■生活習慣病  高血圧

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中医学で考える高血圧症の原因とメカニズム


 

からだの中では、基本物質がバランスを保っている

 からだの中では、活動エネルギー(陽気)と、血液・正常な水液・からだの成長発育の源となる物質である「精」(陰液と総称)といった、からだをつくる基本物質が助けあい、抑えあい、変化しあいながら生命活動を行っています。これらの基本物質は、いずれも飲食物からつくられます。

 活動エネルギーは、陰液が蒸されて気化したもので、目に見えないほど小さな物質からなっています。熱く活動的で、上あるいは外の方向に向かう性質があります。一方、陰液は液状の栄養物質で、重くて冷たく、下あるいは内側に向かう性質をもっています。

 陰液は、活動エネルギーによって非常に細かい栄養素につくり変えられ、さらに細かくされて、活動エネルギーにまで高められます。また、活動エネルギーは飲食物を取り入れ、新たな陰液をつくりだすという代謝の過程を通して、互いにバランスを保ち、無数に張りめぐらされた「通り道」を通って、内臓をはじめ、からだじゅうをめぐって働いています。

「高血圧症」は活動エネルギーと陰液のアンバランスで起こる

 ところが、環境が悪化する中で繰り返してかぜなどの病気を患ったり、喜びや悲しみ、驚きや怒りといった心の動きや、乱れた食生活、過度の性生活といった、ある程度避けられない不節制が続くと、そのしわ寄せが活動エネルギーと陰液のアンバランスとなって現れ、少しずつからだをむしばんでいきます。特に四〇歳ころになると、アンバランスがはっきりとしてきます。

 基本物質どうしのアンバランスが内臓で起こると、内臓の働きが悪くなります。基本物質のうち、陰液が不足し、そのためからだを温める活動エネルギーの働きが相対的に高まり進みすぎた状態のひとつが「高血圧症」です。多くの高血圧症は、陰液の不足による活動エネルギーの働きの異常な高まりが基礎になって起こります。

血圧が上がるのは「血液を調節する内臓」の問題

 内臓は生命活動の中心で、互いに深く結びついています。ですから、高血圧症にはすべての内臓がかかわっているといえますが、中心となるのは、血液を貯え、血液の循環量を調節している「肝」です。

 肝の活動エネルギーと陰液を保障する関係にある「腎」の機能低下が肝に影響を及ぼすこともありますし、そのほかの内臓の問題が肝に影響することもあります。しかし、どのような経過をたどっても、最終的には、肝を構成する活動エネルギーと陰液のアンバランスが起こってはじめて、高血圧症が起こると考えられます。特に肝のアンバランスは、まず陰液の不足が起こり、そのため活動エネルギーが相対的に余って起こることが多い、という特徴があります。

 


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