生薬名 |
麦門冬(ばくもんとう) |
基 原 |
ユリ科 Liliaceae 沿階草 Ophiopogon japonicus
(Thunb.) Ker-Gaw.
(ジャノヒゲ)の塊状根を乾燥したもの。 |
性 味 |
味は甘・微苦、性は微寒。(帰経:心・肺・胃経) |
主成分 |
多量のブドウ糖・粘液質・少量の β-sitosterol
・ビタミンA類物質 |
薬理作用 |
潤燥生津・化痰止咳
解熱・消炎・鎮咳・去痰・利尿・強心・強壮作用、抗菌作用 |
臨床応用 |
天門冬とほぼ同じである。
- 燥熱の咳嗽(乾咳・無痰・喀血・咽乾・口乾などの燥と熱の症状を呈するもの)に用いる。肺陰虚の慢性咳嗽に適用する。肺結核・慢性気管支炎・慢性咽喉炎などの咳嗽に使用する。
古人は、外感(感染症)による燥咳には麦門冬を使用してはならないと言っている。麦門冬は性質が滋潤でしつこいため、肺を滋補するが痰を生じやすく、解表には不利であるという理由である。実際には、発熱・鼻閉・悪寒・悪風・無汗などの症状がある重症の感染症で、発汗解表が必要なときには麦門冬を使用すべきでないが、高熱や鼻閉がなく燥咳だけの軽症には使用してよい。
- 発熱性疾患の後期で、便秘・熱感・煩渇などの脱水(津液消耗)の症状があるときには、清熱涼血薬を配合して清熱を強化する。
発熱疾患回復期の陰虚・血虚には、麦門冬に滋陰補血薬を配合して補益調整する。
- 強心に用いる。とくに、大量に汗が出る・頻脈・血圧低下などのショック・虚脱の症状があらわれたときに適用する。
|
|
用量 |
6〜18g。強心には大量に用いる。 |
使用上の注意 |
- 麦門冬と天門冬の比較:麦門冬は清肺潤燥の力が強く、天門冬は滋補肺腎の力が強い。肺結核の燥咳には天門冬と麦門冬を同時に使用する。
- 寒涼薬に配合するときには生で用い、補益薬に配合するときには酒炙する。
- 気虚・胃寒(脾胃陽虚)・泥状便には使用しない。
- 麦門冬心(胚芽)を服用すると胸部の熱感を生じやすいので、養肺陰の薬物として使用するときには心(胚芽)を除去すべきである。
|
生薬画像 |
|