■生活習慣病  高血圧

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「水分」がどこでどの程度不足しているかが治療のポイント


 

 活動エネルギーと「水分」である陰液のバランスがくずれると、からだは、血液の循環を改善して正常な機能を高め、バランスを回復しようとします。そのため、一時的に血圧が上がります。数値が常識的な範囲を超えなければ、血圧の上昇はからだの正常な抗病反応と考えられますから、無理に血圧を下げなくても、しばらくしてバランスが正常に戻れば血圧は下がります。ですから、一定期間の観察が必要なのです。

 例えば、疲れやすく、食欲などに問題があれば、「脾胃」の消化吸収や栄養代謝機能を考えて「補中益気湯」や「六君子湯」で不足した活動エネルギーを補ったり、「釣藤散」で活動エネルギーを補いながら、機能が高まりすぎないようにしたり、「十全大補湯」「人参養栄湯」「加味帰脾湯」などで活動エネルギーや血液を補うだけでも、血圧は正常に戻ります。

 しかし、回復することができずにこの状態が続くと、さまざまな内臓に影響が及ぶようになります。中でも、血液を調節する肝、からだの根源となる物質を貯える腎、活動エネルギーをつくり補充する脾胃の働きを障害しやすくなります。

 腎の陰液が不足して肝を養えなくなったり、肝の陰液が不足すると、肝の活動エネルギーが余り、相対的に少なくなった陰液から離れて上昇する(肝陽上亢)ので、頭が回るようにふらつき、頭痛やめまい、耳鳴り、顔面の紅潮、口が苦いといった症状が現れます。舌は深い紅色になり、苔は少ないか剥げてしまいます。脈は細く緊張し、脈拍数が多くなります。

 このような場合には、腎の陰液を補う「六味丸」に肝腎を調和させる「柴胡加龍骨牡蛎湯」をあわせて使ったり、肝の陰液を補う「七物降下湯」、腎の陰液を補って肝の火を抑える「知柏地黄丸」、腎と肝の陰液を補う「杞菊地黄丸」などを使って、活動エネルギーと陰液のバランスを回復します。

 


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