生薬名 |
麦芽(ばくが) |
基 原 |
薬性論に収載されている。イネ科 Gramineae
大麦 Hordeum vulgare Linne
(オオムギ)の発がした種子を乾燥したもの。 |
性 味 |
味は甘、性は平(味は鹹、性は温とするものもある)。(帰経:脾・胃経) |
主成分 |
amylase ・ ビタミンB・C |
薬理作用 |
疏肝醒胃・消食除満・和中下気
健胃作用・退乳(乳汁分泌の消退・乳汁の再吸収を意味すると考えられる)作用 |
臨床応用 |
- 健胃に用い、一般的な消化不良に効果がある。米・麺類・果物の食べ過ぎによる消化不良に対し、消化を促進し食欲を増す。消化を助ける滋養薬と考えてもよい。
疾病の経過で、食欲がない・消化力が弱い・舌苔が厚膩などの症状があらわれたときには、治療方剤に麦芽を少々加えるとよい。
- 退乳に、麦芽の温通の効能を利用する。授乳を中断したために生じた乳汁のうっ滞を軽減して腫脹と疼痛を除く。ただしやや多量に用いるべきで、生麦芽120gを弱火で黄色になるまで灼めて煎じるか、炒って粉末にした麦芽60gを15gずつ湯で服用すれば効果がある。
このほか、補益薬を服用したときに、麦芽を少量加えて消化を助けると腹が脹るのを防ぐことができる。
|
用量 |
やや大量に使用するのがよく、少量では無効である。一般に煎剤には1回12〜30g(小児はやや減らす)。粉剤として沖服するときは1回5〜15gで効果がある(デンプンの消化力は粉末の方が煎剤より強い)。 |
使用上の注意 |
- 生麦芽は醒胃(胃腸の消化を促進し食欲を増す)の効能が強いので、食欲不振に用いるのがよい。特に小児に適している。炒麦芽は性質が温で、おだやかなので、食物の吸収が悪く水様便や軟便のものに用いるのがよい。退乳にも炒麦芽を用いる。デンプンの消化力は生麦芽の方が炒麦芽より強いが、微炒なら影響はない。
- 古人は胎児に悪影響があるので妊婦に使用してはならないとしているが、実際には症状にさえ合っておれば妊婦にも用いてよい。ただし、長期間の服用は避けるべきである。また炒麦芽を服用しすぎると乳汁分泌を抑制するので、授乳中の婦人には用いない方がよい。
|