・好塩基球・リンパ球・単球の順で遊出後、ロイコタキシンと呼ばれる物質でアメーバ状運動を行い、組織内を移動し、細菌、異物を捕食し、細胞内で消化分解します。その作用は単球(大食細胞・マクロファ−ジ)好酸球・リンパ球・好塩基球の順です。
@好中球(中性色素によく染まる)
血流に乗って全身をめぐり、また、組織内の疎性結合組織内を移動し、バクテリア等の異物や、hか慰された細胞を見つけると細胞内に取り込み、また外敵が侵入した場所にどんどん集まって、それらを体内に取り込んで処理していく細胞です。「生体防衛」の中の、第一線を担っています。体のどこで細菌の侵入があっても、二〜三時間で血中の好中球が増加していきます。
A好酸球
好中球と同じくらい、食作用などが盛んであり、数が少ないのでその作用・意義は明らかではありません。抗原抗体反応に関係しているものと考えられています。
B好塩基球
食作用などは緩慢で数も少なく、その作用も明らかではありません。血液凝固阻止的な働きがあると思われます。
Cマクロファージ(大食細胞)
血管内では単球として血管外に出ると大食細胞となり、食べこみ能を発揮するが再び血管内に戻ることはなく、血管外で分裂増殖する。好中球と同じように、全身をパトロールし、細胞質に富み粘着しやすく、偽足を出し運動する。エスエラーゼ・リゾチームなどの酵素に富み、異物を細胞内に取り込んで、消化分解無毒化してしまう細胞です。食欲も生命力もあって、「大食細胞」とも呼ばれています。生体防衛機構の主役で、高等動物では異物排除機能と特異的免疫を行ないます。即ち抗原情報をT−細胞に教えて、免疫の成立にあずかります。またインターフェロンαによって活性化され、細胞性免疫のエフェクターとなります。
Dリンパ球
リンパ球は大きさによって大・小リンパ球に分けられ、好中球に次いで多く存在し、白血球の20〜30%を占めます。小リンパ球は顆粒白血球よりやや小さく、大リンパ球は小リンパ球の倍近くの直径を持つものもあります。小リンパ球はリンパ球の大部分を占めます。アメーバ状運動をしますが、顆粒白血球ほど活発ではありません。血管外に遊出し結合組織内や上皮細胞の間に侵入しますが、好酸球のような食べこみ機能はありません。
リンパ球にはBリンパ球(B細胞とも呼ぶ、骨髄由来=骨髄の幹細胞が直接末梢のリンパ組織に入り分化)とTリンパ球(T細胞とも呼ぶ、胸腺由来=骨髄の幹細胞が一旦胸腺に入り刺激を受けた後末梢のリンパ組織へ移行したもの)があります。形態学的には区別できないのです。B細胞は抗原刺激に合うとピロニン好性(ピロニンという色素によく染まる)となり、分裂能力を発揮し抗体(γ−グロブリン)を創ります(体液性免疫)。
T細胞は血液中のリンパ球の70〜80%を占め、抗原刺激に合うと増殖し、細胞性免疫にあずかります。即ち、遅延性の免疫反応にあずかり、B細胞の抗体産生を助ける働きをする時は、ヘルパーT細胞、抗体産生を抑制する時はサプレッサー(Supressor)T細胞と呼び、標的細胞を破壊する働きを持つ時はキラーT細胞と呼びます。標的細胞を破壊するためにリンフォカイン(種々の生物学的活性を持つ可溶性因子)という因子を出すのです。T細胞はB細胞と協同して免疫反応にあずかります。この場合のT細胞を作動細胞(effector
Cell)と呼んでいます。
T細胞はB細胞に比較して寿命が長く、抗原刺激は種類によってはT細胞に長く記憶されます。この場合、記憶細胞と呼び、終生免疫はこの現象によるものです。リンパ球が特異的に抗原を認識するのは細胞膜によります。T・B細胞共に相棒の表面に特異的免疫グロブリン抗体を持ち、このグロブリン抗体が抗原に対するレセプターとして働くと考えられます。副腎皮質より分泌される糖質コルチコイド(代謝・血液成分・神経系・ストレス・水分代謝・消化などに関与)というホルモンにより、多くのリンパ球が破壊されます。
中には例えばE2βではT細胞の膜表面にあるムコ多糖でなんらかの情報を受け、細胞質内に入りレセプターと結びつき作用するものもあります。E2βは免機能を低下させるのではないかと考えられています。
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