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生薬名・・・・淫羊霍 インヨウカク

 

生薬名 淫羊霍(インヨウカク)
基 原 メギ科 Berberidaceae 箭葉淫羊霍 Epimedium sagittatum Bak. (ホザキノイカリソウ)の全草。一般に葉を用いるが、枝や茎も用いる。
性 味 味は辛、性は温。(帰経:肝・腎経)
主成分 茎と葉には icariin C33H42O16 ・ ビタミンEが含まれる。根と根茎には demothoxyicariin C32H40O15 ・ magnoflorine C20H24O4N が含まれる。
薬理作用 補腎壮陽・去風湿
性機能の興奮・降圧・抗ウイルス・少量では利尿、大量では抗利尿に働く。
臨床応用
  1. 腎陽虚によるインポテンツや婦人の不妊症に用いる。古人は経験的に淫羊霍酒(淫羊霍30gを米酒500gに20日間つけて服用する)を用いている。最近は、毎食前に20%淫羊霍チンキ(酒精エキス)5mlを服用させ、インポテンツ・遺精・早漏に一定の効果を得ている。また、倦怠無力・反応が鈍い・記憶力低下などの症状がある抑うつ型の神経衰弱にも効果がある。チンキ剤以外に、複方に配合して例えば羊霍三子湯を使用してもよい。不妊症には淫羊霍を試みるのがよい。
  2. 痺証(風寒湿痺)に用いる。特に下肢の疼痛性運動麻痺・筋肉や関節の痙攣・手足のしびれに使用する。古人は風湿による痺痛だけに使用したが、現在は淫羊霍・桑寄生にポリオウイルスに対する抑制作用があるところから適応範囲を拡大し、小児麻痺の急性期・後遺症期に用いて一定の効果を得ている。
  3. 高血圧症に用いる。顔色が蒼白い・腰や膝がだるく力がない・夜尿・舌質淡白・脈細で、男性の場合にはインポテンツ、滑精、女性の場合には月経不順などの陰陽両虚の症状があるときに適用する。
用量 6〜12g。長期服用するときは、粉末を丸剤とするか、酒につけて(鎖陽・大棗などを配合)服用する。
使用上の注意
  1. 淫羊霍は燥性が強いため、陰液を損傷(傷陰)して熱象を助長し(助火)、頭がふらつく・嘔吐・口が乾いて水が飲みたい・鼻出血などの症状を生じる。
  2. 巴戟天・肉従蓉と効能は似ているが、淫羊霍には滋潤の性質がないので傷陰の力がはるかに強い。
  3. 五心煩熱・多夢・遺精・性欲亢進などの陰虚火旺の症状があるときには使用してはならない。
生薬画像