血中に存在する脂質には、コレステロール、中性脂肪(トリグリセライド)、リン脂質、遊離脂肪酸の4種類があります。
この中で、臨床的に問題になるのが「コレステロール」と「中性脂肪」の二つの血中濃度で、これらが増加した状態を高脂血症と呼びます。
血中脂質に関する検査として、最も一般的なのは「総コレステロール濃度」・「中性脂肪濃度」・「HDL−コレステロール濃度」の3項目です。
総コレステロールと中性脂肪の血中濃度測定は、高脂血症かどうかを判定することが主な目的です。
HDL−コレステロールとは、高比重リポ蛋白(HDL)に含まれたコレステロールのことです。
血液中では、コレステロールや中性脂肪がそのままでは溶解していることができないため、親水性が比較的高いリン脂質やアポ蛋白に取り囲まれた形で、粒子状になって血液中に存在する。この粒子が「リポ蛋白」である。リポ蛋白は、比重の軽いものから順に、カイロミクロン、超低比重リポ蛋白(VLDL)、中間比重リポ蛋白(IDL)、低比重リポ蛋白(LDL)、HDLの5種類に大別される。脂質のうち、中性脂肪はカイロミクロンやVLDLなどの比重の軽いリポ蛋白に多く含まれ、コレステロールはLDLとHDLに多く含まれている。これら5種類のリポ蛋白は、それぞれ体内での働きが異なる。コレステロールに関して言えば、LDLは、含有するコレステロールを末梢組織に沈着させる働きがあるのに対し、HDLは、逆に末梢組織からコレステロールを奪い肝臓へ運搬する働きがある。つまり、同じコレステロールであっても、LDLに含有されたLDLコレステロールは動脈硬化性疾患の原因になるのに対し、HDLコレステロール、すなわちHDLの増加は動脈硬化性疾患に予防的に作用する。このため、一般にLDLは「悪玉コレステロール」、HDLは「善玉コレステロール」と呼ばれる。 |