生薬名 |
白芥子(はくがいし) |
基 原 |
アブラナ科 Cruciferae 白芥 Brassica alba
Boiss. の成熟種子を乾燥したもの。 |
性 味 |
味は辛、性は温。(帰経:肺経) |
主成分 |
sinalbin C30H44N2S2O16
(酵素分解すると揮発性の白芥子油を生成する)・脂肪油・
sinalbinase ・ sinapine など |
薬理作用 |
理気去痰・消腫止痛
去痰作用・皮膚に対する局所刺激作用 |
臨床応用 |
温化寒痰の常用薬である。
- 慢性気管支炎・肺気腫・滲出性肋膜炎などで、咳嗽・多量のうすい痰・胸脇部が脹って苦しい・疼痛などの寒痰の症状があるときに用いる。
- 筋肉・関節の疼痛に用いる。風湿による関節痛・神経痛などに、粉末を酢でねって湿布する。ただし、湿布部位に刺痛感が生じたときには湿布を中止し、水疱・潰瘍の形成を防止する。
- 白芥子には、辛酸温通の効能があり・痰を除き腫脹を消退するので、骨・関節結核に用いる。
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用量 |
3〜6g。外用には適量。 |
使用上の注意 |
- 白芥子は辛温であるから、陰虚火旺・痔疾で血便をともなうときには使用しない。
- 長時間煎じてはならない。古人は“過度に煎じてはならず、過度に煎じれば効力が減じる”としている。実験によると、沸騰させると
sinalbinase の作用を抑制して sinalbin
が有効成分を放出するのを阻害する。
- 白芥子は水と接触すると硫化水素を放出し、腸管を刺激して蠕動を促進する。下痢を起こしやすいので、過量にならないようにすべきである。
- 白芥子・蘇子・莢服子の比較:3者とも化痰・理気・定喘の効能を持つが、白芥子は温肺、莢服子は肺気の宣散、蘇子は降気の作用が強い。
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