生薬名 |
牛黄(ごおう) |
基 原 |
ウシ科 Bovidae 黄牛 Bos taurus domesticus
Gmelin (ウシ)の胆石を乾燥し粉末にしたもの |
性 味 |
味は苦、性は涼。小毒。(帰経:心・肝経) |
主成分 |
cholic acid ・ bilirubin ・そのカルシウム塩・ cholesterol ・ ergosterol ・ palmitic
acid ・ lecithine ・ビタミンD 、ほかにC24H11O3の分子式に相当する無色の結晶性成分・銅・鉄・マグネシウムなどを含む |
薬理作用 |
開窮化痰・清熱解毒・定驚
鎮静作用・強心作用・造血作用 |
臨床応用 |
- 感染性疾患の敗血症期で、高熱・意識障害・煩躁・痙攣発作などの神経系の症状があるときに、牛黄の鎮静・強心作用を利用する。古人はこの作用を清心・定驚といっている。
- 慢性肝炎で、肝機能が悪く・血清トランスアミナーゼ値が下降しないときに、牛黄清心丸を毎日1〜2回1丸ずつ服用すると、トランスアミナーゼが下降し肝機能も改善する。
- 脳卒中による意識障害で痰が多いとき、肺感染症で咳嗽し痰が多いときなどに用いる。痰の分泌を顕著に減少し、去痰する。
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用量 |
150mg〜1000mg。丸・散剤に入れ、煎剤には入れない。外用には適量を使用する。 |
使用上の注意 |
- 安宮牛黄丸・紫雪丹・至宝丹は、いずれも高熱・意識障害・痙攣発作・筋肉攣縮に効果がある。この中では安宮牛黄丸が最も涼性で、次いで紫雪丹・至宝丹の順である。
安宮牛黄丸は、感染性疾患で顕著な熱痰・意識もうろう状態に用い、強い解毒・去痰作用をもっている。
紫雪丹は、高熱・筋攣縮・意識障害・煩躁などの熱閉に用い、その清熱鎮痙の効能を利用する。
至宝丹は、熱痰による閉証で、高度の意識障害のある脳血管障害に使用し、その辛香開竅の力を利用する。
必要に応じて3者を互いに代用してもよい。
- 麝香との比較:牛黄の開竅の効果は麝香より弱いが、清熱解毒の効能を持っているのが特徴である。発熱性疾患の意識障害には、牛黄と麝香を同時に用いる。
- 牛黄は清熱解毒の力が強く、黄連・黄ゴン・連翹などよりも優れているといわれている。それゆえ、牛黄を清熱解毒薬と考えてもよい。
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