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生薬名・・・・鼈甲 べっこう

 

生薬名 鼈甲(べっこう)
基 原 スッポン科 Trionychidae 鼈 Amyda sinensis (Weigmann) (シナスッポン)の背部甲羅
性 味 味は鹹、性は寒。(帰経:肝・脾・腎経)
主成分 ニカワ・カルシウム・リンなど
薬理作用 滋陰・清熱・破血・軟堅・散結
強壮・滋養・鎮静・造血の作用がある。
臨床応用
  1. 陰虚による煩熱に用いる。肺結核の潮熱・盗汗に用いる。熱性疾患の後期で脱水して炎症が残存し、潮熱・夜間に発熱して朝には解熱する・口唇のただれ・歯の乾燥などの症状があらわれたとき、あるいは眩暈・四肢の筋肉痙攣・舌は乾燥して深紅色・脈は細数微弱などの陰虚火旺の症状があるときに、鼈甲の清熱と鎮静(“養陰退熱”と“潜陽熄風”)の作用を利用する。
  2. 肝脾腫大に効果がある。作用機序については今後の研究に待たねばならない。慢性肝炎や肝硬変の硬くふれる肝腫大・肝脾腫大で、肝臓部の疼痛・眩暈・煩躁・口乾・口唇乾燥などの陰虚火旺の症状があるときに使用する。また、慢性マラリアの脾腫には、鼈甲は必ず使用する。
  3. 婦人科に使用する。月経過多・不正性器出血に対し、鼈甲の収斂理血の効能を利用する。
  4. 難治性の化膿症・潰瘍に効果がある。
用量 9〜30g。砕いて先に煎じる。
使用上の注意
  1. 以下の場合には使用しない。
    1. 下痢のもの。鼈甲は下痢を起こすことがある。
    2. 消化不良・食欲不振のもの。鼈甲はニカワ質を含んでいるので消化されにくい。
    3. 陽虚・とくにインポテンツのもの。鼈甲は補陰することによって腎火を抑制するので、性欲が低下する。
  2. 亀板との比較:亀板より滋補の力は弱いが、腹腔内腫瘤に対する効果ははるかに強力である。亀板ほどしつこくて消化されにくくはない。