診断
急性痛風性関節炎の臨床像はきわめて特徴的であるため、通常は病歴と外診によって暫定的診断が可能である。血清尿酸値の7mg/dL以上(0.41mmol/L以上)の上昇は急性痛風性関節炎の診断を支持するものであるが、特異的ではない。患者のおよそ30%が急性発作時に正常な尿酸値を示す。尿酸の針状結晶が、組織中や滑液中で液体に浮遊したり食細胞に包まれたりしているのは、特徴的な所見である。
コルヒチン投与後24時間以内にしばしば劇的な反応が起こる。しかし、すべての痛風発作が劇的に反応するわけではなく、劇的な反応は偽痛風、石灰沈着性腱炎やその他の状況でも起こるため、コルヒチンに対する劇的な反応による診断方法は現在ではもはや用いられない。
X線像で軟骨下骨や、通常は第1中足趾節関節に打抜き病変を示すことがある。痛風結節はX線上で骨病変として認識されるには直径が5mmに達しているはずである。このような検出可能な骨病変は特異的でも診断的でもないが、ほとんど常に、皮下に痛風結節として認識されるよりも早く見出される。
鑑別診断
ピロリン酸カルシウム(CPPD)結晶沈着症の患者では、弱陽性の複屈折を示すCPPD結晶は急性滑膜炎の原因となり;加えて放射線不透化性の沈着が線維軟骨か、または関節軟骨(特に膝)に存在し、臨床経過は通常痛風よりも穏やかである。急性敗血症性の関節は急性痛風症の関節と混同しやすいが、滑液を培養すると細菌が検出される。関節炎を伴う急性リウマチ熱および若年性関節リウマチは痛風に似ているが、ほとんどの場合は痛風にはめったにならない若年者が罹患する。再発性リウマチ(例、1つかまたは複数の関節に炎症の急性発作)は特に中年または高齢の患者によくみられ;発作はしばしば痛風よりも突然に起こることさえあり、痛みは同程度に重篤になりうる。発作は自然に軽減し、1〜3日後に完全に鎮静化する。このような発作は、慢性関節リウマチの発症の前兆であることがあり、リウマトイド因子の検査はしばしば陽性を示す(痛風患者の10%においてもこれらの検査結果は陽性である)。このような発作は局所のフィブリン沈着に関連する。発作は一般に関節外の組織を侵すので、滑液はめったに得られない。骨関節炎のヘパーデン結節は、特に利尿薬を服用している高齢の女性では、痛風結節の部位であることがある。
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