■生活習慣病  高血圧 グレープフルーツと薬の相互作用
 

グレープフルーツと薬の相互作用


グレープフルーツの成分が 薬物代謝酵素の働きを邪魔
グレープフルーツの栄養的な成分の組成は、夏みかんやバレンシアオレンジに極めて近く、カロチンをほとんど含まないなどの特徴はあるものの、基本的な栄養素に差は見られません。
つまり、ビタミンやミネラルの補給という意味では、どの柑橘類を食べても大差はないわけです。
しかし、ある種の薬を服用している患者に限っては、グレープフルーツは特別な意味を持ちます。
グレープフルーツ果汁を薬と合わせて飲むと、薬の作用を増強して重篤な症状を引き起こすことがあるからです。

グレープフルーツ果汁と相互作用を起こす薬剤としては、カルシウム拮抗剤を始め、トリアゾラム、テルフェナジン、シクロスポリンなどがあります。
なかでも、最もよく知られているのが、降圧剤であるカルシウム拮抗剤との併用です。
薬物の血中濃度が上昇するために過度の血圧低下や心拍数の増加が起こり、頭痛、顔面紅潮、めまいなどの副作用の発現頻度が増えます。
その程度は薬剤の種類や服用時期によって異なります。
トリアゾラムは最もよく使われる睡眠剤の1つですが、グレープフルーツ果汁250mlとの併用により最高血中濃度が30%上昇し、それに伴い催眠効果が増強したという報告があります。

これら相互作用は、グレープフルーツ果汁に含まれる物質によって薬物代謝酵素であるチトクローム P450の一種「CYP3A4」の活性が阻害されるためと考えられています。
グレープフルーツ果汁と薬の相互作用は、同時服用の場合だけとは限りません。
少なくとも薬剤服用の10時間前から2時間後の間では、果汁による影響が持続することが確認されています。
肥満や糖尿病の患者さんには糖度の低い柑橘類を勧められることが多いし、季節に関係なく入手しやすい果実
でもあることから注意を要します。

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